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41話 ※兜合わせ

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「ふぁ、何ですか?」

 伊吹の腰を引き寄せる春岳。  
 伊吹はビクッとし、春岳を見つめた。

「一緒に千摺りしましょう」
「一緒に?」

 もう伊吹の頭は回っていない様子で、されるがままになっている。
 春岳は伊吹の魔羅にもう一度自分の魔羅を寄せ、コスコスと亀頭を合わせる兜合わせをする。

「やぁ、何か凄い、殿の魔羅、凄いです!」
「っ…… そんな魔羅ばっかり褒められても」

 何か複雑である。
 伊吹は俺の魔羅が立派で凄くて変らしい。
 兎に角、俺も気持ちいい。

「はぁ…… 伊吹の魔羅も凄いですよ」
「アッ、赤くて、熱くて、凄い魔羅ぁ殿の魔羅凄い!」
「くっ、有難うございます?」

 喜んで良いのか解らない。
 伊吹の魔羅も赤く色付いてて可愛いけどな。
 
「殿、私、もう…… もう…… ごめんなさい。殿、俺、アッアッ」
「良いよ。俺ももう出します」
「殿、お手を離してくだしゃい、お願いします。殿、お手を!」
「このまま出してしまいなさい」
「いけませんいけません、殿、駄目ですンン」

 伊吹はビュッと、先から勢いよく白濁した液体を出す。
 その熱い白濁は春岳の手を汚したが、続けて春岳も達し、伊吹の腹部を盛大に汚した。
 伊吹の腹部は自分の物と春岳の物でとても卑猥な状態であり、M字開脚していたので、その液は伊吹の肛門まで流れ、とても官能的だ。
 今すぐお尻の穴も解かして繋がりたいと思わせる。
 伊吹は敷布団に倒れ込み、ハァハァと荒い息を整えていた。


「伊吹、大丈夫ですか?」

 優しく頭を撫でる春岳。
 今度は寝落ちしてないので、夢と誤魔化せそうには無い。
 正直、息を整えた伊吹がどんな反応をするか怖い。

「……殿」
「は、はい……」

 呼ばれてビクッとしてしまう。

「あの、これは満足し頂けたのでしょうか?」

 伊吹ま全くこっちを見ようとしない。
 怒っているのかも知れない。

「満足しました。とても満足しました」
「そうですか。良かったです」
「伊吹、こっち向いてくれませんか?」
「もう、お許し願いたいのですが……」
 
 お許し願いたいのは此方なんだ。

「伊吹、湯浴みに行きましょう。その、大変な事になってますので……」

 大変な事にしてしまったのは俺だけど……


「大丈夫ですので、私の事は放っておいて頂きたい」
「そういう訳に行きません」
「本当にもう恥ずかしいので……」

 伊吹の声が震えている事に気付いた。
 もしかして、泣いている?
 
「ごめんなさい伊吹。無理矢理変な事をさせました」

 ああ、また生臭坊主の様な事をしてしまった。 

 伊吹を怖がらせて辱めて傷つけてしまっている。
 大事な伊吹に俺は何でこうも酷い事をしてしまうのだろう。

 今更こんな事を言って仕方ないのだろうけど……

「伊吹、私は貴方の主であり、貴方は私の命令は聞かなければいけませんね。でも、こう言った命令は、嫌なら嫌だと言って欲しいのです。私が高圧的で怖かったんですよね。本当は嫌だったですよね。ごめんなさい伊吹」

 自分でも狡い事をしていると思う。


「私、ちょっと貴方を目の前にすると平常心ではいられません。嫌で怖かったのなら蹴り飛ばして殴って頂いて良いので……」

 声が震える。
 春岳は、精一杯の土下座していた。

 自分は元々伊吹に謝りに来たんと言うのに、何故自慰を強要して、兜合わせなんてして伊吹を泣かせてるだろう。

「えっ!? 殿、土下座!? やめて下さい!!」

 ゴンゴンと、鈍い音が聞こえ、ビックリして顔を上げ、振り向いた伊吹は驚愕した。

「私の側を離れる事だけは許せません。側に居てください!!」 

 春岳はそう言いながら、何度も土下座して頭をゴンゴン床に打ち付けていたのだ。
 伊吹は驚いて腰が抜けそうになった。 

 こっちの方が怖い。

「伊吹、ごめんなさい。凄く気持ちよくて…… 魔羅熱くしちゃってごめんなさい!」

 見れば、春岳はポロポロ泣き出してしまっていた。
 慌てて肩を掴んで春岳の土下座を止めさせる伊吹。

「いえ、あの、気持ちよくなって頂けて良かったです」

 自分よ様な者でも気持ちよくなって頂けたのなら良かったと思う伊吹。


「嫌だったとかではなくて、本当に恥ずかしくて、上手く出来なくて、殿より先に気をやってしまうし、申し訳なくて、自分が情けなくなってしまっただけで、殿が怖かったとか、いや、ちょっと殺気が漏れてて怖かったりはしたんですけど、私も気持ちよくなってしまって何も解らなくなってしまって申し訳ありませんでした」

 上手く気持ちを言葉に出来ないが、伊吹も謝る。

 確かに殿の命令だから聞かなければいけないとは思ったが、本当に嫌だとか怖いと思った訳では無かった。
 伊吹は春岳に気持ちよくなって欲しかった。
 なので、気持ちよくなって頂けたのなら本当に良かったのだが、自分が情けなくて恥ずかしくて、気づいたら泣き出してしまっていた。
 だから恥ずかしくて、春岳の顔が見れなかったのである。

「本当に? 嫌じゃなかったですか? また自慰一緒にしてくれるんですね!」

 顔を上げた春岳は伊吹の手を掴む。

「はい。では、次の時までには勉強します。えっと? 自慰を一緒にするやり方? ですかね??」

 困った様に笑い、首を傾げる伊吹。

「あの、出来れば、本当に出来ればで良いのですが…… 乳兄弟であるのは解るのですが、義兄弟の契も結び…… って、あれ?」 

 また急に反応が無くなったぞ!

 嬉しくなって伊吹を抱きしめたのだが、何かスヤスヤ聞こえてくる。
 見ればやっぱり寝ちゃっている。
 伊吹は出すと寝ちゃうらしい。
 今夜の事もやっぱり忘れちゃうのかな。
 今度から伊吹が寝ちゃう前に『伊吹は殿と一緒に自慰する事を誓います』みたいな書き置きをさせるしか無さそうだ。

 それにしても困ったな。

「伊吹、起きて下さいー! 湯浴みしないと。お腹がカピカピになりますよ!」

 汚れたお腹のままで寝てしまうのは後が大変だ。
 仕方ないな。
 伊吹は寝てしまった伊吹を抱えると、湯殿に連れてく。
 寝かせたまま洗ってやるのだった。
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