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新しい都市
帰り道は安全に
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「それで、ヤマトが何やったの?」
「何って魔法だろうな」「でしょうね」
2人ともハッキリとは見ていなかったようで、何かを飛ばしたということしかわからなかった。
成長すると魔法が使えるようになるのか?
そんな話は聞いてなかったけど、教授に詳しく聞いておけば良かった。
といっても、一つずつ消化しないとどっち着かずになる。
そう考えると早めに金策終わらせてしまいたい。
「やることが増えたなぁ」
「よくわからんけど、こいつ売れば結構な金になるんじゃないか?」
「確かに」
この巨体だから、山分けしても竹くらいは余裕で買えそうかも?
「これでインベントリもいっぱいになるでしょう。というか、全部入り切りますかね?」
「はみ出たら俺っちが担ぐさ」
「さすが、こういう時に便利なウーゴ!」
「おい! 押し付けてばかりいないでハッチも早く『糸術』育てろよ!」
仕方なかろうて。
そんなすぐに育つものでも無いんだよ。
「んー? 工房でも『糸術』なんて使ってましたっけ?」
「グスタフさん! それを言っちゃダメ」
「やっぱ練習してねーや。まぁ、装備とか作って貰ってるからな」
そうそう、それなりに大変なわけですよ。
それと同じくらいの時間、釣竿の構想を練ってるわけだけど、それもモチベーション維持に大事なわけで……。
「解体終わったぞー」
「やっぱり入り切りませんでしたね」
余った荷物を糸でぐるぐる巻きにしているウーゴを眺めながら、気になる素材にばかり意識が行っている。
カエルから取れたのと同じように、大蛇にも似たような石が入っていた。一回り大きく橙色をしているが、【?石】としか表示されない。
「おい! 石ばっか見てないで帰るぞ」
「はいはい。ヤマトもおいで」
両手が塞がっているウーゴの代わりに、ヤマトも警戒にあたらせる。
湖までの接敵を考えると、帰りも数回は戦闘になると思っていた。
「戦闘なしだったな」
「運が良かったのかなぁ?」
「まだ門までの平原がありますから、気を抜かずに」
平原を進むが、まったく敵は現れない。
どういうことだろう?
◆
「本当にもらって良いのか?」
「ええ。私たちはコレをもらいましたからね」
インベントリに入りきらない素材は全部ウーゴに譲る。代わりに謎石をこっちが貰うことになった。
持てなかった物を譲っただけだし、謎石のほうがレアだと思うんだよね。むしろこっちが貰いすぎかも?
素材の鑑定が済んだらウーゴにも見せるだけで良いらしい。
「持ってても俺っち使えねーしな!」
そう言って素材を売りに行ってしまった。
俺たちもそのまま教授のもとへ行き、洞窟のことや素材のことを尋ねることにする。
「……というわけでいくつか見てほしいんです」
「知りたい奴を机に出してみな」
謎石2種類と洞窟素材を出していく。
3層で取れた素材は「ほうほう」と面白そうにしていたが、2層の素材を出した時に反応が変わった。
「ぐはぁ! おい! ミリピードは仕舞え!」
「え? ミリ?」
「こいつだ! こいつ!」
ヤスデのことか。
それだけ仕舞うと、教授が換気を始める。
「防護服も無しによく出せたな? お前ら鼻に穴がついてないのか? それは飾りか?」
「ちゃんと付いてますよ。ほらほぉら」
「ほじらんで良い!」
ミリピードの素材は魔物避けになるが、そのままだと臭いが酷いという。特殊な薬剤につけて臭いを弱めて使うことになるが、あの洞窟内だけは効果が無い。というのも、あの洞窟に住む奴らはミリピードも捕食するようなので、魔物によっては引き寄せ効果にもなるらしい。
カエルは撥水効果があるので、防水服や靴の素材で使える。肉は美味く、それなりに人気があるので良い値段になると教えてもらった。
【水鉱石-】は鉄の上位素材にあたるらしく、道具の性能アップ。【石英】はガラスの素材で、望遠鏡などに使われている。
大蛇素材は最初見せた時良い反応だったが、ミリピードを見て納得したと言っている。その捕食者の一種が蛇類だったので、結果として引き寄せ効果になってしまったのだろう。
「大蛇で服か軽鎧を作れば、今の皮鎧よりかなり防御上がるぞ。それで、一番知りたかったのはこの石だろ?」
「「それです!」」
「いく前に教えて魔法素材がこいつじゃ。水色が水魔石、もう片方が土魔石じゃな」
これが魔石か!
やっと見つけた魔石は思っていたより地味だったな。
「こいつは魔法陣学でも使うので、学ぶ時は買うか取ってくるか必要だったが、もう取ってこれるな?」
これを?
かなりキツくないか?
「もう一度大蛇はなぁ……」
「もっと弱いので獲りたいですね」
「仕方ないな。それならこっちに行ってみろ」
教授が教えてくれたのは、洞窟から東へ進んだところにある森。
「ここは少し弱くなっている。代わりに毒対策はしていけ」
毒って、よけい厄介な敵に聞こえる。そう思ってグスタフさんを見ると、俺と同じようにしかめっ面をしていた。
「毒対策するだけで楽になるなら、まだ良い方でしょうか」
魔石もそれなりに使うだろうから、少しずつ装備を揃えていくしかないか。
あと、忘れないうちに聞きたいことを尋ねないと。
「機獣について聞きたいんですけど」
「何って魔法だろうな」「でしょうね」
2人ともハッキリとは見ていなかったようで、何かを飛ばしたということしかわからなかった。
成長すると魔法が使えるようになるのか?
そんな話は聞いてなかったけど、教授に詳しく聞いておけば良かった。
といっても、一つずつ消化しないとどっち着かずになる。
そう考えると早めに金策終わらせてしまいたい。
「やることが増えたなぁ」
「よくわからんけど、こいつ売れば結構な金になるんじゃないか?」
「確かに」
この巨体だから、山分けしても竹くらいは余裕で買えそうかも?
「これでインベントリもいっぱいになるでしょう。というか、全部入り切りますかね?」
「はみ出たら俺っちが担ぐさ」
「さすが、こういう時に便利なウーゴ!」
「おい! 押し付けてばかりいないでハッチも早く『糸術』育てろよ!」
仕方なかろうて。
そんなすぐに育つものでも無いんだよ。
「んー? 工房でも『糸術』なんて使ってましたっけ?」
「グスタフさん! それを言っちゃダメ」
「やっぱ練習してねーや。まぁ、装備とか作って貰ってるからな」
そうそう、それなりに大変なわけですよ。
それと同じくらいの時間、釣竿の構想を練ってるわけだけど、それもモチベーション維持に大事なわけで……。
「解体終わったぞー」
「やっぱり入り切りませんでしたね」
余った荷物を糸でぐるぐる巻きにしているウーゴを眺めながら、気になる素材にばかり意識が行っている。
カエルから取れたのと同じように、大蛇にも似たような石が入っていた。一回り大きく橙色をしているが、【?石】としか表示されない。
「おい! 石ばっか見てないで帰るぞ」
「はいはい。ヤマトもおいで」
両手が塞がっているウーゴの代わりに、ヤマトも警戒にあたらせる。
湖までの接敵を考えると、帰りも数回は戦闘になると思っていた。
「戦闘なしだったな」
「運が良かったのかなぁ?」
「まだ門までの平原がありますから、気を抜かずに」
平原を進むが、まったく敵は現れない。
どういうことだろう?
◆
「本当にもらって良いのか?」
「ええ。私たちはコレをもらいましたからね」
インベントリに入りきらない素材は全部ウーゴに譲る。代わりに謎石をこっちが貰うことになった。
持てなかった物を譲っただけだし、謎石のほうがレアだと思うんだよね。むしろこっちが貰いすぎかも?
素材の鑑定が済んだらウーゴにも見せるだけで良いらしい。
「持ってても俺っち使えねーしな!」
そう言って素材を売りに行ってしまった。
俺たちもそのまま教授のもとへ行き、洞窟のことや素材のことを尋ねることにする。
「……というわけでいくつか見てほしいんです」
「知りたい奴を机に出してみな」
謎石2種類と洞窟素材を出していく。
3層で取れた素材は「ほうほう」と面白そうにしていたが、2層の素材を出した時に反応が変わった。
「ぐはぁ! おい! ミリピードは仕舞え!」
「え? ミリ?」
「こいつだ! こいつ!」
ヤスデのことか。
それだけ仕舞うと、教授が換気を始める。
「防護服も無しによく出せたな? お前ら鼻に穴がついてないのか? それは飾りか?」
「ちゃんと付いてますよ。ほらほぉら」
「ほじらんで良い!」
ミリピードの素材は魔物避けになるが、そのままだと臭いが酷いという。特殊な薬剤につけて臭いを弱めて使うことになるが、あの洞窟内だけは効果が無い。というのも、あの洞窟に住む奴らはミリピードも捕食するようなので、魔物によっては引き寄せ効果にもなるらしい。
カエルは撥水効果があるので、防水服や靴の素材で使える。肉は美味く、それなりに人気があるので良い値段になると教えてもらった。
【水鉱石-】は鉄の上位素材にあたるらしく、道具の性能アップ。【石英】はガラスの素材で、望遠鏡などに使われている。
大蛇素材は最初見せた時良い反応だったが、ミリピードを見て納得したと言っている。その捕食者の一種が蛇類だったので、結果として引き寄せ効果になってしまったのだろう。
「大蛇で服か軽鎧を作れば、今の皮鎧よりかなり防御上がるぞ。それで、一番知りたかったのはこの石だろ?」
「「それです!」」
「いく前に教えて魔法素材がこいつじゃ。水色が水魔石、もう片方が土魔石じゃな」
これが魔石か!
やっと見つけた魔石は思っていたより地味だったな。
「こいつは魔法陣学でも使うので、学ぶ時は買うか取ってくるか必要だったが、もう取ってこれるな?」
これを?
かなりキツくないか?
「もう一度大蛇はなぁ……」
「もっと弱いので獲りたいですね」
「仕方ないな。それならこっちに行ってみろ」
教授が教えてくれたのは、洞窟から東へ進んだところにある森。
「ここは少し弱くなっている。代わりに毒対策はしていけ」
毒って、よけい厄介な敵に聞こえる。そう思ってグスタフさんを見ると、俺と同じようにしかめっ面をしていた。
「毒対策するだけで楽になるなら、まだ良い方でしょうか」
魔石もそれなりに使うだろうから、少しずつ装備を揃えていくしかないか。
あと、忘れないうちに聞きたいことを尋ねないと。
「機獣について聞きたいんですけど」
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