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Ch.1
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「ほんとに資格停止中ですね。と言うか、スピードの出しすぎ、危険運転、鶯太くん、こうやって講習会に足繁く通っているわりに、ちっともそれが活かされてないですね……悪質ライダーじゃないですか」
もくもくと情報を確認していた野生司が、うーん……と困った顔で3人の会話に通常運転で突入してきた。
すでに野生司への思いよりも、いまや生活必需品、人生の必需品とまで言われるモバイルを持たずに実生活を過ごさなければならない不満をぶちまけていた鶯太の口がぴたりと止まる。
「悪質ライダー」
野生司の天然造語にぷぷっと笑う羽田、申しわけないと頭を下げる母。
「それは、だってさー、あのとき自転車道で前走ってたばーちゃんが超遅かったんだよ!しかも3人!3人そろって最低速度遵守かよ、みたいな!俺は友達との待ち合わせで急いでたし、車道空いてたしさ。俺、アシストなくても車道で走れる速度出せる自信あるから!」
「速度の問題じゃないです。自動車道を走るには資格ではなく免許が必要です。だいたい危ないですよ。ヘルメットもかぶらず、方向指示器もないような自転車で自動車道を走ったら。大事故になる可能性だってあります」
「もっと言ってやってください」
母はうんうんと頷く。
「なんだよ、のーすっ お前もお説教かよ。俺、いま、自転車乗れなくて傷心なんだ。なぐさめてくれよー」
「鶯太くんに必要なのは、なぐさめじゃなくて講習受講と停止解除ですよ。停止を受けると、普通講習のほかに特別講習も必要ですから、時間、倍以上かかりますよ。今日中に両方の講習会受講できるようにしておきましたので、この先に進んだら、最初に特別講習を受けてください。場所、わかりますか?もしわからなかったら、マップと位置情報が投影できるこのリストバンドお渡ししますけど」
野生司は、手首にはめて使う入場者用イベントリストバンドを差し出した。
「いらない。場所、わかるし」
野生司に自分の思いが一切伝わらないことに不貞腐れた鶯太はぷいと横を向いた。そんな息子を見て、意外に本気だったのかしらと、母はふっと息を吐いて背中を押した。
「ほら、いってきな」
「鶯太くん、がんばです!」
先ほどの3人の会話もおろか、少年の淡い恋心など微塵も気付く様子のない野生司は、両手でガッツポーズを作り笑顔で鶯太を見送る。
「お、おお……」
もちろん照れ笑いの鶯太の表情も、天然野生司フィルターを通過すれば『あれ?めずらしく緊張しているのかな?』である。
「鶯太!しゃきっとしなさい、しゃきっと!!」
てれてれと頭をかきながら歩いて小さくなる息子の後姿に母は渇を飛ばした。
もくもくと情報を確認していた野生司が、うーん……と困った顔で3人の会話に通常運転で突入してきた。
すでに野生司への思いよりも、いまや生活必需品、人生の必需品とまで言われるモバイルを持たずに実生活を過ごさなければならない不満をぶちまけていた鶯太の口がぴたりと止まる。
「悪質ライダー」
野生司の天然造語にぷぷっと笑う羽田、申しわけないと頭を下げる母。
「それは、だってさー、あのとき自転車道で前走ってたばーちゃんが超遅かったんだよ!しかも3人!3人そろって最低速度遵守かよ、みたいな!俺は友達との待ち合わせで急いでたし、車道空いてたしさ。俺、アシストなくても車道で走れる速度出せる自信あるから!」
「速度の問題じゃないです。自動車道を走るには資格ではなく免許が必要です。だいたい危ないですよ。ヘルメットもかぶらず、方向指示器もないような自転車で自動車道を走ったら。大事故になる可能性だってあります」
「もっと言ってやってください」
母はうんうんと頷く。
「なんだよ、のーすっ お前もお説教かよ。俺、いま、自転車乗れなくて傷心なんだ。なぐさめてくれよー」
「鶯太くんに必要なのは、なぐさめじゃなくて講習受講と停止解除ですよ。停止を受けると、普通講習のほかに特別講習も必要ですから、時間、倍以上かかりますよ。今日中に両方の講習会受講できるようにしておきましたので、この先に進んだら、最初に特別講習を受けてください。場所、わかりますか?もしわからなかったら、マップと位置情報が投影できるこのリストバンドお渡ししますけど」
野生司は、手首にはめて使う入場者用イベントリストバンドを差し出した。
「いらない。場所、わかるし」
野生司に自分の思いが一切伝わらないことに不貞腐れた鶯太はぷいと横を向いた。そんな息子を見て、意外に本気だったのかしらと、母はふっと息を吐いて背中を押した。
「ほら、いってきな」
「鶯太くん、がんばです!」
先ほどの3人の会話もおろか、少年の淡い恋心など微塵も気付く様子のない野生司は、両手でガッツポーズを作り笑顔で鶯太を見送る。
「お、おお……」
もちろん照れ笑いの鶯太の表情も、天然野生司フィルターを通過すれば『あれ?めずらしく緊張しているのかな?』である。
「鶯太!しゃきっとしなさい、しゃきっと!!」
てれてれと頭をかきながら歩いて小さくなる息子の後姿に母は渇を飛ばした。
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