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58話
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年中春のような陽気の白の王国は住みやすい。
もう黒柳が産まれて一年経つ。
黒柳は成長が早く。もう立って走るし「ママ~」とか「大好き~」とか、良く喋る。
洗濯物を畳む等の簡単なお手伝いも良くしてくれる様になった。
「パパ?」
「パパ来たの?」
「うん!」
漆黒の気配を感じるらしく、外に連れ出す。
前は十日に一度ぐらいのペースで会いに来てくれていた気がするのだが、最近は一ヶ月に一回ペースな気がする。
何か忙しいのか、それとも体調を崩しているのか。
黒の王国は白の王国とは違い、天気が変わりやすい。
雪とか降ってたりするのだろうか。
裏柳は漆黒が心配である。
外に出ると、黒柳は湖畔の向こう側に手を振る。
「パパ見えるの?」
「見えるよ」
「良いなぁ~」
ママは見えないのに。
「パパ元気そう?」
「ううん、寂しそう」
「寂しそうなんだ」
裏柳も見えないが、湖畔の向こうに手を振った。
「パパ帰っちゃった」
「もう帰っちゃったの?」
「居なくなったもん」
黒柳も寂しそうである。
なんで来る頻度が減ったのか、直ぐに帰ってしまうのか。
他に良い人出来たのかな?
そんな事を考えて不安なってしまう裏柳だ。
「手を振ってくれた?」
「うん、こっち見て手を振った」
ビックリして直ぐに帰ってきた漆黒は羊に話す。
だって、見える訳ないのだ。
ビックリして逃げて来てしまったが、普通に小鳥とか、小動物とか近くに見えたのかも知れない。
池に魚が居たとか……
「会いたいのなら会いに行けば良いじゃないですか」
「だけどさぁ……」
知らない怖いと逃げられた辛い。
自分の血が入っているからか子供の成長が早い。もう話したり走り回ったり、裏柳の手伝いもしてる。裏柳がママだけあって良い子に育っている。見ると会って抱きしめたくなるし、帰りたくなくなってしまうから、最近は頻度を減らして無い仕事を絞り出して片付けてしまった。
本当に暇になってしまったのだ。
「人魚の長に確認したんでしょ?」
「うん……」
長とはあれから文通の様な事をしている。定期的に花にメッセージカードをつけて海になげると、魚にメッセージカードを付けて返してくれるのだ。
やはりメイは悪気が有るわけではない様で『薬を飲まなかったのですね、貴方の判断です。また欲しくなったらプレゼントしますよ』みたいなガードが届いた。
長に自分が白の王国で息子に会うのは大丈夫か質問した事が有った。長からの返事には大丈夫だよと書かれたので問題は無い様である。
「もうすぐ裏柳様の誕生日じゃないですか。ワニにケーキでも作らせて花束でも持って行ったらどうですか?」
「うーん……」
仮面を外して行けば、そこまで怖がれる事は無いだろうか。
でも身長がデカすぎて圧迫感を与えてしまうかもしれない。
子供もきっと泣き出す。
「まったく意気地なしなんですから!」
「うーん……」
羊にどやされるが、言い返せない。
他ではちゃんと傲慢で強気な態度を取るから許して欲しい。裏柳相手にはどうも駄目なのだ。
でも会いたいな……
誕生日ぐらいお祝いしたい。
裏柳一人に子育てを押し付けてしまっているのも申し訳ない。
大変だよな。ごめんな。て、ちゃんと謝りたい。
もう黒柳が産まれて一年経つ。
黒柳は成長が早く。もう立って走るし「ママ~」とか「大好き~」とか、良く喋る。
洗濯物を畳む等の簡単なお手伝いも良くしてくれる様になった。
「パパ?」
「パパ来たの?」
「うん!」
漆黒の気配を感じるらしく、外に連れ出す。
前は十日に一度ぐらいのペースで会いに来てくれていた気がするのだが、最近は一ヶ月に一回ペースな気がする。
何か忙しいのか、それとも体調を崩しているのか。
黒の王国は白の王国とは違い、天気が変わりやすい。
雪とか降ってたりするのだろうか。
裏柳は漆黒が心配である。
外に出ると、黒柳は湖畔の向こう側に手を振る。
「パパ見えるの?」
「見えるよ」
「良いなぁ~」
ママは見えないのに。
「パパ元気そう?」
「ううん、寂しそう」
「寂しそうなんだ」
裏柳も見えないが、湖畔の向こうに手を振った。
「パパ帰っちゃった」
「もう帰っちゃったの?」
「居なくなったもん」
黒柳も寂しそうである。
なんで来る頻度が減ったのか、直ぐに帰ってしまうのか。
他に良い人出来たのかな?
そんな事を考えて不安なってしまう裏柳だ。
「手を振ってくれた?」
「うん、こっち見て手を振った」
ビックリして直ぐに帰ってきた漆黒は羊に話す。
だって、見える訳ないのだ。
ビックリして逃げて来てしまったが、普通に小鳥とか、小動物とか近くに見えたのかも知れない。
池に魚が居たとか……
「会いたいのなら会いに行けば良いじゃないですか」
「だけどさぁ……」
知らない怖いと逃げられた辛い。
自分の血が入っているからか子供の成長が早い。もう話したり走り回ったり、裏柳の手伝いもしてる。裏柳がママだけあって良い子に育っている。見ると会って抱きしめたくなるし、帰りたくなくなってしまうから、最近は頻度を減らして無い仕事を絞り出して片付けてしまった。
本当に暇になってしまったのだ。
「人魚の長に確認したんでしょ?」
「うん……」
長とはあれから文通の様な事をしている。定期的に花にメッセージカードをつけて海になげると、魚にメッセージカードを付けて返してくれるのだ。
やはりメイは悪気が有るわけではない様で『薬を飲まなかったのですね、貴方の判断です。また欲しくなったらプレゼントしますよ』みたいなガードが届いた。
長に自分が白の王国で息子に会うのは大丈夫か質問した事が有った。長からの返事には大丈夫だよと書かれたので問題は無い様である。
「もうすぐ裏柳様の誕生日じゃないですか。ワニにケーキでも作らせて花束でも持って行ったらどうですか?」
「うーん……」
仮面を外して行けば、そこまで怖がれる事は無いだろうか。
でも身長がデカすぎて圧迫感を与えてしまうかもしれない。
子供もきっと泣き出す。
「まったく意気地なしなんですから!」
「うーん……」
羊にどやされるが、言い返せない。
他ではちゃんと傲慢で強気な態度を取るから許して欲しい。裏柳相手にはどうも駄目なのだ。
でも会いたいな……
誕生日ぐらいお祝いしたい。
裏柳一人に子育てを押し付けてしまっているのも申し訳ない。
大変だよな。ごめんな。て、ちゃんと謝りたい。
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