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61話
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「さて、そろそろ行こうか」
干し柿も食べ終え、景色も満喫した所で立ち上がる春岳。
「はい」
伊吹も立ち上がる。
ここは行き止まりだから少し戻るのだろうか。
この景色を見せる為に寄り道をしてくれたんだと思っている伊吹だが、実は違う。
春岳は徐に伊吹を抱きかかえた。
「え? 殿??」
「しっかり捕まっていて下さいね。怖かったら目を瞑っていなさい」
え? 怖い??
何をする気なんですか!?
伊吹は疑問を口にする事は出来なかった。
「うわああぁぁ!!!」
春岳は普通に断崖絶壁から飛び降りたのだ。
え!? 急に心中ですか殿!?
いや、殿と一緒にに死ねるなら本望……
「伊吹、着きましたよ」
「ふえっ?」
頭が回らず変な声が出る伊吹。
春岳は上手に足場や途中に生えてる木を掴んで衝撃を緩め、難なく下まで降りて来たのだ。
だが伊吹が見上げてよく見ても、どうやって降りたのか解らない。
「ごめんなさいね。怖かった?」
おどけて笑って見せる春岳。
「怖かったです! 何故殿はいつもそうやって唐突なんですか。私にも心の準備をさせて下さい! あと、説明もしてください!」
本当に心臓がいくつ有っても足りない。
「まぁ、そう怒らないで下さい。温泉ですよ」
「わぁ、本当だぁ……」
見れば川の中に石で囲った温泉が湧いている。
手で触れてみれば丁度良い温かさだ。
「どうです。素敵でしょ?」
フフっと、鼻高々に言う春岳。
もしかして
「殿が整備して下さったのですか?」
「ええ、石を積んで、温度も良くなる様に川の流れを調節したりしました。どうです? 気に入った?」
「ええ、とても」
自分を連れて来くれる為に、色々準備してくれたんだなぁと思うと、伊吹は素直に嬉しかった。
此処には二人っきり。
二人しか知らない場所。
それがとても嬉しくて、伊吹はドキドキして来る。
「早速、服を脱いで入ろう。伊吹と温泉に浸かるの楽しみで頑張っちゃったですよ」
フフっと楽しそうに笑う春岳はポイポイ服を脱ぎだす。
伊吹も少し恥らいつつ、服を脱いだ。
春岳の服も畳んで側に置く。
そっと、足をつけてみる。
本当に丁度良い温度だ。
「おいで」
春岳が手を引いてくれて、伊吹も中に入る。
流石に自然の温泉でそこまで床は深く無いが、寝転がれば全身浸かれた。
春岳は腕枕の準備をして此処においでおいでしている。
伊吹も春岳に甘え、春岳が呼ぶ腕を枕にさせて貰い体を寄せ合った。
「ああ、凄く気持ちいいです。寝てしまいそう」
「寝ても良いよ。俺が見てるから」
「いえ、寝てしまうと殿が見られなくなってしまうので寝ません」
フフっと微笑む伊吹は、春岳を見つめた。
「何処でそんな口説き文句を覚えたんですか。全く悪い子だ」
春岳はそう言って微笑むと、伊吹に接吻し、頬を撫でる。
「愛してるよ伊吹。ずっと私の側に居て下さいね」
そう言って、何度も伊吹に優しい接吻をするのだ。
伊吹は春岳の激しい接吻に何とか着い行き、必死に頷く。
貴方が私の元を離れるまでは、ずっとお側に居ます。
干し柿も食べ終え、景色も満喫した所で立ち上がる春岳。
「はい」
伊吹も立ち上がる。
ここは行き止まりだから少し戻るのだろうか。
この景色を見せる為に寄り道をしてくれたんだと思っている伊吹だが、実は違う。
春岳は徐に伊吹を抱きかかえた。
「え? 殿??」
「しっかり捕まっていて下さいね。怖かったら目を瞑っていなさい」
え? 怖い??
何をする気なんですか!?
伊吹は疑問を口にする事は出来なかった。
「うわああぁぁ!!!」
春岳は普通に断崖絶壁から飛び降りたのだ。
え!? 急に心中ですか殿!?
いや、殿と一緒にに死ねるなら本望……
「伊吹、着きましたよ」
「ふえっ?」
頭が回らず変な声が出る伊吹。
春岳は上手に足場や途中に生えてる木を掴んで衝撃を緩め、難なく下まで降りて来たのだ。
だが伊吹が見上げてよく見ても、どうやって降りたのか解らない。
「ごめんなさいね。怖かった?」
おどけて笑って見せる春岳。
「怖かったです! 何故殿はいつもそうやって唐突なんですか。私にも心の準備をさせて下さい! あと、説明もしてください!」
本当に心臓がいくつ有っても足りない。
「まぁ、そう怒らないで下さい。温泉ですよ」
「わぁ、本当だぁ……」
見れば川の中に石で囲った温泉が湧いている。
手で触れてみれば丁度良い温かさだ。
「どうです。素敵でしょ?」
フフっと、鼻高々に言う春岳。
もしかして
「殿が整備して下さったのですか?」
「ええ、石を積んで、温度も良くなる様に川の流れを調節したりしました。どうです? 気に入った?」
「ええ、とても」
自分を連れて来くれる為に、色々準備してくれたんだなぁと思うと、伊吹は素直に嬉しかった。
此処には二人っきり。
二人しか知らない場所。
それがとても嬉しくて、伊吹はドキドキして来る。
「早速、服を脱いで入ろう。伊吹と温泉に浸かるの楽しみで頑張っちゃったですよ」
フフっと楽しそうに笑う春岳はポイポイ服を脱ぎだす。
伊吹も少し恥らいつつ、服を脱いだ。
春岳の服も畳んで側に置く。
そっと、足をつけてみる。
本当に丁度良い温度だ。
「おいで」
春岳が手を引いてくれて、伊吹も中に入る。
流石に自然の温泉でそこまで床は深く無いが、寝転がれば全身浸かれた。
春岳は腕枕の準備をして此処においでおいでしている。
伊吹も春岳に甘え、春岳が呼ぶ腕を枕にさせて貰い体を寄せ合った。
「ああ、凄く気持ちいいです。寝てしまいそう」
「寝ても良いよ。俺が見てるから」
「いえ、寝てしまうと殿が見られなくなってしまうので寝ません」
フフっと微笑む伊吹は、春岳を見つめた。
「何処でそんな口説き文句を覚えたんですか。全く悪い子だ」
春岳はそう言って微笑むと、伊吹に接吻し、頬を撫でる。
「愛してるよ伊吹。ずっと私の側に居て下さいね」
そう言って、何度も伊吹に優しい接吻をするのだ。
伊吹は春岳の激しい接吻に何とか着い行き、必死に頷く。
貴方が私の元を離れるまでは、ずっとお側に居ます。
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