異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

成長し続けるアクア

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 翌朝、目を覚ましたクロトは、今日の行動についてもう一度考えた。


(この大魔法陣の先に何があるか・・・。またバラバラに転移という恐れもある。)


 昨日達した結論と同じで、行ってみなければ分からない、となった。

 いくらクロトでも、魔法陣の解析は専門外なのだ。

 とはいえ・・・


(この陣の構造からして、転移自体は安全に行われるはず・・・。)


 まだ何度も見ていない魔法陣から、そこまで理解できるだけで十分だ。

 
(この部分で空間座標を指定、そこにある魔法陣と連動させて・・・。)


 

 ・・・数時間後。

 結局、クロトは8割方解析してしまった。

 一体、この男の頭はどうなっているのか。

 
 クロトの解析によると、転移魔法陣を構成する要素は、大きく分けて3つ。

 
 1つ、空間座標の指定。

 2つ、指定先にある魔法陣と、双方向性の空間連結・連結解除を行う。

 3つ、魔法陣上の存在を、指定先の魔法陣から誘引する。


 簡単に言えばこんな感じだ。

 この3つがきっちり構成されていれば、安全に転移できる。


 また、バラバラに転移させるには、空間座標を多数指定する必要がある。

 さらに、3つ目の要素に、個体識別機能の組み込みが必要になる。

 そして、今回の大魔法陣にも、その機能が組み込まれていた。

 指定することになる空間座標は、恐らく2つ。


 つまり、二手に分かれることになる。

 なお、誘引機能の受け手としての重みが同じだったので、二人ずつの転移だ。

 組み分けは、魔法陣上の存在位置によって変わる。


 結局何が言いたいのかというと、ペアの組み分けを決めよう、ということだ。




 解析した結果をアクアたちに伝え、ペアの組み分けについて相談した。

 マリア辺りは、クロトの頭の中身を本気で知りたそうだったが、それはそれ。


 組み分けは少々悩んだが、クロト&アクア ヴィオラ&マリアになった。

 
 そして四人は大魔法陣に乗り、転移していったのだった。







 クロトとアクアが転移してきたのは、小部屋だった。

 小部屋から続く道は一本のみ。


「この先ずっと、一本道のようですね。」

「そうだね。天の瞳でも確認した。」


 二人の感知では、複雑な道にはなっていないようだ。







「クロトさん、準備完了です!」

「了解!やってくれ!」

「はい!・・・・・・極氷絶波!」


 アクアを中心とした氷の刃が、同心円状に広がっていく。

 それはまるで、波紋のよう。

 とても美しい光景だ。

 呆けているとクロトも危険なので、羽を生成し、空へ退避。


 周囲を囲んでいた近衛騎士たちは、一網打尽にされた。

 大部分の近衛騎士は、胴体の位置で真っ二つだ。

 瞳の効果の波紋に、氷獄魔法と空間魔法を乗せているようだ。

 この魔法の恐ろしい所は、波紋が止まらないことにある。


 敵を切断しても、まだまだ進んでいく波紋。

 どこまで逃げても追ってくる波紋。

 高速で近づいてくる波紋。


 恐ろしいにも程がある。

 回避には、空を飛ぶなどの特殊な方法が必要だ。

 流石に、ダンジョンの壁は切り裂けないようだが。

 ただし、消費は大きめ。

 乱発はしたくない技のようだ。



 周囲に100体近く存在した近衛騎士は、呆気なく全滅。

 魔法が発動するまでは、クロトが「天落・小」で足止めした。

 なお、近衛騎士のレベルは50~65。

 すべて皇帝種クラスだったりする。



「アクア、一度小休止にしよう。」

「はい、分かりました。」


 現在クロトたちの居る大部屋に、安全地帯があった。

 そこで小休止することにした二人。


「アクア、消費の方は大丈夫?」

「大丈夫です。クロトさんの天落ほどは消費しませんので。」


 詳しく聞いてみると、なるほど、と思ったクロト。

 どうやら、消費の少ない瞳の波紋に乗せることで、消費を抑えているようだ。

 かなり考え込まれた良い魔法である。


「アクア、本当に強くなったね。」

「そう、ですか・・・?」


 首を傾けて考え込み始めた。

 アクアは、まだまだ納得していないようだ。

 
 アクアのレベルは既に87になっている。

 応用力も高く、状況に応じた作戦も立てられるようになった。

 オリジナル魔法の開発までやってのけている。


 だが、比較対象がクロトだからか、慢心を知らないアクア。

 これからも、さらに強くなっていくだろう。

 クロトは、それが楽しみで仕方ない。




 小休止を終えてから暫く進むと、大きな扉を見つけた。

 どうやら、ダンジョンボス部屋のようだ。



 とりあえずは、ヴィオラとマリアの到着を待つことにした二人だった。

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