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第5章 中央編

第99話 再戦

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 アルクス達はしばらく図書館通いの日々を続け、アルクス以外の面々が飽き始めたところで次の街へと旅立った。

『そうか、次の街へ向かうのか。思っていたよりも長居したね。
 私は色々な話が聞けてよかったけど、図書館では役に立つ情報はあったかな?』
『そうですね。自分がいた王国とは結構文化が違うみたいでしたので。』
『それは良かった。君達の八竜震天の試練が上手く行くことを祈っているよ。』

クィントゥスとの別れを済ませて次の街へと向かった。
そこで出された陣の試練では遂に龍陣を用いた試練となった。
だが老師のところで龍陣を会得していたアルクス達は難なく試練を突破することができた。
過去においてはこの試練で失敗し、龍陣を会得することなく諦めていくものが多い最大の難所とも言われていたらしかった。

試練を突破したアルクス達は早々に次の街へと向かい、召の試練へと挑戦した。
召の試練では挑戦者ができることは召喚のみで、呼び出した存在が試練で与えられる課題へと取り組む形になった。
アルクスとクリオがフルー達を呼び出し、彼らの連携により大きな問題もなく試練を突破することができた。
龍術を会得した試練への挑戦者が召喚術を使えたとしても、契約できる精霊がいなければ意味がないためこちらも試練を乗り越えられない挑戦者が多くいたとのことであった。

そしてアルクス達は八竜震天最後の試練を目指して次の街へと向かった。

『ふぅ、やっと7つ目の試練に合格したね。あと1つだ。』
『時間はかかっているが、大きな問題も起きていないな。順調過ぎる気もするが。』
『黒衣の騎士にやられて、老師にお世話になったからじゃないかな。』
『確かに、あれは全滅していたし、大きな問題だったな。おかげで後半の試練が順調なのか。』
『そうだね、もしあの黒衣の騎士が出てきたらなんとか戦えるとは思うけど…』
『まぁ、何事もないのが一番だよ。』

そして次の街が遠くに見え始めたところで、そいつは現れた。
突如上空から黒い竜に騎乗した黒い兜を被った黒衣の騎士が現れた。

『なんだ、お前達。懲りずに八竜震天の試練を続けているのか?』
『お前は!?』
『覚えていたのか。恐怖で逃げ出さないだけ褒めてやろう。』
『おい、あんまり偉そうにするなよ。似合わないんだからさ。』
『何度も言わなくたってわかってるよ。』

黒衣の騎士と黒竜からは以前以上に余裕が見受けられた。
1対多で一度倒した相手ということでアルクス達を舐めてかかっていた。

『ここにいるってことは次が最後の試練ということか。
 最低限龍陣は扱える様になったのか?
 どれ、俺の龍陣を受けてみればわかることだろう。』

以前と同様に黒衣の騎士へと周囲の龍気が流れ込んでいくのが感じられた。
そして周囲が暗くなり、領域内の龍気を吸い取ろうとする。

『前とは違うんだ、この程度なら!』

アルクス達は黒衣の騎士が展開してきた龍陣に対して、第1段階の龍陣を展開してまずは防御に徹することにした。

『ほぉ、龍陣は会得した様子だな。これくらいで勝てるとは思っていなかったが、なかなかやるじゃないか。』
『あまり余裕見せると、あっちの方が多いんだし負けた時にかっこ悪いぞ?』
『いいだろ!これからが、本番だ。行くぞ、ノックス!』
『わかったよ、アートルム。』

アルクス達が龍陣の防御に成功した後、黒衣の騎士アートルムは黒竜ノックスに騎乗して向かってきた。

『まずはこれでも喰らえ!ノックス、ブレスだ!』
『皆、俺の後ろに!』

黒竜ノックスが炎のブレスを吐き、バルトロの障壁がそれを受け止めた。

『龍気が使えるならこれくらいなんてことはないぜ!』
『ニンブス、竜巻をお願い!』

クリオがニンブスと協力して竜巻を起こし、ノックスの飛行を妨害する。

『くっ、ちょっとこの風だと飛び回るのは難しいな…』
『それなら俺がやる、行くぜ!』

竜巻に飛行を妨害されたノックスから飛び降りたアートルムは剣を振りかぶった。
すかさずアリシアが射落とすために弓を射るも見えない障壁に阻まれた。

『ならこれで、地穿槍!』

アルクスが土の槍を生み出すも障壁を貫通できない。

『剛剣グランデ・フォール!』
『ガァッ!』

アートルムが剣を振り下ろした瞬間に、今まで力を溜めていたスペルビアが切りかかった。
剣と爪が火花を散らし、2人は弾き飛ばされた。

『大丈夫か、アートルム?』
『あぁ、だが最後の試練に来るだけの実力はある様だ。本気を出さないとやばいかもな。』
『3分だけだぞ?』
『わかってる。いくぜ、竜装!』

アートルムが叫んだ瞬間、ノックスが光へと変わりアートルムを覆った。
眩い光が消えた後、そこには巨大な鎧を来た大男が立っていた。

『なんだ、今のは。なんだか守護像に似ているな…』
『アートルムとノックスが1つになったってこと?』
『すごい力を感じる、みんな気を抜かないで!』
『来るぞ!』

アートルム・ノックスが剣を振るとそれだけで衝撃波が飛んできた。
バルトロがなんとか受けるも障壁外に移動する余裕ができない。

『私に任せて!ニンブス行くよ!』

クリオがニンブスと協力して雷雲を呼び出すとアートルム・ノックスに向けて雷が迸った。

『ふっ、今の俺達にはそんな攻撃効かないぜ!行くぜ、秘剣ドラグ・ブレイカー!』

アートルム・ノックスが繰り出した剣閃は竜の形をとりバルトロの障壁へとぶつかった。

『くっ、まずい…』

解き放たれた竜の牙はバルトロの障壁を噛み砕き、アルクス達は衝撃によって吹き飛ばされた。

『ちっ、もう時間か…』

アートルムとノックスは元の人と竜へと別れた。
アルクス達は満身創痍で立ち上がるのがやっとだった。

『その程度の実力で八竜震天の試練を乗り越えようなんて甘いんだよ!』
『アートルムはぼっちだから最後の試練を乗り越えられなかったんだ。』
『馬鹿野郎!今は見逃してやるが、今度会った時には覚えていろよ!』
『俺達も限界なんで退散するよ。またな。』

アートルムは捨て台詞を残して、ノックスへと騎乗して飛び去っていった。

『また、負けたな…』
『かろうじて全員無事なだけ、前回よりはましだよ。』
『強かったね。』
『うん、でもあいつら何がしたかったんだろう…』
『私達もあの力が使えればもっと強くなれるってことだ。』
『そうだね、とりあえず次の街へと向かおうか。』

アルクス達は満身創痍になりながらも休息を取りなんとか動ける様になると次の街へと向かった。

『ここが八竜震天の試練を受ける最後の街か。』
『この街を越えるとあとは大陸中央にある都と呼ばれている、あのお城が見えるところだね。』

アルクスが指さした先には、少し離れているものの高く聳え立つ塔の様なものが見えていた。

『まずはこの街の試練を頑張るとするか。』
『八竜震天最後の試練というわけだからおそらく難易度も高いのだろうな。』
『黒衣の騎士アートルムはぼっちだから試練を乗り越えられなかったって言っていたけど、皆で協力する様な試練なのかな?』
『割と連携も上手くできる様になってきたし、何が来たって大丈夫よ!』

クリオはラピスを孵化して、戦力として活躍できる様になってきてから自信がついた様に見えた。

街へと到着して早速領主館へと向かった。
門番に八竜震天の試練を受けている旨を伝えると快く中へと通される。
来客用の部屋へと通されて、しばらく待っていると若い2人の男女が部屋の中へとやってきた。

『ようこそお越しくださいました。』
『八竜震天、最後の試練を受けられる方なんていつ以来でしょうか…』
『私はこの街の領主のオクト。』
『私はこの街の領主のオクタ。』
『『2人でこの街を運営しております。』』
『さて、私達の八竜震天の試練ですが。』
『絆の試練と題されております。』
『皆様全員で参加いただく試練となります。』
『詳細は当日にお伝えしますので、まずはゆっくりと旅の疲れを癒していただければと思います。』

オクトとオクタは言いたいことだけ言うと早々に去って行った。
アルクス達は宿へと案内されて、八竜震天最後の試練である絆の試練へと備えるのであった。
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