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第一楽章
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国連会議が開催されている会議場から程近い駐車場で、デイヴィ・グレアムは待っていた車に乗り込んだ。
「お疲れ様です」
運転席に座る髪を束ねた女はバックミラー越しにグレアムをねぎらった。その顔は、いつだったか友達と見に行った映画の若いスターにとても良く似ていた。身に着けているチフォネリのスーツが良く似合う。そう言えば最近映画を見ていない。あの俳優はいまどうしているのだろう。
「ああ。疲れたよ。この仕事もラクじゃないな」
いつもの若く溌剌とした声は疲労を帯びていた。グレアムはネクタイをといてシートへ放ると首元を緩めた。
「大学へ行かれますか」
「いや。平盛教授と話すことはもうないよ。もう少し数を挙げて欲しかったところだが。あとは貴重なサンプルを確実にまわすよう動かすだけだ」
「それでは社に戻られますか?」
「イベント会場に向かってくれ。最後にもう一度くどきたいんだ」
「承知致しました」
運転手は静かに車を出した。
幸運にもチャリティボトルの大当たりを引き当てた当選者たちは、このビッグイベントの最後を飾るフィナーレのリハーサル裏を見学するとあって興奮したようすでスタッフの誘導に従いメイン・ステージの裏側でツアーの開始を待ちわびていた。その中に、闇月のキャップをかぶったエリックとフレッドの姿もあった。
ツアーはリハーサル作業の邪魔にならないよう動線が引かれた通路をスタッフに案内されながら見て回るだけといえばそれだけだったが、滅多に立ち入ることが出来ないステージの裏側、さらにこの規模のイベントと言えば一般人からすれば殊更別世界の通路であり、双子の前の集団にいる女性カップルは、彼女たちがリスペクトするアーティストがここを通ったかもしれないと感極まっていた。その後ろでは芸能オタクかリポーターかと言う勢いで男が周囲のツアー参加者に薀蓄をひたすら語っていた。
「フィナーレの出演者は皆超大物ですからリハーサルには出てこないと思いますよ。身内でスタンドインさせるんですよ。しかし、いやあすごいなあ。わかりますか。アーティストが最高のパフォーマンスを我々に見せられるのは、ここにいるスタッフたちのお陰ですよ。つまり我々は表に見えている主役だけじゃなく、それを支えるスタッフ、裏方こそ大きな拍手と賞賛で労うべきなんです」
男の話になんとなくつられた面々は、ステージ上でその周囲で慌しく作業するスタッフたちを眺めた。その中に火煙師タケシ・ヤングの姿があった。
フィナーレはカーテンコールのように、メイン・ステージを飾ったアーティストたちが次々と現れては最後の挨拶として1曲披露する。タケシはちょうどダークサイドと前後の出演者との切り替えを確認をしているところだった。双子は耳を澄ませタケシへと集中した。
『視える?』
『うん。よく視える』
『聴こえる?』
『うん。よく聴こえる。タイミングの確認中。ちょうどイリヤたちが退場するところ。暗転の代わりにパイロと宙空投影でステージを炎で覆って、次のアーティストの登場の演出に繋げるんだって』
『たいそう派手だな』
『だってダークサイドの次に登場するのってメタリ……』
『『観たいーーーー!』』
世界的なメタルバンドの登場を想像して双子は頬を紅潮させた。
『おいおい。集中しろ。あいつ本番はここにいないみたいだぞ』
『あ、本当だ。セッティングだけしてあとはあの今喋ってる隣の人に任せるって言ってる。タイミングとか全部プログラム済みだし、リモートで指示も出せるから大丈夫、だって』
『花火? そうか。メインアクト、ヘッドライナーのステージのあと、フィナーレまでの時間稼ぎに花火を上げるんだね。そっちに行くんだ』
『パイロのプログラムはあそこか。見てくる』
『うまく乗って侵入できる?』
『この電波だらけの場所で俺が乗れないわけがないだろ。侵入できるかだと? 俺を何様だと?』
『『俺様』』
舌打でもしそうな相手に双子は顔を合わせて笑った。
「ぼうやたち、遅れないでついてきて」
獲物に集中するあまり双子は他の参加者から遅れてしまい、気付いた女性スタッフが駆けよって注意しようとしたが、二人の瞳に見つめられ戦意喪失、連日の激務の疲れも吹き飛ぶ勢いでにこやかに二人専属のエスコートと化した。
ツアーを終えた双子は興奮さめやらぬままメイン会場をあとにした。フードコートで待ち合わせしていたジムを見つけると、フレッドはお腹が減ったとジムにへばりついた。食料を小脇に抱え、溶けてしまうからとスーパーガリガリ純国産果汁トリプルカラー、ブルーライトヨコハマあいすくりん、国産あずき&ずんだバーを口にくわえて大通りの歩道を三人は歩いた。シールドの向こうを自転車、車両が平行して走りぬけていく。口から3色のアイスをはみ出させながらフレッドはツアーのようすを熱心にジムに語った。エリックは笑いながら時折訂正をいれてはフレッドの頬を膨らませ、やがて三人は地下街への入口を下っていった。
「おやおや。あの子じゃないか。父親がみつかったらしいが、まさかジム、お前だったとはな」
窓の外の過ぎ去る景色を眺めていたグレアムが突然口を開いた。
「何かご覧になったのですか」
「ああ。目はいいからね。そこの歩道に犬がいたんだ。大きな犬が子犬を連れてね」
「犬ですか」
運転手にその心当たりはなかったし、信号のないこの辺りでは車はスピードを落としてはいない。
「……お前はまだ何も知ることなく犬のまま親子ごっこを楽しんでいるのか? いや、犬のお前は子守というところか」
青年の翳った顔から絞り出された言葉は、若者の苦悶とはおよそ類の異なる不釣合いな呻きだった。運転手は何も言わず車を会場駐車場へいれると車を停めた。
グレアムはジャケットとシャツを脱いでネクタイの上に放ると、車内に用意したあったカジュアルなTシャツと小物を身に付けモバイルとジャケットを手に車を降りようとドアに手を伸ばした。
「待っててくれ。すぐに戻る」
「デイヴィ様。そのままでは……」
ミラー越しに運転手と目が合ったグレアムは「おっと。うっかりしてた。年は取りたくないもんだな」とシートに戻ると両手で自分の顔を隠し、しばらくしてからゆっくりその手を開いた。
“peek-a-boo”
鏡の中の運転手にグレアムは目尻に皺をつくって目配せすると「行って来る」と言って車を降りた。その顔を見た運転手はやはり映画の主人公だと思ったがそれは幼い頃、母と見に行った映画の中のエキゾチックな雰囲気の漂うベテラン俳優の顔だった。
花火の打ち上げ場所での作業に向かっていたタケシは人間には聴こえない帯域の音に呼ばれ、ひとけのない資材置き場へと入り「来たぞ」と一言発すると物陰からラフな姿で黒髪のデイヴィが姿を現した。
「何があった」
モバイルに連絡してくるわけでもなく、こんな場所へわざわざ誰にも気付かれない方法で呼び出すからには憂慮すべき状況ということなのだろう。タケシは端的に用件を尋ねた。
「タケシ俺と今すぐ一緒に来い。この前話した犬の目当ては間違いなくお前だ。今日まで無事ってことは仕掛けてくるのは恐らく今夜、この場所だ」
「……」
「どうした。あいつらに俺はまだ見えていない。今ならお前を連れていける」
「今は駄目だ」
「あの音のせいか? 俺も聴いたよ、お前が言う音を。そして確認しに行った。だがヤツはあの殺した男じゃない。放っておけ」
「違う。俺は約束を果たしたい。それに犬が来ているならなおさら……最後にもう一度だけ見ておきたいものもある」
「次のチャンスを待てばいい」
デイヴィの言葉に、タケシは自嘲するような笑いを薄く漏らした。
「次っていつだ。明日がいとも簡単に消えることをお前も知ってるだろう。それに俺はあの音を消しさりたい。静寂を手に入れたいんだ」
「……」
タケシは黙ったデイヴィの顔を真っ直ぐにみた。昔の知り合いの面影はそこにはなかったが、同じ地獄から這いずり出た仲間としてひどく無念だとその顔は訴えていた。仲間に対する情の厚さは変わらんなとタケシは思った。
「すまない。だが俺は今夜望みを叶えたらここを去る。お前が言うように逃げるよ。だから今は、お前は俺に構わず行け。お前まで嗅ぎつけられることはない」
「タケシ……お前をあいつらに渡すわけにはいかないんだ。意味はわかるな」
デイヴィの深く低い声はタケシの耳に静かに響いた。
「お疲れ様です」
運転席に座る髪を束ねた女はバックミラー越しにグレアムをねぎらった。その顔は、いつだったか友達と見に行った映画の若いスターにとても良く似ていた。身に着けているチフォネリのスーツが良く似合う。そう言えば最近映画を見ていない。あの俳優はいまどうしているのだろう。
「ああ。疲れたよ。この仕事もラクじゃないな」
いつもの若く溌剌とした声は疲労を帯びていた。グレアムはネクタイをといてシートへ放ると首元を緩めた。
「大学へ行かれますか」
「いや。平盛教授と話すことはもうないよ。もう少し数を挙げて欲しかったところだが。あとは貴重なサンプルを確実にまわすよう動かすだけだ」
「それでは社に戻られますか?」
「イベント会場に向かってくれ。最後にもう一度くどきたいんだ」
「承知致しました」
運転手は静かに車を出した。
幸運にもチャリティボトルの大当たりを引き当てた当選者たちは、このビッグイベントの最後を飾るフィナーレのリハーサル裏を見学するとあって興奮したようすでスタッフの誘導に従いメイン・ステージの裏側でツアーの開始を待ちわびていた。その中に、闇月のキャップをかぶったエリックとフレッドの姿もあった。
ツアーはリハーサル作業の邪魔にならないよう動線が引かれた通路をスタッフに案内されながら見て回るだけといえばそれだけだったが、滅多に立ち入ることが出来ないステージの裏側、さらにこの規模のイベントと言えば一般人からすれば殊更別世界の通路であり、双子の前の集団にいる女性カップルは、彼女たちがリスペクトするアーティストがここを通ったかもしれないと感極まっていた。その後ろでは芸能オタクかリポーターかと言う勢いで男が周囲のツアー参加者に薀蓄をひたすら語っていた。
「フィナーレの出演者は皆超大物ですからリハーサルには出てこないと思いますよ。身内でスタンドインさせるんですよ。しかし、いやあすごいなあ。わかりますか。アーティストが最高のパフォーマンスを我々に見せられるのは、ここにいるスタッフたちのお陰ですよ。つまり我々は表に見えている主役だけじゃなく、それを支えるスタッフ、裏方こそ大きな拍手と賞賛で労うべきなんです」
男の話になんとなくつられた面々は、ステージ上でその周囲で慌しく作業するスタッフたちを眺めた。その中に火煙師タケシ・ヤングの姿があった。
フィナーレはカーテンコールのように、メイン・ステージを飾ったアーティストたちが次々と現れては最後の挨拶として1曲披露する。タケシはちょうどダークサイドと前後の出演者との切り替えを確認をしているところだった。双子は耳を澄ませタケシへと集中した。
『視える?』
『うん。よく視える』
『聴こえる?』
『うん。よく聴こえる。タイミングの確認中。ちょうどイリヤたちが退場するところ。暗転の代わりにパイロと宙空投影でステージを炎で覆って、次のアーティストの登場の演出に繋げるんだって』
『たいそう派手だな』
『だってダークサイドの次に登場するのってメタリ……』
『『観たいーーーー!』』
世界的なメタルバンドの登場を想像して双子は頬を紅潮させた。
『おいおい。集中しろ。あいつ本番はここにいないみたいだぞ』
『あ、本当だ。セッティングだけしてあとはあの今喋ってる隣の人に任せるって言ってる。タイミングとか全部プログラム済みだし、リモートで指示も出せるから大丈夫、だって』
『花火? そうか。メインアクト、ヘッドライナーのステージのあと、フィナーレまでの時間稼ぎに花火を上げるんだね。そっちに行くんだ』
『パイロのプログラムはあそこか。見てくる』
『うまく乗って侵入できる?』
『この電波だらけの場所で俺が乗れないわけがないだろ。侵入できるかだと? 俺を何様だと?』
『『俺様』』
舌打でもしそうな相手に双子は顔を合わせて笑った。
「ぼうやたち、遅れないでついてきて」
獲物に集中するあまり双子は他の参加者から遅れてしまい、気付いた女性スタッフが駆けよって注意しようとしたが、二人の瞳に見つめられ戦意喪失、連日の激務の疲れも吹き飛ぶ勢いでにこやかに二人専属のエスコートと化した。
ツアーを終えた双子は興奮さめやらぬままメイン会場をあとにした。フードコートで待ち合わせしていたジムを見つけると、フレッドはお腹が減ったとジムにへばりついた。食料を小脇に抱え、溶けてしまうからとスーパーガリガリ純国産果汁トリプルカラー、ブルーライトヨコハマあいすくりん、国産あずき&ずんだバーを口にくわえて大通りの歩道を三人は歩いた。シールドの向こうを自転車、車両が平行して走りぬけていく。口から3色のアイスをはみ出させながらフレッドはツアーのようすを熱心にジムに語った。エリックは笑いながら時折訂正をいれてはフレッドの頬を膨らませ、やがて三人は地下街への入口を下っていった。
「おやおや。あの子じゃないか。父親がみつかったらしいが、まさかジム、お前だったとはな」
窓の外の過ぎ去る景色を眺めていたグレアムが突然口を開いた。
「何かご覧になったのですか」
「ああ。目はいいからね。そこの歩道に犬がいたんだ。大きな犬が子犬を連れてね」
「犬ですか」
運転手にその心当たりはなかったし、信号のないこの辺りでは車はスピードを落としてはいない。
「……お前はまだ何も知ることなく犬のまま親子ごっこを楽しんでいるのか? いや、犬のお前は子守というところか」
青年の翳った顔から絞り出された言葉は、若者の苦悶とはおよそ類の異なる不釣合いな呻きだった。運転手は何も言わず車を会場駐車場へいれると車を停めた。
グレアムはジャケットとシャツを脱いでネクタイの上に放ると、車内に用意したあったカジュアルなTシャツと小物を身に付けモバイルとジャケットを手に車を降りようとドアに手を伸ばした。
「待っててくれ。すぐに戻る」
「デイヴィ様。そのままでは……」
ミラー越しに運転手と目が合ったグレアムは「おっと。うっかりしてた。年は取りたくないもんだな」とシートに戻ると両手で自分の顔を隠し、しばらくしてからゆっくりその手を開いた。
“peek-a-boo”
鏡の中の運転手にグレアムは目尻に皺をつくって目配せすると「行って来る」と言って車を降りた。その顔を見た運転手はやはり映画の主人公だと思ったがそれは幼い頃、母と見に行った映画の中のエキゾチックな雰囲気の漂うベテラン俳優の顔だった。
花火の打ち上げ場所での作業に向かっていたタケシは人間には聴こえない帯域の音に呼ばれ、ひとけのない資材置き場へと入り「来たぞ」と一言発すると物陰からラフな姿で黒髪のデイヴィが姿を現した。
「何があった」
モバイルに連絡してくるわけでもなく、こんな場所へわざわざ誰にも気付かれない方法で呼び出すからには憂慮すべき状況ということなのだろう。タケシは端的に用件を尋ねた。
「タケシ俺と今すぐ一緒に来い。この前話した犬の目当ては間違いなくお前だ。今日まで無事ってことは仕掛けてくるのは恐らく今夜、この場所だ」
「……」
「どうした。あいつらに俺はまだ見えていない。今ならお前を連れていける」
「今は駄目だ」
「あの音のせいか? 俺も聴いたよ、お前が言う音を。そして確認しに行った。だがヤツはあの殺した男じゃない。放っておけ」
「違う。俺は約束を果たしたい。それに犬が来ているならなおさら……最後にもう一度だけ見ておきたいものもある」
「次のチャンスを待てばいい」
デイヴィの言葉に、タケシは自嘲するような笑いを薄く漏らした。
「次っていつだ。明日がいとも簡単に消えることをお前も知ってるだろう。それに俺はあの音を消しさりたい。静寂を手に入れたいんだ」
「……」
タケシは黙ったデイヴィの顔を真っ直ぐにみた。昔の知り合いの面影はそこにはなかったが、同じ地獄から這いずり出た仲間としてひどく無念だとその顔は訴えていた。仲間に対する情の厚さは変わらんなとタケシは思った。
「すまない。だが俺は今夜望みを叶えたらここを去る。お前が言うように逃げるよ。だから今は、お前は俺に構わず行け。お前まで嗅ぎつけられることはない」
「タケシ……お前をあいつらに渡すわけにはいかないんだ。意味はわかるな」
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