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何をするにも道具から

鉱山1層

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 無くした銅の玉を探すが、どこにも見当たらない。
 丹精込めて作ったのに、一発目で1投目で無くすとは…。
 釣りが下手な時に投げたルアーを思い出す。
 無駄に高いルアーを買ったんだよな。
 今思い出すだけでも、あれは泣けてくる。

「他の動物来る前に掘れ掘れ!」

 まずい。
 考えてる暇なんて無かった。

 0層と比べても鉱質が良さそう。

《鉱物探知が0,1上昇》

 上がりづらくなってたのが、一度で上昇した!
 難易度が上がったかな?

 ツルハシで掘ってみるが、一発で硬さがわかる。
 普段より弾き返される感覚が強く、なかなか採取出来ない。

「監督!硬いです!」

「0層と比べりゃな。そんだけ良いのが取れる。」

 とりあえず1個掘れるまで頑張ってみるか。




 5分もかかってしまった。
 それでも掘れたのは劣化鉄鉱石。

「次の動物来たぞ。」

 一回ごとに戦闘はきついぞ!?
 くらえ。ツルハシ!

 劣化銅鉱石。
 くらえ。トンカチ!

 石片×5。
 くらえ。手斧!



「監督!戦闘がつらいです!」

「がんばれー。」

「うぇーっす。」




 石!石!石!石!石!
 やった!【鉄鉱石-】が出た。

「やったな。それを最低であと3個だ。」

「もうHP半分…。」

「がんばれー。」

「うぇーっす。」



 投げる。掘る。叩く。掘る。投げる。掘る。叩く。掘る。

「よし。取れたな。ちなみにここを掘ると出やすかったぞ。」

「そういうのは先に言って!」

「せっかくだから掘るか?」

「む。攻撃も受けなくなったしやってみるか。」

 言われた所をコツコツ叩いてみると、若干硬度が弱そうな感触がある。
 ツルハシを当てるとさっきより掘りやすい。

【鉄鉱石-】

「監督の言った通りだ!」

「もうちょっと探知育てないと厳しいな。」

「動物も出てこないな?もっかい掘ろう。」



【劣化メノウ石-】

「あれ?宝石?」

「ヂュー!」

 くらえ!石!
《投擲がLV3に上昇》
《スリングLV0を獲得しました。》

 お?新スキルか?
 スキルLV2で新スキルが獲得できる時と出来ない時があったんだが、LV3でも貰えるんだな。

 ネズミを解体して…。
 お、重い。

「重量制限だな。これ以上だと歩けなくなる。」

 これが限界か。

 ヒィヒィ言いながら村に戻ると、ちょうど武具店の小間使い達が繰り出すところだった。

「ハッチさんは戻りですか?」

「ちょうど戻ったところだよ。そっちはドワ活?」

「「「「はい!」」」」

「いってらっしゃい。」

 みんなでゾロゾロと、一緒に行ってるのがうらやま…。
 いや、あんだけ人いたら邪魔か?

 とりあえず邪魔なのは買取してもらおう。
 いつもの買取店へ。




「肉は食わないのか?あと皮は皮加工店行けばもっと高く売れるぞ。」

 おぉ。良いこと聞けた。

 それなら食品店で塩買って、皮加工もこの前のところだな。



 もう日が沈み始めてるが、大丈夫かな?

「すいませーん。皮を買ってもらいたいんですけど。」

 小窓からだったな。
 ここで待ってれば良いんだろ?

「何してるの?」

「何って皮を売りに。ん?」

 声の方を見ると扉が空いている。
 それに俺より一回り小さい少女もいる。

「え?え?」

「皮の買取なら中入って。」

 言われるまま入っていくと、しっかりと革製品が並んでいた。
 ただの民家じゃなかったのか?

「てっきり小窓から受け渡しだと思ってた。」

 俺の呟きが聞こえたのか、気づいたようだ。

「あなた。この前の革靴直しに来た人ね。日中は基本寝てるのよ。次からは夜に来て。」

 なるほど。俺は寝てる所を起こした上に、すぐに修理してもらったのか。
 塩対応にもなるよな。

「ほら、売りに来たんでしょ?」

 そうだった。
 取ってきた皮を渡す。

「なるほど。使えなくもないけど、下手ね。」

 顔を上げて俺を眺めると何か納得していた。

「いいわ。初回だから80ゴールド出してあげる。」

「そんなに!やったな。」

 解体用のナイフを見せてくれと言われたので、一番良いのを渡して見てもらう。
 モノクルをつける少女ってのも面白いな。

「やっぱり素材が悪いわね。1層に行くようになったら早く更新しなさい。どんなに腕が良くなっても、素材が悪いと限界があるわ。はい。」

「素材が良くなったら、もっと綺麗に切れますか?」

「解体技術も必要だけど、今よりは切り口が綺麗になるわね。解体は付き添いのドワーフに教えてもらいなさい。」

「なるほど。ありがとうございます。」





 雑貨屋に戻るとぶち猫さんがトンカン叩いているのが見える。

「親方戻りました。」

「取れたか。見せてみろ。」

 鉱石を手にとって、軽く眺めるとすぐに返してきた。

「そんなもんだろ。全部で1個分だな。」

 ってことは、失敗したらまたネズミ地獄だな。
 親方が手をヒラヒラして寄越せと伝えてくる。
 今渡したと思うが?

「取ってきたんだろ?面白いの。」

 あれか!
 インベントリから、メノウ石を取り出す。

「なんかあると思ったが最低ランクか。だが、1層で取れただけでも運が良いな。」

「それは観賞用ですか?」

「本当は成人してから言うんだが、持ってきたからな。宝石類はな、装備アイテムの強化に使うんだ。メノウは呪い耐性がつく。こいつで何か作るなら銀を使え。」

 銀なんて見たことねーぞ?
 それにしても強化アイテムか。
 微レアだな。

 とりあえず、すぐ使えるわけでもないし、しばらく屋根裏の肥やしかな。
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