異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

ディアナの雇用

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 闇ギルド「人食い花」は、フルーリエの町に本拠地を置くギルド。

 その活動は、裏社会での人身売買がメインである。


 旧レモニア王国領全体に根を張っているギルドなのだが・・・。





 ディアナの依頼を受けてから約二分。

 その構成員は、一人残らず駆逐された。


 クロトが見せしめの意味を込めて、かなり派手にやった為、酷いことになった。


 そして現在、最後の生き残りであるギルドマスターが目の前に居る。


「貴様っ・・・!たかが従業員一人の為に、ここまでしたと言うのかっ!?」


 クロトに各地での映像を見せられ、激昂する男。

 クロトは無表情のまま、構成員が皆殺しになった映像を消した。





「たかが・・・ね。僕にとっては、みんな大事な従業員なんだけどな。」




 そう告げた後、そのまま躊躇せずに男を始末し、去って行ったのだった。




(うちに手を出したらどうなるかを、皆理解しただろうし、終始はプラスかな?)


 そんなことを思いながら。



 ちなみに、普段からクロトが動く訳では無い。

 今回は、本当に特別なのだ。











「と、言う訳で、事件は解決したよ?」

「まだあれから五分も経ってないわよっ!?」


 ディアナはクロトの報告を聞いて驚愕した。

 目の前の人物が非常識だということは分かっていた。

 だがそれでも、五分というのには驚かざるを得ないのだろう。


「そんなに早かったかな?結構ゆっくりしていたつもりなんだけど・・・。」

「早いわよっ!寧ろまだ雇用契約書を読み終わってないんだけどっ!?」


 パラパラとページをめくりながら話をするディアナ。


「そんなことより、アイシアとの感動の再会は、いいの?」

「そんなこと!?・・・って、アイシア!無事で良かった・・・!」

「ディアナ先輩・・・!ご心配をお掛けしました・・・!」


 二人は駆け寄って、そのまま抱き合った。


「迷惑なんてどうでもいいのよ!それより、何もされてないわよね!?」

「は、はい。そうなる前に助けて貰いましたから。先輩のおかげです・・・!」

「えっ?私は何もしてないわよ・・・?」

「クロトさんに助けを求めてくれました。余り頼りたく無かったんですよね?」


 アイシアはどこか申し訳なさそうにしている。


「それは、まあ・・・。でも、アイシアの安全を確実にしたかったのよ。」


 クロトに頼ることに慣れたら、自分はダメになると思っていたディアナ。

 そう思う程に、クロトの力は大きい。


「先輩がそこまでしてくれたのが、不謹慎と分かりつつも、嬉しくて・・・!」

「別に、感謝されることではないわよ。アイシアには助けられてばかりだし。」

「私が先輩を、ですか・・・?」


 思い当たることが無くて、不思議そうにしているアイシア。


「例えば・・・私が慢心した時、クロトに引き合わせてくれたでしょ?」

「っ!?気づいて居たんですか、先輩・・・?」

「当たり前でしょ?どれだけ一緒に居ると思ってるのよ・・・?」


 ディアナは呆れたように、付き合いの長さを考えろ、と伝えた。


「・・・・・・。」

「一応言っておくけど、感謝こそすれど、あなたを悪くなんて思ってないわよ?」

「!?」

「・・・その反応は、図星だったみたいね。」


 どう謝ったものかと思考していたアイシアは、肩透かしを喰らってしまった。


「あなたが私のためを思ってやってくれた事、悪く思うはず無いわ・・・。」

「っ・・・ディアナ先輩っ!」


 再び抱き合う二人を、クロトはのんびりと見守っていたのだった。










「・・・さて、話も済んだみたいだし、こちらの話に移ってもいいかな?」

「ええ、待たせて悪かったわ。」


 ディアナがいつでも来いとばかりに体勢を整える。





「・・・と、その前に夕食にしよう。」

「ちょっ!?」


 ディアナは思わずズッコケた。



 その後、帰って来たヴィオラもまじえた夕食を終え、いよいよ本題に。



「それで、ディアナの体を買った件なんだけど・・・。」

「体をっ!?先輩、何でそんなことを!?私の為に、そんな・・・!」

「違うわよ!雇用の話!クロトも紛らわしい言い方しないでよね!」


 ディアナは、元々はそのつもりであったことを棚に上げて、否定した。

 そのことは本人しか知らないはずなので、問題はあるまい。


「ディアナは最初、そういうつもりで言ってたよね?」

「なあっ!?ななな何で知ってるのよ!?」

「ディアナ先輩・・・!」


 訂正。クロトは知っていたようだ。

 ディアナは真っ赤になってあわあわしているし、アイシアは感動で泣き出した。


「・・・やはり、話が進まない。」


 ヴィオラは、なぜ毎回こうなるのかと、首を傾げるのだった。

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