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何をするにも道具から

新弟子

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「親方!戻りました!あと弟子希望者です。」

「全員グレンディルのとこ行ったんじゃねーのか?」

「私は道具作りをしたいので、ここが良いんです。」

 ぶち猫さんが経緯を説明すること数分。
 親方も理解して、すぐに弟子入りとなった。
 そして、待ってたのはいつものドワ活。

「じゃあ、鉱山行け。」

「うぇーっす。」
「はい。」

 先ほどまで歩いてた道を逆戻り。
 広場に行くと、いつも通り監督がいる。

「「監督お願いします。」」

「来たか。では出発するぞ。」

 村を出て、鉱山へ向かう途中。
 ぶち猫さんは、何か気になる事があるようだ。

「あの。監督!」

「どうした?」

「ところどころ置いてある石像って何ですか?」

 そういえば、村の外にちらほらあるよな。
 俺はオブジェだと思ってた。
 どうなのよ監督?

「あれは1人で外に出た未成年だな。生産の神様の呪いが掛かったんだ。」

「ハッチさん知ってた?」

「え?初めて聞いた。教えてくれなかったよ?」

 監督の話では聞かれなかったから、だそうだ。
 もしかして、初日に外に出た第1陣か?
 キャラデリしても残るのかもしれないな。

 その後は鉱山まですんなり辿り着いた。
 そうは言っても5分だからな。

「じゃあ、ドワ活終わったら声をかけろよ。」

「「はい。」」

 やるのはいつもと同じ、良さそうな所を探して掘る。
 アドバイスを求められたが、基本的に最初はスキル上げるしかないんだよね。
 スキル0の時って、クリティカル?っぽい時以外は全部失敗だった気がする。
 あとは監督に質問に行く。
 それくらいだろうか?
 マスクデータが多すぎて、はっきり答えられない。

「そういえば、成人したら監督に聞けるのかな?」

 監督も聞こえたのか、答えてくれた。

「聞かれたら答えるぞ。ただ、成人後は付き添いしないし、内容によっては情報料を貰う。」

「え!それなら今のうちに聞いておかないと…何か無いか。」

 頭を捻りながら、脳をフル回転だ!

 残念なお知らせだ。
 俺の脳は小さかったみたい。
 何も思い浮かばない…。

「何も思い浮かば…。そういえば、広場に現れる未成年に注意するドワーフ。消えたり現れたりするけど何者ですか?」

「あいつのことは、成人する時にわかる。」

 結局わからなかった。

 ぶち猫さんは必死に掘ってるが、やっぱりダメージが痛そうだ。
 休憩を挟みつつ、堀り堀り、HPゴリゴリ。

 こっちは石が溜まってきたので、奥に投げる。

「それは何やってるんですか?」

「投擲スキル上げだよ。俺って攻撃スキル一個も無かったから、余った石で上げてるんだ。」

「なるほど、それなら私もやって…。」

「待った!」

 最初の内は石も大事な収入源だ。それを削ると自前のゴーグルまで長くなるので、他に稼げることが見つかるまでは…、そう言って止めておいた。

「そういえば、そろそろ親方達がいない日かもしれん。俺も金貯めないとまずいな。」

「明日だぞ。」

 監督が言ったのか?

「監督知ってるんですか?」

「ドーイン達は明日別の村に行くからいないぞ。」

 俺が聞いても教えてもらえないのに!
 何と言う事だ。

「ぶち猫さん。今日の稼ぎじゃ明日過ごせないから、100ゴールド渡しておく。」

「え?悪いわよ。」

「いや、貰っておいたほうが良いよ。1日飯抜きすると餓死もありえる。」

 デスペナルティは、デバフとランダムでアイテムの損失がある。初期装備品は損失しないようだが、俺らが最初に貰った生産系道具は対象だ。しかも、初期品は性能が良い。俺が作った劣化品は、壊れやすいし、掘りが悪いからなぁ。

「これってそんなに良いの?」

「試しにこれを使ってみて。」

 俺のツルハシを渡して、掘って貰う。
 一振りしただけで分かったようだ。

「被ダメージが増えたわ。しかも石すら取れない。」

「そういうこと。修理出来ないけど、そのツルハシは使い潰すまで持ってたほうが良い。ということで、はい。」

 所持金全額だが渡してしまう。
 俺は、掘ってしまえば明日分くらい稼げるからな。

「鉱物探知も少し上がったから、気持ち関係してるかな?」

「その鉱物探知のスキル。私は一度も上昇の表示されないんですけど?」

「鉱物探知はな…」

 監督がぶち猫さんに教え始めた。
 俺の時と全く同じことを言っている。

「え!?0,1上がってる!」

 監督に聞かないとダメだったのか!

「こういうフラグもわからんよな。友達で教えあってるだけじゃダメなのかもしれない。」

「とても厄介ね。聞いて知ったつもりじゃ、覚えられないってことね。」

 運営も、もう少しプレイヤーに優しくても良いんじゃ無いかと思いますよ?

 ぶち猫さんが、まだ渡したゴールドを気にしているようだ。

「そんなに気になるなら、そのうち返してくれれば良いよ。成人まで1月半あるから、それまでは確実に村にいるし。」

「私は2ヶ月だから、ハッチさんが先に成人ね。じゃあ、それまでに返すわ。」

 それで納得するなら良いか。
 それからも掘ってると、数十分後にグスタフが大群を連れてやってきた。

「ハッチさん!大量の弟弟子ですよ!」

 さっきの人達が沢山いる。

「まさか全員弟子になれたとは…。部屋あったんですか?」

「部屋は同じなんだけど、入ると別空間になるようです。それよりも!!」

 グスタフが興奮している。
 こういう時は煩いぞ。

「これだけ入れば、巨大武器作れまっすよ!投石機?いや、バリスタも…。うぇへ、うぇへへへ。パンツァーリートを歌えーーー!進めよパンツァー!」

「監督。気にせず新人に教えてあげたほうが良いですよ?」

「そうだな。では坑道の説明だ。…」
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