異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

エピローグ9

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「クロト、アクアに何をしたんですの・・・?」

「え?特別なことはしていないはずだよ?」

「・・・それは嘘だと言わざるをえない。」

「ええ・・・?」


 クロトとしては、当然の如く、慰めの言葉を掛けただけ。

 特別な事など何もしていないつもりであるため、心当たりがない。

 結果として、困惑することとなった。


「さっさと白状してくださいまし。」

「・・・クロトは、嘘を吐かないはず。」

「いや、本当に心当たりが無いよ・・・?」


 自分は何もしていないと否定するクロト。


「でしたら!何故こんなことになっているのかを説明してくださいましっ!」


 マリアが示した方にあるのは・・・




「あああああっ!?」



 ・・・叫びながら、床で転げまわるアクアの姿だった。





 仕方が無いので、先ほどあったことを説明しようとするクロト。


「実は、さっきアクアが「あああああっ!何でもありませんよっ!」・・・。」


 アクアがクロトを遮った。

 自分の痴態のことを言われてはたまらないからだ。


「本当に何も無かったんですの・・・?」

「はい。本当に何もありませんでした。」


 アクアはいつも通りに戻って、そう答えた。


「・・・なら、何も無かったのに、転げまわる人ということに?」

「もう、それで構いませんから・・・。」


 ヴィオラとマリアは首を傾げながらも、一応は納得したのだった。

 アクアは少し泣きそうだったが。







 ちなみに、この件の真相は、後日明らかになるのだが、それはまた別の話。









 クロトたちは、ダンジョンコアのある小部屋へやって来ていた。

 四人で一斉にダンジョンコアを破壊する。




<ダンジョンが踏破されました>

<踏破されたダンジョンのレベルは9です>

<規格外の個体との戦闘ログを確認>

<目録から11個お選びください>




 どうやら、全剣帝はユニークモンスターだったらしい。

 解体の結果、死体以外は目ぼしいものが手に入らなかったが。

 いや、1つだけ、全剣帝の剣は、かなりの上物だった。

 話し合った末、ヴィオラに渡された。


 報酬を選んでいく四人。

 ヴィオラは剣を貰ったため、他の三人よりも1つ少ない。


 選び終わると転移水晶が出現したので、それに触れて転移する。






 ダンジョンの入口に戻って来たクロトたち。


「天空島のマーキングは済んだから、もう大丈夫だね。」

「・・・岩が落ちて来ても気づける、と?」

「そういうこと。」


 クロトは、わざわざ天空島を探した目的を果たした。


「さて、それじゃあ帰・・・?」

「どうかしましたか、クロトさん?」


 突然言葉をとめたクロトを心配して、そう尋ねるアクア。

 クロトはとあるものを見つけたため、そちらに向かって行く。

 
 やってきた所にあったのは、石ころの山。


「クロトさん・・・?」

「アクア・・・これ、大空の恩恵なんだけど。」

「え?・・・えええっ!?これらが全て、ですか・・・!?」


 そこにあったのは石ころの山にあらず。

 大空の恩恵なり。


 クロトは文字通り、山となっているソレらを見ながら、呟いた。




「まあ、空のエネルギーなんて、他に行き場がないよね・・・。」




 大空の恩恵は、大地の恩恵や大海の恩恵と、同じくらいの価値がある。

 それが山のように存在している。


 クロトの資産はまたしても増え、他の三人も、売れば大金持ちだ。

 


 そんな中、クロトが心配することは、2つ。


 1つは、グレンが買い取れるかどうか。


 そしてもう1つは・・・
 
 

「マリア、お金が入っても、ニートにはならないよね・・・?」

「そんなものにはなりませんわ!わたくしを何だと思ってますの!」

「何って・・・無職?」

「ですからっ、無職と言わないでくれませんのっ!?」



 そんな訳で、天空島の探索は終わったのだった。






 後日、グレンに大空の恩恵のことを話すと、やはり買取を希望した。

 お金は大丈夫なのかとクロトが思っていたら、袋を大量に持ってきた。


「あの、このお金はどうしたんですか・・・?」


 なぜ、こんなに大量の黒金貨があるのかを尋ねる。

 グレンのことなので心配はしていないが、どうやって稼いだのか、気になった。


「故郷まで行って、家の倉庫から持ってきただけだ。」

「なるほど・・・。」


 怪しいお金で無くて何よりである。


「何人か破産してるかもしれないが、どうでもいい。」


 クロトは、そんなグレンの言葉を、聞かなかったことにしたのだった。



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