朧月楼の殺人

回転饅頭。

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 私は御厨の首の部分を、上層階(推理研究会の階)からスーツケースに入れ、ベッドの下にある抜け穴から下層階(演劇サークル)に下ろした。そもそも御厨は私が部屋に呼び出し、一緒に呑まないかと誘ったのだ。ほいほい着いてきた御厨を私は自室で殺害し、首を切断。多少骨は折れたが踏み台を使い上層階に御厨の胴体を持ち上げた。
 勿論、上層階のデュパンの部屋である竜舌蘭の間は、内部から鍵をかけていた。これで密室のトリックは完了だ。
 これで一応、演劇サークルにおける私の役目は終わった。私は御厨さえ殺害すればよかったのだ。しかし、予想外の事件が起こった。
 私は空き部屋になった御厨の部屋から上層階に上がり、眠っていたポワロを殺害した。そして部屋に戻ろうとした際に、なんと神戸が馬酔木の間にいたのである。衝動的に神戸を殺害してしまった私は、こっそりとエレベーターホールに神戸を移動させ、そのまま1階に向かった。その時に聞こえた悲鳴は、上層階でポワロを発見したマープルだろう。意外にこの建物は音が漏れるのである。
 私はなんとかして、推理研究会を皆殺しにしようとしたが、ファイロという頭の悪い男がそれを代行してくれた。事実、頭の切れるホームズ、フェルの推理をことごとくぶち壊す彼には正直呆れながらも助かった。

 動機は、演劇サークルに在籍していた恋人、笈野紗雪(おいのさゆき)だ。彼女は私の子供を宿していたのだ。
 合宿で訪れた山荘。そこに居合わせたのがあの推理研究会だ。彼らは人体発火のメカニズムの実験か何かを検証する名目で行ったリンを使った実験で誤って火事を起こした。逃げ遅れた紗雪は1人、完全な煤となってしまったのである。
 御厨を殺害しようとしたのは、その晩、御厨は紗雪を乱暴していたのだ。そう、あの火事の中、紗雪は一糸纏わぬ姿だったのだ。
 私は在籍していた演劇サークルの合宿に、この楼を推した。そしてデュパンの名前で参加していた推理研究会の会合をこの楼で行う事にしたのだ。赦されざる者を、一網打尽にする為に…

 これが、私の犯罪の告白である。唯、これだけは言っておこう。

私は、何も後悔はない。
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