異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

魔王の侵略 六日目ー2

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 レクスシールの町には、カレンが常駐していた。

 カレンの剣術は、人型である天使と悪魔の相手に丁度いい。




「絶剣九曜連閃・逆流!」


 間近に迫っていた十八体のケルビムをすべて斬り捨てたカレン。

 追加でやって来たケルビム四体も、天剣八本で貫く。

 カレンの始祖天剣術・絶は天剣にも及ぶので、狙いに狂いはない。



 時間も夕刻を過ぎたころ、この日最後の試練が。


「・・・セラフィムか。私一人だと時間が掛かるな。」


 決して勝てないという訳では無いのだが、時間は掛かるし消耗も大きい。

 素直に増援を呼ぶことにした。


 少ししてやって来たのは、クロトの分身。

 転移直後に、セラフィムの背後から攻撃。


「神天一閃・龍絶!」


 セラフィムは察知すら出来ず、縦に真っ二つに。


「じゃあ、あとはよろしくね、カレン。」

「ああ、ありがとう、クロト。」

「どういたしまして。」


 僅かに微笑まれて鼓動が跳ねるカレン。

 戦場なのですぐに平常心を取り戻して、再び戦い始めた。


 既に、斬り捨てた天使と悪魔は、数えきれない。










 他の町にも、高ランク冒険者が常駐していた。

 ミレアイルドの町へはマリア。

 ソーラドールの町へはナツメ。


 飛行型魔物へは空を飛べるマリア。

 死者の迷宮から出てくる霊体系魔物は、ナツメが相手にする。

 悪くない配置だ。


 ファシアド付近はだいぶん落ち着いているので、常駐はさせない。



 ミレアイルドの町では、マリアがエンプレスハーピーと空中戦をしていた。




「天魔法術・天玉!」


 マリアが五感を失わせる天玉を、大量にばら撒いた。


 両者共に、それに当たらないように戦闘している。

 マリアは操作性の高い白羽を六枚駆使して、天玉を全く苦にしない。


 女帝ハーピーは苦労しており、やがて交わしきれずに衝突、五感を失った。


「天魔剣・楽園!」


 その瞬間を狙っていたマリアの剣技が炸裂。

 闇と光を纏った剣技は敵を一刀両断にし、絶命させた。


 天玉を消して周囲を見渡す。

 そして何も居ないことを確認して、一息吐いた。








 ソーラドールの町では、ナツメが霊体系魔物を斬り捨てていた。


「ふう。一休みするでござるか。」


 周囲の魔物が全滅し、ナツメは休憩することを決めた。


 ナツメは元々S-ランクに相応しい実力だったが、クロトの教えを受けて成長。

 そして、抜刀術の技術の足を引っ張っていた身体能力。

 これも、旅行中にレベルが大幅に上がったことで改善された。


 刀の効果も合わせれば、既に父親のシュウヤとも渡り合える強さを誇る。


 王種までのアンデッドなど、片手間に倒せる。

 しかし、たった今現れたのは、別物。


「・・・死皇帝、でござったか。闇魔法はまずいでござるな・・・。」


 ナツメは魔道具を使い、大至急連絡を入れた。


 その間にも、死皇帝が魔法を構成する。

 そして、回避不能、防御不能のそれを発動し・・・


「魔法吸収せし黄金の瞳、発動!」


 ・・・転移してきたディアナがそれを吸収。


「抜刀術・鳳凰!」


 ナツメが隙だらけの死皇帝に攻撃。

 速すぎる刃に、鎌での迎撃が間に合わず、直撃。


「納刀術・影無!」


 軌道の見えない一撃がとどめとなり、死皇帝は命を落とした。






「ディアナ殿、助太刀助かったでござるよ。」

「気にしなくてもいいわよ?お互い様なんだし。」

「そうでござるか?その心の広さ、流石はクロト殿の恋人候補でござるな。」

「ちょっ!?何よそれっ!?どういうことっ!?」


 ディアナは、唐突に意味不明なことを言われ、ナツメを問い詰めた。


「どういうことと言われても・・・恋人方の間では有名でござるよ?」

「有名!?何でそんなことになってるのよ・・・!?」


 ディアナは顔に両手を当てて、狼狽え始めた。

 ナツメはディアナの想いを確かめるべく、尋ねてみた。


「ディアナ殿は、クロト殿のことを好きでは無いでござるか?」

「・・・・・・クラッと来た時期もあったけど、今はそんなんじゃないわよ。」

「・・・・・・。」


 真剣な瞳でナツメを見つめながら断言したディアナ。

 その瞳に動揺の色は無く、嘘を吐いているようにも見えない。


 とりあえずは納得しておき、この日の防衛戦は終了したのだった。






 六日目を終えて、シンクレア王国とブルータル王国はボロボロだ。

 特に後者は、大半の町が陥落している。

 シンクレア王国も、被害が少ないのはグリーンフォレスト領だけ。

 東国ジャンゼパールは魔物が少ないので、なんとかなっている。




 そして、明日は七日目。

 魔王カリスが全力で攻勢に出始める。


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