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王宮裏事情解決編
57 農業開始だよ!①
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「それで? その後は何も無かったんですか!?」
ルーから昨日のあらましを説明させられてる私です。
「え!? な、無いけど……?」
いつものように、遅い朝ごはんを食べながら、五人でテーブルを囲ってます。
私の隣にはダン、目の前にはルー、その横にヤック、ポールと座ってる。
身を乗り出さんばかりのルーに若干引きつつ返事をするとわざとらしいジェスチャー付きでありえない、と首をフリフリ。
え?ちょっとそれは無くないですか!?
ちらりとヤックとポールを見るとしょっぱい顔だし、この恋愛脳トリオは私を馬鹿にする!
「何がダメだったんだ? 楽しかったなら良いじゃねーか」
と、ダンが目の前のトリオの反応に怪訝そうに言う。
ダン!やっぱり君は私の心のオアシス!
そんなダンなどお構いなくヤックが口を開く。
「お互いに好意を持っている男女が一日デートして、夜まで過ごして……何も無いなんて信じられないのです」
「普通はチューくらいするよねぇ?」
知らんがな!
それがこの世界の常識だとしても私は地球人なので!しかも奥ゆかしいと世界でも評判の日本生まれですからそういう……そういうことは告白してお互いの気持ちを確かめあって尚且つデートなどを何度も重ねたあと、お互いの気持ちとTPOが重なって……とかなの!
というかなんで好意を寄せあってる前提なのかわからない。
少なくとも私が団長さんに好かれる理由もなければ行動を起こしたこともない。
「それがこっちの普通としても、私には普通じゃないの! ってか最初からデートとかそういうのじゃないし!」
「まったまたー! 冗談はやめてください、一ヶ月前からワクワクしてたの知って……」
「ルーさん?……あんまりしつこいと新しいごはん食べさせないよ?」
「ごめんなさい」
すごい素直!
そんなに新しいご飯メニューって威力あるの!?
恋愛脳トリオもそれで大人しくなったので、私は早速昨日調達してきたハーブ等を使おうかと思っていたんだけど……。
「ねえ、今日ってポールは訓練しなきゃだめかな?」
「え? ぼくぅ?」
「そう、実は裏庭に畑作ろうかなって思ってて。あ、許可は取ってるから!」
昨日買ったハーブ類の種を植えるための畑を作ろうと計画してたのだ!
これは団長さんにも前から言っていたからすんなり許可がとれた。
農業の知識なんて皆無だし、耕したりもするから土魔法が得意で農村出身のポールに頼もうと思ったんだけど……そんなことをみんなに説明してると、ルーが何やら考え事を始めてしまい、何やら雲行き怪しくなりました。
「土魔法ですよね……それなら、練習がてらケイ様自身がやってみるのは?」
「え?」
「お話によれば女神様から色々指導を受けたそうですから、今ならすんなり魔法も使えると思います。失敗しても後でフォローしますし、まずは練習しましょう?」
「……う、ううぅ……」
正直、楽をしたかった私は農村出身の三人組に頼もうと思っていたのだけど(これを丸投げという)……それを見透かしているのかルーの暗黒オーラ漂う笑顔に否定もできず、項垂れた私なのでした……。
※※※※※※※※※
という事で来ました、裏庭!
ここは第一宿舎の裏庭……と言うか王宮と宿舎を隔てる壁の近く。
王宮に近いから本当は嫌なんだけど、森がある方は危険だし他にいい場所がなかったのだ。
まあ、王宮近いって言っても壁はあるし向うに垣根?もあるし適度に茂ってるから見えにくいし目隠ししてくれるし、いいかなって。
とりあえず家庭菜園の延長でやろうか……?
「あ。そうだ。折角使い方教えてもらったんだし、固有スキル使うか……」
見れば見るほど雑草が茂ったただの土地。
ここを栄養溢れる土壌にするためにはあまりにも私には知識がない。
なら、知識を知っているものに教えてもらえばいいのだ。
「おっけービーグル、畑の作り方教えて!」
私は魔法の言葉を呟く。
すると、フォンっという起動音と共にスマホの画面が空中に開いた。半透明のそれは私が居た世界の、いわゆるインターネットの画面そのものだった。触ろうとしてもその手が空を切るだけだったので現実にはないみたいだ。例えるならプロジェクションマッピングみたいなもんだろうか?
画面には検索ページとmamazonのアイコンのみ。後はこの世界での私の貯金額が書いてあるだけだった。
「畑の作り方で検索しました。34万件ヒットしました。有効なものを表示します」
うーん、この棒読み感。なつかしい。
ビーグルちゃんは私が知りたい情報だけずらっと出してくれる。
それをさらっと読みながら大体の作り方を覚えていく。
どことなく現実世界のAIとは違って性能がいい気がするのは気のせいじゃないと思う。固有スキルの付属としても何らかの形で使いやすい様になってるんだろう。
理屈とかそんな難しいことは考えたらダメ。使いやすいならそれでいい。だってここファンタジーの世界だもん。
「肥料とかいるなあ……うーん、生ごみとかほしい所だけど……」
もう行き詰った。
実はこの世界、ごみ処理の仕方がすごいのだ。
それはなんと、ブラックホールを使うのだ!
実際には違うけど、魔法で亜空間を作ってその中にぶち込む。……以上!
ね?すごい大胆で大雑把でしょ?
亜空間は無限で、物質を入れると消滅するんだって。消滅しない場合もあるけどそれはとっても難しくって制限あるらしい。ああ、だから収納バックあるけど高いんだね。
もちろん人間とかは落ちない仕様。安心安全。
これが生活魔法で無属性魔法だっていうからめっちゃ驚いた。無属性魔法は使える人が少ないって聞いてたけど、魔法を付与するのは簡単だから魔道具扱いで簡単に作れるってんだから驚きだよね?
まあ、無属性魔法使いが少ない分、作れるものも数少ないらしいからお高いですが。
ちなみにトイレもこの仕様です。
初めて見た時は叫んだのが今じゃ懐かしいです。
平民などはスライムを使うって言ってた。魔物だけどすごく弱いし登れないくらいの高さを保てば逃げないし、スライムにとっても餌をもらえるから人間を襲わないし大人しいんだって。
うーん、これが共存というものかあ。
あ、話がそれてしまった。
とにかく生ごみはもう片付けてしまって今の時間ないし、どうしよう?
ビーグルに肥料の作り方聞いてもね……。
「仕方ない、気は乗らないけどmamazon使おう」
画面をホームに戻してmamazonのアイコンを指でタップする。そうするとお馴染みのウィンドウが出てきた。
本当はこの世界にあまりあっちの世界のものを使いたくないのが本音。
だから私は極力女神様からもらったチート能力……主に調味料を使わないようにしているのだ。
どんなに大量に使っても減らないチート調味料だからどんどん使えばいいんだけど、それはちょっと違う。
私一人とか、少ない人数ならいいけど……今の私はこの騎士団のお料理講師なので。お料理講師!!なので。
私が居ないと使えないものは野営で使えないからね。忘れてると思うけど私はお料理聖女じゃなくてお料理講師!講師なの!ステータス?さあ?知らない子ですねえ……。(大事な事なので四回言いました)
そういう理由でなるべくならこの世界で採れるもので調味料を作りたいと思っている。
なぜなら、いずれは今使っている調味料のレシピなどを広めたいし料理なども広めていきたいからだ。
だからこの世界にハーブや香辛料があったのは僥倖だった。
まあ、危険物扱いで食べ物として認識されていないけど。
大丈夫!私が美味しく調理してあげるからね!
そのためにも、仕方ないがあっちの世界の技術、今だけ取り入れます。
出したウィンドウの検索に肥料、と打てばオススメが出てきた。
さっきビーグルで調べたおすすめ肥料をまとめて購入すると、自動的に貯蓄額の表示が減った。ついでに私の魔力もちょっと減ってる。
買い物するとお金も魔力もいるからね。それでも向こうの商品を取り寄せだけなら少しだけみたいだからまあいっか。
購入確定すると、どさっという音と共に麻袋に入った肥料たちがどこからともなく現れた。
ちゃんとビニールではなく麻袋ってところがわかってるね、mamazonさん。
出てきた麻袋を邪魔にならないところに移動させていると、誰かの足音が近づいてくるのがわかった。
ルーから昨日のあらましを説明させられてる私です。
「え!? な、無いけど……?」
いつものように、遅い朝ごはんを食べながら、五人でテーブルを囲ってます。
私の隣にはダン、目の前にはルー、その横にヤック、ポールと座ってる。
身を乗り出さんばかりのルーに若干引きつつ返事をするとわざとらしいジェスチャー付きでありえない、と首をフリフリ。
え?ちょっとそれは無くないですか!?
ちらりとヤックとポールを見るとしょっぱい顔だし、この恋愛脳トリオは私を馬鹿にする!
「何がダメだったんだ? 楽しかったなら良いじゃねーか」
と、ダンが目の前のトリオの反応に怪訝そうに言う。
ダン!やっぱり君は私の心のオアシス!
そんなダンなどお構いなくヤックが口を開く。
「お互いに好意を持っている男女が一日デートして、夜まで過ごして……何も無いなんて信じられないのです」
「普通はチューくらいするよねぇ?」
知らんがな!
それがこの世界の常識だとしても私は地球人なので!しかも奥ゆかしいと世界でも評判の日本生まれですからそういう……そういうことは告白してお互いの気持ちを確かめあって尚且つデートなどを何度も重ねたあと、お互いの気持ちとTPOが重なって……とかなの!
というかなんで好意を寄せあってる前提なのかわからない。
少なくとも私が団長さんに好かれる理由もなければ行動を起こしたこともない。
「それがこっちの普通としても、私には普通じゃないの! ってか最初からデートとかそういうのじゃないし!」
「まったまたー! 冗談はやめてください、一ヶ月前からワクワクしてたの知って……」
「ルーさん?……あんまりしつこいと新しいごはん食べさせないよ?」
「ごめんなさい」
すごい素直!
そんなに新しいご飯メニューって威力あるの!?
恋愛脳トリオもそれで大人しくなったので、私は早速昨日調達してきたハーブ等を使おうかと思っていたんだけど……。
「ねえ、今日ってポールは訓練しなきゃだめかな?」
「え? ぼくぅ?」
「そう、実は裏庭に畑作ろうかなって思ってて。あ、許可は取ってるから!」
昨日買ったハーブ類の種を植えるための畑を作ろうと計画してたのだ!
これは団長さんにも前から言っていたからすんなり許可がとれた。
農業の知識なんて皆無だし、耕したりもするから土魔法が得意で農村出身のポールに頼もうと思ったんだけど……そんなことをみんなに説明してると、ルーが何やら考え事を始めてしまい、何やら雲行き怪しくなりました。
「土魔法ですよね……それなら、練習がてらケイ様自身がやってみるのは?」
「え?」
「お話によれば女神様から色々指導を受けたそうですから、今ならすんなり魔法も使えると思います。失敗しても後でフォローしますし、まずは練習しましょう?」
「……う、ううぅ……」
正直、楽をしたかった私は農村出身の三人組に頼もうと思っていたのだけど(これを丸投げという)……それを見透かしているのかルーの暗黒オーラ漂う笑顔に否定もできず、項垂れた私なのでした……。
※※※※※※※※※
という事で来ました、裏庭!
ここは第一宿舎の裏庭……と言うか王宮と宿舎を隔てる壁の近く。
王宮に近いから本当は嫌なんだけど、森がある方は危険だし他にいい場所がなかったのだ。
まあ、王宮近いって言っても壁はあるし向うに垣根?もあるし適度に茂ってるから見えにくいし目隠ししてくれるし、いいかなって。
とりあえず家庭菜園の延長でやろうか……?
「あ。そうだ。折角使い方教えてもらったんだし、固有スキル使うか……」
見れば見るほど雑草が茂ったただの土地。
ここを栄養溢れる土壌にするためにはあまりにも私には知識がない。
なら、知識を知っているものに教えてもらえばいいのだ。
「おっけービーグル、畑の作り方教えて!」
私は魔法の言葉を呟く。
すると、フォンっという起動音と共にスマホの画面が空中に開いた。半透明のそれは私が居た世界の、いわゆるインターネットの画面そのものだった。触ろうとしてもその手が空を切るだけだったので現実にはないみたいだ。例えるならプロジェクションマッピングみたいなもんだろうか?
画面には検索ページとmamazonのアイコンのみ。後はこの世界での私の貯金額が書いてあるだけだった。
「畑の作り方で検索しました。34万件ヒットしました。有効なものを表示します」
うーん、この棒読み感。なつかしい。
ビーグルちゃんは私が知りたい情報だけずらっと出してくれる。
それをさらっと読みながら大体の作り方を覚えていく。
どことなく現実世界のAIとは違って性能がいい気がするのは気のせいじゃないと思う。固有スキルの付属としても何らかの形で使いやすい様になってるんだろう。
理屈とかそんな難しいことは考えたらダメ。使いやすいならそれでいい。だってここファンタジーの世界だもん。
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ね?すごい大胆で大雑把でしょ?
亜空間は無限で、物質を入れると消滅するんだって。消滅しない場合もあるけどそれはとっても難しくって制限あるらしい。ああ、だから収納バックあるけど高いんだね。
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そういう理由でなるべくならこの世界で採れるもので調味料を作りたいと思っている。
なぜなら、いずれは今使っている調味料のレシピなどを広めたいし料理なども広めていきたいからだ。
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まあ、危険物扱いで食べ物として認識されていないけど。
大丈夫!私が美味しく調理してあげるからね!
そのためにも、仕方ないがあっちの世界の技術、今だけ取り入れます。
出したウィンドウの検索に肥料、と打てばオススメが出てきた。
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買い物するとお金も魔力もいるからね。それでも向こうの商品を取り寄せだけなら少しだけみたいだからまあいっか。
購入確定すると、どさっという音と共に麻袋に入った肥料たちがどこからともなく現れた。
ちゃんとビニールではなく麻袋ってところがわかってるね、mamazonさん。
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