異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

カレンVSウリエル

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 カレンは大天使ウリエルと相対していた。


「妙な真似をしてくれたようだな・・・・・・無駄なことを。」

「ほう?魔物が言葉を話すのか。いや、別におかしくは無いのか。」


 ウリエルが話し出したことで、カレンは驚く。

 だがしかし、すぐに平常心に戻った。


「ふん・・・下賤な人間の分際で・・・っ!?なんだ?力が入らない・・・?」


 ウリエルが、突然抜けていく力に驚愕して取り乱している。

 クロトが闇輪と光輪を生成したからだ。


 隔離空間内にも、力の増減は効果を発揮するよう、魔法陣に設定されている。

 とことん何でもありのようだ。

 理論上は魔法陣で何でもできる、というベッカーの教えは的を射ていた。


 そして、その隙を逃すカレンでではない。

 光輪の効果で上昇した能力値を生かして、ウリエルに接近する。


 神天魔の法衣に、ちゃっかりとついていた効果、相乗効果極大上昇。

 これにより、光輪の効果は味方全てに及ぶ。

 闇輪の効果も、全ての敵に及ぶ。


 現在、カレンの能力値は平均3000前後。

 一方のウリエルは、平均1500。


 とてもではないが、接近してくるカレンに対応できない。


「絶剣九曜連閃!」

「っ!しまっ・・・ぐあっ!?」


 結果、ウリエルに大ダメージが入った。

 三割ほどはHPが減っただろう。

 カレンはさらに追撃。


「絶剣九曜連閃・逆流!」

「ぐっ、また・・・何だ、この軌道は!?」


 先程の剣技を逆再生したかのような九連撃が全て炸裂。

 ウリエルのHPは残り四割を切った。

 僅か数秒間の出来事だった。

 あまりに的確な剣技に、油断していたウリエルは全く対応できなかった。

 炎天剣術10でもこれだ。


 カレンの始祖天剣術はレベル9。

 この状態で、常に最高の剣の腕を誇るのだ。

 現在、両者の強さは隔絶している。

 レアスキルとユニークスキルの差とも言えるだろう。


「くっ・・・舐めてかかったのは失敗か。なら・・っ!?今度は何だ!?」


 突如、どこからか襲ってきた威圧感に、恐怖を覚えるウリエル。

 僅かに体が震えている。


 クロトが新天魔の法衣の隠蔽を解除したのだ。

 カレンに対しての威圧は隠蔽されたままなので、何も感じないカレン。

 隠密者応用の選別効果だ。
 

 再び隙が出来たウリエルに接近する。


「っ、臨界突破!」


 今度は臨界突破が間に合ったウリエル。

 炎の魔法剣で迎撃する。


 現在ウリエルの能力値は、平均4500。

 カレンの九連撃を全て叩き落した。


「絶剣九曜連閃・逆流!」

「同じ技が何度も効くと・・・っ!?この軌道はっ、先程と違うっ!?」


 ウリエルは迎撃に失敗して、僅かにダメージを喰らった。

 カレンの剣技は、千変万化するのだ。

 今まで同じものしか使わなかったのは、ただのブラフ。

 そう思わせて隙をつくるための誘導だ。


 そこから数度、剣を打ち合ったカレンとウリエル。

 
 能力値で劣っていながらも、カレンは何とか食い下がっている。

 とはいえ、光輪と闇輪の効果が切れる前に勝負をつけたいカレン。


 そこに、隠密者を発動していた分身の援護が入る。

 状況を見る限り、前衛に加わった方が良さそうだ。


「神天一閃・龍絶!」

「っ?これはっ・・・何が来ると言うのだっ!?」


 驚異的な最高値の天感で、ギリギリ察知したウリエル。

 何処かから、何かヤバいモノが、そのうちに来る。

 ハッキリ言って、これでは対応のしようがない。

 取り乱すウリエルに、クロトの一撃が決まる。


「ぐあああっ!?」


 HPを一割以下まで減らされたウリエルは、絶叫した。

 カレンが引き付けてくれたおかげで、まともに入った。


 カレンとクロトが、ズタボロになったウリエルに追撃を行う。


「絶剣九曜連閃!」

「極天八奏連閃・全絶!」


 十六回の攻撃を半分以上受けて、HPは一桁に。

 カレンの九撃目を受けて、ウリエルのHPはゼロに。


「・・・カレン!回避!」

「っ?」


 分身から出た指示に従い、カレンは距離をとる。


 直後、ウリエルの体が爆発。

 ゴーレムの自爆魔法よりは威力が落ちるが、中々酷い置き土産だ。

 おそらく、ミカエルの天使統率の効果だろう。

 死んだら自爆させるとは・・・・・・実に合理的。


「まさか自爆とはな・・・。」

「合理的ではあるけどね・・・。」


 クロトの言に、カレンはあきれ顔だ。


「私の死体でも同じことをするのか・・・?」


 それは少しだけ嫌だと思ってしまうカレン。

 もっとも、必要とあらば、やって欲しいとも思っているが・・・。


「うん?そもそも、死体になんてさせないけど?」

「っ?っ・・・!?クロト、不意打ちはやめて欲しいのだが・・・。」


 ごく自然体で、そのようにのたまったクロトに、そんな苦言を漏らした。


 耳まで真っ赤に染めながら。


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