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第二部「創世神降臨」編
紫結晶
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クロトが毒雨の都に興味を持ったのは、紫という印象が強いからだ。
ラファエルの器を作るためには、大量の材料が必要。
その中には、六色結晶もある。
六色結晶は、現在、赤と緑を所持しているため、残りは、青、黄、紫、橙。
クロトは毒雨の都に、この内の紫結晶があるのではないかと睨んでいる。
そんな情報は一切ないので、殆ど当てずっぽうだが。
ただ、紫結晶が手に入る魔物は紫の主だという推測からして、見当外れでも無い。
赤結晶は赤の主から手に入り、その赤の主は、世界七大危険地帯からやって来た。
ならば、紫の主が紫の危険地帯に居ても、おかしな話では無かろう。
そして、紫の主と戦うなら、同行して欲しい人が一人。
言わずもがな、共に赤の主と緑の主を倒した、エメラのことだ。
彼女という戦力無しで、色系の主と戦うのは危険過ぎる。
赤でも紫でも、体の中には、多少なりとも存在する。
それらを問答無用に、物理法則などを無視して好き勝手出来るなど。
どれだけレベル差があっても、爆破されたら死んでしまう。
リスクが高すぎて話にならない。
隠密者を発動するにしても、一瞬でも認識されたらおしまいなのだ。
如何に隠密者と言えど、レベル99の相手に隠密し続けるのは厳しい。
隠密神なら、絶対に出来ないとまでは言わないが、やはりリスクが高い。
それ故に、一撃で「紫の支配者」というスキルを封じることが出来るエメラ。
彼女の協力は、是非とも欲しいところ。
「ん・・・。時間、は・・・ある、から・・・大丈夫、だよ・・・?」
「ありがとう、エメラ・・・。」
危険な戦いが推測される場所に躊躇いなくついて来てくれるエメラ。
クロトはエメラを愛おしく思い、キスをした。
「んっ・・・。んんっ・・・クロト、好き・・・!」
「エメラ・・・僕も、君が好きだよ。」
今回、軽いキスで済ませたのには、理由がある。
「ふぁぁ・・・。エメラさんが・・・こんな顔になるなんて・・・!」
現在クロトが居るのは、シンクレア王国、レドグリアの町。
シンクレア王国第一王女、インフィアがすぐ傍に居るからである。
インフィアは、何故かうっとりしていた。
「・・・それじゃあ、明日の朝迎えに来るから。」
「ん・・・。待って、る・・・。」
クロトはおおまかな予定を告げた後、転移した。
クロトが去った後のレドグリアの町にて。
「エ、エメラさん。キスって、そんなに気持ちのいいものなんですか・・・?」
「ん・・・。凄く、良い、よ・・・?」
エメラは先程のキスを思い出したのか、とろけそうな表情で断言した。
インフィアはその表情を見て、顔が熱くなるのが分かった。
一応言っておくが、インフィアに同性愛の嗜好は無い。
エメラの表情が、女性でもグラつくほどに、色っぽかったのがいけなかった。
「・・・エメラさんって、本当にクロトさんにベタ惚れなんですね。」
「ん・・・。インフィア、も・・・良い、人・・・見つけて、ね・・・?」
「私は・・・当分見つからないかもしれませんね・・・。」
そしてインフィアは、深いため息を吐いたのだった。
翌日の朝、エメラとクロトは、旧ブルータル王国へ向かっていた。
今回は出発時に、他に手の空いている人が居なかったので、二人旅になる。
いきなり転移での直行はしない。
のんびりとした旅というのも、クロトの楽しみの一つ。
愛する人と一緒となれば、より一層、楽しいものとなるだろう。
適当に、旧ブルータル王国を巡りながら、毒雨の都を目指す。
まずは、カラーヴォイスとの境目だった町、スカイブルナを目指した。
カラーヴォイス王国とスカイブルナとの境には、関所の様なものがあった。
ただ、ブルータル王国消滅と同時期に廃止されたので、今は存在しない。
その代わりと言っては何だが、砦が存在している。
魔王の侵略に備えて建設したものに、更に手が加えられたものだ。
まずはその砦に転移してきたクロトとエメラ。
ここから先は、転移を使用せずに進んでいく。
「ん・・・。立派な、砦・・・。」
「他と比べて劣っていたぶん、改修には力を入れたからね。」
ブルータル王国を目指す群れから溢れ出した魔物の撃退、それがこの砦の役割。
それ故に、そこまで力が入っていなかった。
レモニアはすぐに陥落しそうだったので、そちらの境にある砦は、相当固いが。
全ての砦を万全にする時間は流石に無かったので、ある程度の選別をした訳だ。
侵略も終わり、魔王が撃退されたと報じられ、余裕が出来た段階で改修。
今では他と同等かそれ以上の砦になっている。
「さて、先に進もうか。」
「ん・・・。クロト、との、旅・・・とても、楽しみ・・・!」
エメラは興奮を表に出しながら、そう呟いたのだった。
ラファエルの器を作るためには、大量の材料が必要。
その中には、六色結晶もある。
六色結晶は、現在、赤と緑を所持しているため、残りは、青、黄、紫、橙。
クロトは毒雨の都に、この内の紫結晶があるのではないかと睨んでいる。
そんな情報は一切ないので、殆ど当てずっぽうだが。
ただ、紫結晶が手に入る魔物は紫の主だという推測からして、見当外れでも無い。
赤結晶は赤の主から手に入り、その赤の主は、世界七大危険地帯からやって来た。
ならば、紫の主が紫の危険地帯に居ても、おかしな話では無かろう。
そして、紫の主と戦うなら、同行して欲しい人が一人。
言わずもがな、共に赤の主と緑の主を倒した、エメラのことだ。
彼女という戦力無しで、色系の主と戦うのは危険過ぎる。
赤でも紫でも、体の中には、多少なりとも存在する。
それらを問答無用に、物理法則などを無視して好き勝手出来るなど。
どれだけレベル差があっても、爆破されたら死んでしまう。
リスクが高すぎて話にならない。
隠密者を発動するにしても、一瞬でも認識されたらおしまいなのだ。
如何に隠密者と言えど、レベル99の相手に隠密し続けるのは厳しい。
隠密神なら、絶対に出来ないとまでは言わないが、やはりリスクが高い。
それ故に、一撃で「紫の支配者」というスキルを封じることが出来るエメラ。
彼女の協力は、是非とも欲しいところ。
「ん・・・。時間、は・・・ある、から・・・大丈夫、だよ・・・?」
「ありがとう、エメラ・・・。」
危険な戦いが推測される場所に躊躇いなくついて来てくれるエメラ。
クロトはエメラを愛おしく思い、キスをした。
「んっ・・・。んんっ・・・クロト、好き・・・!」
「エメラ・・・僕も、君が好きだよ。」
今回、軽いキスで済ませたのには、理由がある。
「ふぁぁ・・・。エメラさんが・・・こんな顔になるなんて・・・!」
現在クロトが居るのは、シンクレア王国、レドグリアの町。
シンクレア王国第一王女、インフィアがすぐ傍に居るからである。
インフィアは、何故かうっとりしていた。
「・・・それじゃあ、明日の朝迎えに来るから。」
「ん・・・。待って、る・・・。」
クロトはおおまかな予定を告げた後、転移した。
クロトが去った後のレドグリアの町にて。
「エ、エメラさん。キスって、そんなに気持ちのいいものなんですか・・・?」
「ん・・・。凄く、良い、よ・・・?」
エメラは先程のキスを思い出したのか、とろけそうな表情で断言した。
インフィアはその表情を見て、顔が熱くなるのが分かった。
一応言っておくが、インフィアに同性愛の嗜好は無い。
エメラの表情が、女性でもグラつくほどに、色っぽかったのがいけなかった。
「・・・エメラさんって、本当にクロトさんにベタ惚れなんですね。」
「ん・・・。インフィア、も・・・良い、人・・・見つけて、ね・・・?」
「私は・・・当分見つからないかもしれませんね・・・。」
そしてインフィアは、深いため息を吐いたのだった。
翌日の朝、エメラとクロトは、旧ブルータル王国へ向かっていた。
今回は出発時に、他に手の空いている人が居なかったので、二人旅になる。
いきなり転移での直行はしない。
のんびりとした旅というのも、クロトの楽しみの一つ。
愛する人と一緒となれば、より一層、楽しいものとなるだろう。
適当に、旧ブルータル王国を巡りながら、毒雨の都を目指す。
まずは、カラーヴォイスとの境目だった町、スカイブルナを目指した。
カラーヴォイス王国とスカイブルナとの境には、関所の様なものがあった。
ただ、ブルータル王国消滅と同時期に廃止されたので、今は存在しない。
その代わりと言っては何だが、砦が存在している。
魔王の侵略に備えて建設したものに、更に手が加えられたものだ。
まずはその砦に転移してきたクロトとエメラ。
ここから先は、転移を使用せずに進んでいく。
「ん・・・。立派な、砦・・・。」
「他と比べて劣っていたぶん、改修には力を入れたからね。」
ブルータル王国を目指す群れから溢れ出した魔物の撃退、それがこの砦の役割。
それ故に、そこまで力が入っていなかった。
レモニアはすぐに陥落しそうだったので、そちらの境にある砦は、相当固いが。
全ての砦を万全にする時間は流石に無かったので、ある程度の選別をした訳だ。
侵略も終わり、魔王が撃退されたと報じられ、余裕が出来た段階で改修。
今では他と同等かそれ以上の砦になっている。
「さて、先に進もうか。」
「ん・・・。クロト、との、旅・・・とても、楽しみ・・・!」
エメラは興奮を表に出しながら、そう呟いたのだった。
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