異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

穏やかな日々

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 クロトたちがエルフの里へ来てから一週間。


 里のエルフとはすっかり顔見知りになった。

 今では仲良く話しをする間柄だ。


 エルフという種族は、基本善良な種族のようで、負の感情の類をほぼ感じない。

 感じたとしても、外に出たことがあるエルフの、軽い警戒心くらいだった。

 それもすぐに無くなってしまったが。


「クロト!端的過ぎると何度言えば分かるんですの!?」

「一度で分かるよ?直さないだけで。」

「色々と想像を働かせるこちらの身にもなってくださいましっ!?」

「じゃあ、入れ替わってみる?確かそういうアーティファクトが・・・?」

「・・・今のは言葉の綾ですわっ!」


 マリアは入れ替わったのを想像したのか、顔が赤い。

 一体何を想像したのやら。


 とまあ、こんなやりとりを見せられて、警戒心を持ち続けるのは困難だろう。




 そして現在、子供たちと一緒に自然の中でお昼寝中である。

 カレンやエメラ、マリアも、スヤスヤ眠っている。


 クロトも、今にも眠ってしまいそうな気配。

 自然の中が、あまりにも心地良過ぎるためだ。


 クロトは眠りにつこうと瞳を閉じ・・・ずに、目を覚ました。


 里に近づく魔物を察知したが故に。


(・・・こういうのを無粋って言うんだね。)


 数日に一度くらいは、結界を超えて魔物がやって来ることは聞かされていた。

 だが、なにもこのタイミングで来なくとも。

 そう思わずには居られないクロト。


 ちなみに、魔物は皇帝種だったのだが、エルフたちによってボコボコに。

 長き時を生きる者の集団は伊達じゃ無かった。

 戦闘員のエルフたちにとっては、いい訓練になっているようだ。


 クロトは魔物の討伐を確認して、今度こそ瞳を閉じた。








 クロトが目を覚ますと、隣でユフィが眠っていた。


(ユフィには、お父さん扱いされたっけ。あれから一度も言って無いけど。)


 クロトは一週間ほど前のことを思い出した。

 そして、自分の子供について考えを巡らせる。


(子供は結婚してからになるけど・・・ちゃんと育てられるかな・・・?)


 こればかりは、クロトも珍しく不安を抱えているようである。


(・・・悩んでも仕方ないか。出来る事を最大限やるしか無いんだし・・・。)


 自分の子供に関しての思考を打ち切り、その分の思考は別の事柄へ。


(仮にユフィが娘となるとセーラは・・・これも考えないでおこうかな・・・。)


 そちらの思考も打ち切・・・・・・ろうとして、何か引っ掛かりを覚えたクロト。

 だが、それが何なのかは分からず仕舞い。

 クロトでも分からない以上、相当細い線の引っ掛かりだったのかもしれない。


 思考を続けても分からない気がしたので、やむなく思考を打ち切る。


(ま、時間はあるんだし、焦る必要も無いよね。)


 クロトはそう判断して、再び瞳を閉じた。







 次に目を覚ました時には、既に夕方。


 クロトは皆を起こして、子供たちを送っていく。

 子供たちは眠ったままなので、クロトたちが運ぶ。


 送り届けた家で親御さんにお礼を言われつつ、クロトたちもセーラ宅へ。


 みんなたっぷり昼寝をしたのに、グッスリ眠れた。

 普通、昼間に沢山寝てしまえば、夜は眠れないものなのだが・・・。

 その辺については、世界樹の効果とでも思っておけばいいのだろう。









 翌日、クロトは世界樹ユグドラシルの根元へやって来ていた。
 

(何度見ても異常は無いから、やっぱり求めているものを当てるしかないね。)


 クロトは時間を掛けて念入りに確認したものの、異変は見つけられない。

 それ故に、次の段階へ進むことを考える。


 考え込んでいる時、神の瞳に反応が。

 かなり近くに来るまで気づけなかったのは、世界樹の雰囲気によるものだろう。


 反射的に隠密者を発動するも、セーラの反応だと分かり、肩の力を抜く。



「・・・あら?世界樹に来ていると思ったんだけど・・・?」


 クロトは隠密者を発動しているので、気づいていない様子のセーラ。

 クロトはすぐ目の前に居るのだが。


 隠密神となった隠密効果に、神天魔の法衣、闇夜の鈴、孤高シリーズ。

 これだけ合わさると、予め隠密しているのを見つけるのは至難の業。

 レベル100を超えた超越者であるセーラも、それは同じ。


 セーラは金髪を揺らしながら、きょろきょろと辺りを見回している。

 何時までも捜させるのは悪いので、セーラに近づきながら、隠密者を解除。


「ここに居ないとなると、森の中・・・っ!?」


 クロトが隠密者を解除した瞬間、セーラはその場から跳び退った。

 一瞬で収納から武器を取り出し、油断なく構えている。

 普段の様子からは欠片も感じない真剣な表情。

 見る者を怯えさせるほど、強者の雰囲気を放っている。


「・・・って、クロト君!?驚かせないでよ、もう・・・!」


 間近に急に現れた気配がクロトのものだと分かり、いつもの雰囲気へ。


 少しだけクロトを睨みながら、胸を撫でおろすセーラ。

 かなり心臓に悪かったみたいだ。


 強者であるが故の反応かもしれない。


 クロトは驚かせたことを誠心誠意謝罪するのだった。

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