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第二部「創世神降臨」編
リオンの日記
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クロトとエメラ、ファーナの三人は、川の字になって眠った。
翌朝、一足先に目を覚ましたクロトは、同じく目を覚ましたエメラを揶揄う。
「おはよう、エメラ姉さん?」
「ん・・・!?クロト、は・・・だめ・・・!」
エメラが眠そうな瞳でクロトを軽く睨みつける。
頬が赤いこともあり、とても可愛い。
「ん、可愛いよ、エメラ姉さん。」
「んんんっ・・・!クロトっ・・・!」
「おっと、騒ぐと妹のファーナが起きてしまうよ・・・?」
「・・・っ!?」
起こしてしまわないように、慌てて自分の口を塞いで言葉を止めるエメラ。
「うんうん、やっぱりお姉さんはそうでないとね?」
「・・・ッ!・・・ッッ!」
むずがゆさを必死に堪えるエメラは、クロトを涙目で見つめる事しか出来ない。
もうやめてくれと懇願しているように見える。
流石にこれ以上虐めるのは可愛そうだと思い、揶揄うのをやめる。
そして、エメラの手を口から退けて、そっとキスをした。
「んっ・・・。んんっ・・・・・・。」
二人のキスは、数分後、ファーナが起きる直前まで続いたのだった。
ファーナを寮に送り、一日ゆっくり休むように言い含める。
そしてその後、エメラは再び東国へ。
まだやり残したことがあるらしい。
「キュキュイ!」
「ピュイッ!?」
リュノアとフェニアも別れをかわし、エメラは去って行った。
両者がどんな会話をしていたのかは、ご想像にお任せよう。
ダイダル海域。
それは、世界七大危険地帯の一角。
曰く、その深域へ入った船は二度と出て来られない。
曰く、かつてそこには海底都市があった。
曰く、海の藻屑と消えた海底都市の人々が亡霊となって住み着いている。
「毎回間違った知識を仕入れるのはどうかと思うよ、リオン?」
「うわあぁぁぁぁぁっ!?」
毎度の如く、突然話しかけられて驚愕の叫び声をあげる、第一王子のリオン。
心臓の辺りを押さえているリオンへ、更に言い募る。
「もしかして、間違った知識を仕入れる趣味でもあるの?」
「そういうクロト君こそっ、僕を驚かせて遊ぶ趣味でもあるのかいっ!?」
「そんな趣味は無いよ?」
「嘘だっ!?」
嘘つき呼ばわりされて、眉を顰めるクロト。
「せっかく友達の家に遊びに来たのに、酷いことを言うなら帰るよ?」
「あああああっ!!待って!謝るから帰らないでっ!」
背を向けて部屋の出口へ歩き出したクロトを、リオンは必死に押しとどめる。
クロトに縋るリオンの図は、色々と不味い気がするのだが・・・。
二人とも中性的であるゆえに、色んな見方ができそうではある。
「・・・そこまで必死になることなの?」
「当然だよ!友達が家に遊びに来るなんて、初めてなんだから!」
友達が居るかどうかに関わらず、王城に遊びに来る人など居ないだろう。
そのため、リオンはいつも一人で遊んでいる。
国王も、一人でボール遊びをしているリオンを見つけ、心配していた。
そんな根本的なことすら分からない、ボッチのリオンに、クロトは呟く。
「・・・これは酷い。」
「それは一体どういうことさっ!?」
その後、クロトはリオンの私室へ案内された。
「す、少し待っててね?今飲み物を持ってくるからっ・・・!」
「ああ、お構いなく。」
「部屋の中では好きなように過ごして良いからね!」
クロトを案内したリオンは、すぐに部屋から出て行った。
仮にも第一王子が、そんな小間使いのような真似をするとは。
相当ボッチをこじらせているようだ。
クロトはリオンの将来を心配して、エドワード国王を気の毒に思った。
部屋の中を見回してみると、殺風景な部屋であることが分かる。
そんな中で、目を引く物が二つ。
一つは、私服が入っているのだろう、大きなタンス。
そしてもう一つは・・・机に置かれた日記。
クロトは何の躊躇いも無く、日記を手に取って開いた。
(リオンも、部屋の中では好きにしていても良いと言っていたからね。)
〇月〇日
今日は初めて友達が出来た。
クロト君というのだが、何度も僕を助けてくれた恩人だ。
嬉し過ぎて、今日は眠れる気がしない。
〇月×日
メイド長に友達が出来たと教えたら、何故か泣かれてしまった。
一体どうしたのだろうか。
疲れているのなら、ゆっくり休めと言ったら、更に泣いた。
訳が分からない。
〇月△日
父上と母上にも伝えたのだが、反応がおかしかった。
二人とも嬉しそうにして、菓子折りを持って挨拶に行こうとした。
友達が出来た時には、そうするのが普通なのだろうか?
経験が無いので分からない。
相手がクロト君だと伝えたら、呆然とされた。
今まではどんな関係だったのかと尋ねられ、答えに困った。
×月△日
クロト君が、友達になったことを忘れていた・・・。
泣きそうになるのを堪えるので大変だった。
今度こそ友達になれたので、良しとする。
いつか親友という関係になれないかなぁ・・・。
それとも・・・・・・。
□月〇日
他にも友達をつくろうとしているのだが、上手く行かない。
僕の正体を知っている人には敬われるし、知らない人は可哀そうに見てくる。
クロト君のような、気安い関係の友達が貴重な存在だと、改めて理解させられた。
そういえば、最近クロト君が来てくれない。
きっと世界中を飛び回っていて忙しいのだろう。
早く会いたいな・・・!
□月△日
クロト君が尋ねて来た。
友達は友達でも、仲の良い友達ではないと言われた・・・。
泣きたい・・・。
一緒にこの国を支えて欲しいと言うつもりだったのだが・・・。
どう考えても言える空気では無かった
まさか、自分が点数を付けられていて、既に危険域だったなんて・・・。
□月□日
自分の立場が危ないと分かって、何とかしなければと考えた。
でも、何をすればいいのかな・・・?
今度クロト君が来たら聞いてみようと思う。
早く会いに来ないかなぁ・・・。
クロトは頭を痛めながら、日記を閉じた。
翌朝、一足先に目を覚ましたクロトは、同じく目を覚ましたエメラを揶揄う。
「おはよう、エメラ姉さん?」
「ん・・・!?クロト、は・・・だめ・・・!」
エメラが眠そうな瞳でクロトを軽く睨みつける。
頬が赤いこともあり、とても可愛い。
「ん、可愛いよ、エメラ姉さん。」
「んんんっ・・・!クロトっ・・・!」
「おっと、騒ぐと妹のファーナが起きてしまうよ・・・?」
「・・・っ!?」
起こしてしまわないように、慌てて自分の口を塞いで言葉を止めるエメラ。
「うんうん、やっぱりお姉さんはそうでないとね?」
「・・・ッ!・・・ッッ!」
むずがゆさを必死に堪えるエメラは、クロトを涙目で見つめる事しか出来ない。
もうやめてくれと懇願しているように見える。
流石にこれ以上虐めるのは可愛そうだと思い、揶揄うのをやめる。
そして、エメラの手を口から退けて、そっとキスをした。
「んっ・・・。んんっ・・・・・・。」
二人のキスは、数分後、ファーナが起きる直前まで続いたのだった。
ファーナを寮に送り、一日ゆっくり休むように言い含める。
そしてその後、エメラは再び東国へ。
まだやり残したことがあるらしい。
「キュキュイ!」
「ピュイッ!?」
リュノアとフェニアも別れをかわし、エメラは去って行った。
両者がどんな会話をしていたのかは、ご想像にお任せよう。
ダイダル海域。
それは、世界七大危険地帯の一角。
曰く、その深域へ入った船は二度と出て来られない。
曰く、かつてそこには海底都市があった。
曰く、海の藻屑と消えた海底都市の人々が亡霊となって住み着いている。
「毎回間違った知識を仕入れるのはどうかと思うよ、リオン?」
「うわあぁぁぁぁぁっ!?」
毎度の如く、突然話しかけられて驚愕の叫び声をあげる、第一王子のリオン。
心臓の辺りを押さえているリオンへ、更に言い募る。
「もしかして、間違った知識を仕入れる趣味でもあるの?」
「そういうクロト君こそっ、僕を驚かせて遊ぶ趣味でもあるのかいっ!?」
「そんな趣味は無いよ?」
「嘘だっ!?」
嘘つき呼ばわりされて、眉を顰めるクロト。
「せっかく友達の家に遊びに来たのに、酷いことを言うなら帰るよ?」
「あああああっ!!待って!謝るから帰らないでっ!」
背を向けて部屋の出口へ歩き出したクロトを、リオンは必死に押しとどめる。
クロトに縋るリオンの図は、色々と不味い気がするのだが・・・。
二人とも中性的であるゆえに、色んな見方ができそうではある。
「・・・そこまで必死になることなの?」
「当然だよ!友達が家に遊びに来るなんて、初めてなんだから!」
友達が居るかどうかに関わらず、王城に遊びに来る人など居ないだろう。
そのため、リオンはいつも一人で遊んでいる。
国王も、一人でボール遊びをしているリオンを見つけ、心配していた。
そんな根本的なことすら分からない、ボッチのリオンに、クロトは呟く。
「・・・これは酷い。」
「それは一体どういうことさっ!?」
その後、クロトはリオンの私室へ案内された。
「す、少し待っててね?今飲み物を持ってくるからっ・・・!」
「ああ、お構いなく。」
「部屋の中では好きなように過ごして良いからね!」
クロトを案内したリオンは、すぐに部屋から出て行った。
仮にも第一王子が、そんな小間使いのような真似をするとは。
相当ボッチをこじらせているようだ。
クロトはリオンの将来を心配して、エドワード国王を気の毒に思った。
部屋の中を見回してみると、殺風景な部屋であることが分かる。
そんな中で、目を引く物が二つ。
一つは、私服が入っているのだろう、大きなタンス。
そしてもう一つは・・・机に置かれた日記。
クロトは何の躊躇いも無く、日記を手に取って開いた。
(リオンも、部屋の中では好きにしていても良いと言っていたからね。)
〇月〇日
今日は初めて友達が出来た。
クロト君というのだが、何度も僕を助けてくれた恩人だ。
嬉し過ぎて、今日は眠れる気がしない。
〇月×日
メイド長に友達が出来たと教えたら、何故か泣かれてしまった。
一体どうしたのだろうか。
疲れているのなら、ゆっくり休めと言ったら、更に泣いた。
訳が分からない。
〇月△日
父上と母上にも伝えたのだが、反応がおかしかった。
二人とも嬉しそうにして、菓子折りを持って挨拶に行こうとした。
友達が出来た時には、そうするのが普通なのだろうか?
経験が無いので分からない。
相手がクロト君だと伝えたら、呆然とされた。
今まではどんな関係だったのかと尋ねられ、答えに困った。
×月△日
クロト君が、友達になったことを忘れていた・・・。
泣きそうになるのを堪えるので大変だった。
今度こそ友達になれたので、良しとする。
いつか親友という関係になれないかなぁ・・・。
それとも・・・・・・。
□月〇日
他にも友達をつくろうとしているのだが、上手く行かない。
僕の正体を知っている人には敬われるし、知らない人は可哀そうに見てくる。
クロト君のような、気安い関係の友達が貴重な存在だと、改めて理解させられた。
そういえば、最近クロト君が来てくれない。
きっと世界中を飛び回っていて忙しいのだろう。
早く会いたいな・・・!
□月△日
クロト君が尋ねて来た。
友達は友達でも、仲の良い友達ではないと言われた・・・。
泣きたい・・・。
一緒にこの国を支えて欲しいと言うつもりだったのだが・・・。
どう考えても言える空気では無かった
まさか、自分が点数を付けられていて、既に危険域だったなんて・・・。
□月□日
自分の立場が危ないと分かって、何とかしなければと考えた。
でも、何をすればいいのかな・・・?
今度クロト君が来たら聞いてみようと思う。
早く会いに来ないかなぁ・・・。
クロトは頭を痛めながら、日記を閉じた。
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