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② 婚約者は知らされる。──sideローズマリー

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 みなさま、ごきげんよう。
 わたくし、ローズマリー・ピテシュティと申しますわ。
 ピテシュティ辺境伯カインの長女ですわ。十年前に第二王子アーロン・クラヨヴァ殿下と婚約致しましたの。


 昨夜の夜会後、王都の邸にて、ゆっくり、いえ、気持ちよく寝ておりましたら・・・。

 王宮からの早馬で、わたくしも、兄も王宮に呼び出されましたわ。

 
 王宮に到着し、直ぐに陛下の執務室へ通されますと執務室の中には陛下と王太子殿下、宰相様しかいらっしゃいませんでした。

 王宮では、婚約者の失態を皆知っておりまして、案内されている間、すれ違う方すれ違う方に憐れむ目と言いますか、好奇な目で見られ、わたくし意味が分らず戸惑いましたが長年の王子妃教育の賜物でしょうか、淑女らしく微笑んでいたつもりですわ。

 執務室へ案内され戸惑っている、わたくし達兄妹に宰相様から、今朝の王宮大事件を知らされたのです。


 陛下にわたくしの正直な気持ちを聴かせてほしいと言われましたわ。臣下のわたくしから願い出るのも不敬かもしれませんが、今しかないと思いまして勇気を出して正直な気持ちをお伝えしますわ。

 「───婚約破棄をしたく存じます。お相手のご令嬢の純潔を奪ったのでしょう?責任をお取りになるのが筋かと思いますわ」

 「ピテシュティ嬢に落度はないのだ。全ては愚息のせい。婚約破棄ではなく、婚約の白紙としよう。ピテシュティ嬢には婚約者は居なかったのだ。婚約は白紙とするが、もちろん慰謝料は払おう。他に何か望みはあるか?」

 「ありがとうございます。わたくし、暫く領地に戻り、ゆっくりしたく存じます。後の事は兄とお話頂ければと」

 兄は辺境伯家の嫡男です。父の名代として夜会にも参加しております。今回、兄も一緒に召集されたのは辺境伯家の次期当主だからでしょう。

 わたくしの婚約は辺境伯家と繋がりがほしい王家が無理矢理結ばせたものですの。
話題の令嬢を、妾にと提案されるかもしれないと思いましたが、あっさりと婚約白紙になりそうですわ。
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