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11話
しおりを挟むリリーと言えば、今にも爆発しそうなマリナの嫉妬心に気づく訳もなく。
以前、蹴散らされた花で作ったポプリを友人におっそわけしていた。
折角なので、家の庭で落ちた花等も拾い集めて作ったので沢山出来きたのだ。
カロリーナや取り巻き達、アランとサラスにも渡したが、流石に皇子であるレオンに渡すのはどうかと思い、やめた。
だが友人達に手作りのポプリを渡していると気づいていたレオン。
僕にはいつくれるのだろう。どんな匂いの物をくれるのだろうと、ドキドキワクワクしながら待っていた。
なのに何故かくれない。
「ねぇ、リリー。僕にはポプリくれないの?」
痺れを切らせて自分から催促してしまうレオン。
「はい、皇子様の分は用意しませんでした」
「何で!? 僕だけ仲間はずれなの!? 酷いよリリー。意地悪!」
「すみません。そんなに欲しがるとは思いませんでした。自分用の物が有りますので此方から選んでください」
まさか手作りポプリ等をそこまで欲しがられるとは思わず、少し驚くリリー。物珍しかったのだろうか。
自分用に取っておいた物を出す。
三種類残しておいた。
薔薇ベースと、ラベンダーベース、それと花壇に植えておいた花ベースだ。
「リリーのオススメはどれだい?」
「そうですね。皇子は公務にお疲れな事も多いかと思いますので、ラベンダーはどうですか? 心が落ち着く香りです」
「へー、本当だ。いい匂い」
リリーはラベンダーベースをレオンに渡す。
「有難う。嬉しいな」
エヘヘっと笑うレオン。つられてリリーも微笑む。
喜んでもらえて嬉しい。
「そうだ、夏休み前のパーティー。僕のパートナーになってくれるよね?」
パーティーは男女ペアーが基本である。
今までもレオンのパーティーのパートナーはリリーであった。それは一般的な社交の場でも同じで、もうお決まりの様になっていた。
「そうですね…… たまには別の方を誘ってみては?」
「え? 嫌だよ。リリーに断られるなら僕はパーティーなんて出ないからね」
「変な我がまま言わないで下さいよ」
「僕の単位はリリーにかかってるよ」
「そうですか」
思わず溜息が出てしまうリリー。別に自分がパートナーとして出ても良いのだが、基本パートナーとは初めの一回ダンスしたら他の人ともダンスし、交流を深めたりするものであるのに、レオンは自分とダンスしたら挨拶周りだけしていつも終りにしてしまう。
リリーはレオンの妃になる積もりはさらさら無いので、出来れば他の女性ともダンスして会話とかして仲良くなって欲しいのだが……
「今回も衣装を合わせよう。素敵なドレスを贈るから楽しみにしてて欲しいな」
「質素なもので構いません」
あまり豪華なドレスを贈られても、ドレスに負けて何だか惨めになるのである。
皇子とは多分、趣味が合わない。
「君を着飾るのは僕の楽しみなんだよ」
フフフっと楽しそう笑うレオン。
今回もまたドレス負けしそうだ。恥ずかしいな。
気が重いリリーであった。
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