117 / 600
第一部「六色の瞳と魔の支配者」編
ダイダル海域まで
しおりを挟む
クロトが、容赦なくカレンのトラウマを抉った日の四日後。
護衛依頼の日がやってきた。
そんなに多くは無い依頼なのだが、タイミングが良かったようだ。
クロト率いるランクSパーティー「黒白の翼」は港に来ていた。
カレンのランクはついにS+に上がり、アクアも先日の功績でS-ランクに。
S+ランク2名とS-ランク2名なので、Sランクパーティーとなった。
当然の如く、そんな超戦力パーティーは大歓迎された。
依頼人はもちろん、冒険者たちもだ。
今回雇われた冒険者は55名。
クロトたち以外だと、Aランク2名が最高ランク。
大きな問題が起きなければ、これでも問題はないのだが・・・。
危険地帯を通るとなると、やはり不安が大きいのだろう。
船は意気揚々と出港したのだった。
数十分後。
「デ、デ、デビルオクトパスの皇帝種がでたぞ!」
「「「なんだとっ!?」」」
まだ危険地帯にすら入っていないのだが、本当に大丈夫なのだろうか。
その皇帝種は、アクアが凍らせたところを、カレンが斬り捨てた。
カレンはカレンで強くなっている。
レベルも96の「絶剣」は伊達じゃない。
「今度はクラーケンだ!」
「「「クラーケンだとっ!?」」」
またしても皇帝種が出現。
クロトが「極天一閃・全絶」で仕留めた。
危険地帯までが遠い。
「た、大変だっ!」
「「「今度は何だっ!」」」
冒険者たちが、またか、と言った表情をしている。
そして、見張りの冒険者が、迫っているモノの正体を告げた。
「フレイムフェニックスだ!」
「なんでそんな奴がこんなところに居るんだ!」
「現れる場所間違えてるだろっ!」
「俺に言われても困るぞ!?」
見張りのA-ランク冒険者が泣きそうだ。
クロトが氷漬けにしようとしたのだが、そこに声が掛かった。
「クロトさん、私がやってもいいでしょうか。」
「アクアが?分かった、お願いするよ。」
何か考えがあるのだろうと思い、任せることにしたクロト。
不死のフェニックスをどう仕留めるのだろうか。
アクアは船の上から、海に魔力を流し始めた。
「大いなる水よ、優しき水となり玉を形作れ。超巨大水玉!」
アクアが魔法言語で言葉を紡ぐと、フェニックスの周囲の海が蠢いた。
そして、不死鳥の居る場所へ、高速で向かっていった。
途方もない量の水が動いている。
不死鳥も回避するのだが、アクアが操っているようで、追尾している。
やがて避け切れなくなり、水に掴まった。
水は超巨大な球体となり、中心に不死鳥が捕らわれている。
そして、アクアは再び、魔力を込めて言葉を紡ぐ。
「優しき水よ、その仮初の姿を現し、冷たき永久の戒めを。」
超巨大水玉の温度が下がっていく。
そしてそのまま、魔法名を告げる。
「永久氷玉!」
超巨大水玉が一瞬で凍り付き、氷の塊となった。
その氷の密度は恐るべきもので、不死鳥の脱出は不可能だろう。
「・・・お見事。」
クロトは、アクアに誉め言葉をかけたのだった。
戦闘を終えたアクアは、キラキラと舞う水に包まれ、とても神秘的だ。
なお、この戦闘でアクアは、大海魔法を覚えたそうだ。
魔法言語の存在が習得の近道となったのだろう。
「凄かったですアクアさん!いえ、「水姫」様!」
「あの、異名で呼ぶのはやめていただけると・・・。」
アクアに異名がついたようだ。
これまでは、人前ではあまり実力を見せなかったので、ついていなかった。
今回の戦いはとても派手だったので、「水姫」という異名がつけられた。
アクアも、異名で呼ばれる気恥ずかしさが理解できたようだ。
「アクア、これからはアクア姫と呼んだ方がいいかな?」
「クロトさんまで・・・!」
アクアは珍しく、責めるような視線をクロトに送る。
頬をぷくっと膨らませているので、怖いどころか可愛いのだが。
クロトはアクアを抱き締めた。
周りの冒険者たちが羨ましそうにしているが、クロトは気にしない。
冒険者たちも、クロトの実力は知っているので、文句は言えない。
誰が、皇帝種を瞬殺できる男に喧嘩を売れるというのか。
この場にそのようなことをする馬鹿はいない。
クロトは水姫様に相応しいと思い、涙を呑む男が多数。
「大好きだよ、アクア。」
「あぅ・・・。私も、大好きです、クロトさん・・・!」
二人はキスしたくなるのをなんとか堪えて、抱き合うにとどめたのだった。
護衛依頼の日がやってきた。
そんなに多くは無い依頼なのだが、タイミングが良かったようだ。
クロト率いるランクSパーティー「黒白の翼」は港に来ていた。
カレンのランクはついにS+に上がり、アクアも先日の功績でS-ランクに。
S+ランク2名とS-ランク2名なので、Sランクパーティーとなった。
当然の如く、そんな超戦力パーティーは大歓迎された。
依頼人はもちろん、冒険者たちもだ。
今回雇われた冒険者は55名。
クロトたち以外だと、Aランク2名が最高ランク。
大きな問題が起きなければ、これでも問題はないのだが・・・。
危険地帯を通るとなると、やはり不安が大きいのだろう。
船は意気揚々と出港したのだった。
数十分後。
「デ、デ、デビルオクトパスの皇帝種がでたぞ!」
「「「なんだとっ!?」」」
まだ危険地帯にすら入っていないのだが、本当に大丈夫なのだろうか。
その皇帝種は、アクアが凍らせたところを、カレンが斬り捨てた。
カレンはカレンで強くなっている。
レベルも96の「絶剣」は伊達じゃない。
「今度はクラーケンだ!」
「「「クラーケンだとっ!?」」」
またしても皇帝種が出現。
クロトが「極天一閃・全絶」で仕留めた。
危険地帯までが遠い。
「た、大変だっ!」
「「「今度は何だっ!」」」
冒険者たちが、またか、と言った表情をしている。
そして、見張りの冒険者が、迫っているモノの正体を告げた。
「フレイムフェニックスだ!」
「なんでそんな奴がこんなところに居るんだ!」
「現れる場所間違えてるだろっ!」
「俺に言われても困るぞ!?」
見張りのA-ランク冒険者が泣きそうだ。
クロトが氷漬けにしようとしたのだが、そこに声が掛かった。
「クロトさん、私がやってもいいでしょうか。」
「アクアが?分かった、お願いするよ。」
何か考えがあるのだろうと思い、任せることにしたクロト。
不死のフェニックスをどう仕留めるのだろうか。
アクアは船の上から、海に魔力を流し始めた。
「大いなる水よ、優しき水となり玉を形作れ。超巨大水玉!」
アクアが魔法言語で言葉を紡ぐと、フェニックスの周囲の海が蠢いた。
そして、不死鳥の居る場所へ、高速で向かっていった。
途方もない量の水が動いている。
不死鳥も回避するのだが、アクアが操っているようで、追尾している。
やがて避け切れなくなり、水に掴まった。
水は超巨大な球体となり、中心に不死鳥が捕らわれている。
そして、アクアは再び、魔力を込めて言葉を紡ぐ。
「優しき水よ、その仮初の姿を現し、冷たき永久の戒めを。」
超巨大水玉の温度が下がっていく。
そしてそのまま、魔法名を告げる。
「永久氷玉!」
超巨大水玉が一瞬で凍り付き、氷の塊となった。
その氷の密度は恐るべきもので、不死鳥の脱出は不可能だろう。
「・・・お見事。」
クロトは、アクアに誉め言葉をかけたのだった。
戦闘を終えたアクアは、キラキラと舞う水に包まれ、とても神秘的だ。
なお、この戦闘でアクアは、大海魔法を覚えたそうだ。
魔法言語の存在が習得の近道となったのだろう。
「凄かったですアクアさん!いえ、「水姫」様!」
「あの、異名で呼ぶのはやめていただけると・・・。」
アクアに異名がついたようだ。
これまでは、人前ではあまり実力を見せなかったので、ついていなかった。
今回の戦いはとても派手だったので、「水姫」という異名がつけられた。
アクアも、異名で呼ばれる気恥ずかしさが理解できたようだ。
「アクア、これからはアクア姫と呼んだ方がいいかな?」
「クロトさんまで・・・!」
アクアは珍しく、責めるような視線をクロトに送る。
頬をぷくっと膨らませているので、怖いどころか可愛いのだが。
クロトはアクアを抱き締めた。
周りの冒険者たちが羨ましそうにしているが、クロトは気にしない。
冒険者たちも、クロトの実力は知っているので、文句は言えない。
誰が、皇帝種を瞬殺できる男に喧嘩を売れるというのか。
この場にそのようなことをする馬鹿はいない。
クロトは水姫様に相応しいと思い、涙を呑む男が多数。
「大好きだよ、アクア。」
「あぅ・・・。私も、大好きです、クロトさん・・・!」
二人はキスしたくなるのをなんとか堪えて、抱き合うにとどめたのだった。
0
お気に入りに追加
6,336
あなたにおすすめの小説
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません
詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編の予定&完結まで書いてから投稿予定でしたがコ⚪︎ナで書ききれませんでした。
苦手なのですが出来るだけ端折って(?)早々に決着というか完結の予定です。
ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいですm(_ _)m
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。
周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。
見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。
脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。
「マリーローズ?」
そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。
目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。
だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。
日本で私は社畜だった。
暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。
あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。
「ふざけんな___!!!」
と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。
婚約も結婚も計画的に。
cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。
忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。
原因はスピカという一人の女学生。
少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。
「あ、もういい。無理だわ」
ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。
ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。
ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。
「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。
もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。
そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。
ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。
しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~)
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
進学できないので就職口として機械娘戦闘員になりましたが、適正は最高だそうです。
ジャン・幸田
SF
銀河系の星間国家連合の保護下に入った地球社会の時代。高校卒業を控えた青砥朱音は就職指導室に貼られていたポスターが目に入った。
それは、地球人の身体と機械服を融合させた戦闘員の募集だった。そんなの優秀な者しか選ばれないとの進路指導官の声を無視し応募したところ、トントン拍子に話が進み・・・
思い付きで人生を変えてしまった一人の少女の物語である!
専属奴隷として生きる
佐藤クッタ
恋愛
M性という病気は治らずにドンドンと深みへ堕ちる。
中学生の頃から年上の女性に憧れていた
好きになるのは
友達のお母さん
文具屋のお母さん
お菓子屋のお母さん
本屋のお母さん
どちらかというとやせ型よりも
グラマラスな女性に憧れを持った
昔は
文具屋にエロ本が置いてあって
雑誌棚に普通の雑誌と一緒にエロ本が置いてあった
ある文具屋のお母さんに憧れて
雑誌を見るふりをしながらお母さんの傍にいたかっただけですが
お母さんに「どれを買っても一緒よ」と言われて買ったエロ本が
SM本だった。
当時は男性がSで女性がMな感じが主流でした
グラビアも小説もそれを見ながら
想像するのはM女性を自分に置き換えての「夢想」
友達のお母さんに、お仕置きをされている自分
そんな毎日が続き私のMが開花したのだと思う
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。