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第二章 クロノス
25 挨拶
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「どうじゃ?アーリスの様子は?」
クロノスはベッドに眠るアーリスを見ながら心配そうに尋ねる。
「……見ての通りだ。まだ寝てる」
ベットのそばでアーリスの手を握り続いているアフロディーティは素っ気なくそう答える。
「もう三日目だよ?そろそろ休んだら?」
エルミスはアフロディーティの肩に手を置くが、アフロディーティは空いている手でエルミスの手を払う。
「好きでやってるんだ。問題ない」
三日前、アーリスがお腹に剣を突き刺してから、エルミスの持ってきたポーションで何とか生き長らえさせ、優秀なヒーラーのいるパーティに頼み込み、何とかアーリス死なせずに済むことができた。
ちなみにヒーラーに依頼する際、とんでもない額のゴールドを要求されたが、エルミスは迷うことなくそのゴールドを支払った。
そして、みんなのポーション屋さんはもう住むことができないくらいボロボロになってしまい。
開店日と同じ日に潰れてしまった。
なので今は、エルミスが少し大きめの部屋の宿を借りて、そこに四人で住んでいる。
クロノスの扱いについては、アーリスの一件で殺そうとした云々の責任は有耶無耶になっている。
エルミスもアフロディーティもそれどころではないのだ。
二人はアフロディーティを部屋に残し、廊下に出る。
「それにしても、人を助けるためとはいえ、自分の体を貫くか……。普通の人間の考え方とは思えんな。アーリスはなぜそこまで自分を粗末にできるのじゃろうか」
クロノスは考え込むように腕を組んで唸る。
「……アーリスはね。元々すごく優しくて、困っている人がいたらその人の力になりたいって誰でも助けちゃうような人だったんだよ。でも、フェンガーリ達のせいで自分は無価値な人間だと思い込むようになっちゃった。人を助けたいという思いは変わらない。でも、そのためなら自分はどうなっても構わないと思うようになってしまった……」
エルミスは苦しそうな顔をしながら、そう言う。
「きっと、本人も自覚はないんだと思う。壊れちゃったんだよ、アーリスは。壊されちゃったんだよ、フェンガーリ達に」
「……なるほどのう。目が覚めたら、修理してやらんとな」
「……そうだね」
エルミスとクロノスはお互いに頷き合い、優しく微笑み合う。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
一人のアーリスのいる部屋に残されたアルフディーティは苦しそうな顔をしながらアーリスの手を握り続ける。
「……アーリス」
アフロディーティは彼の名前を呼ぶ。
返事が帰ってこないのはわかっているがそれでも口が勝手に名前を口にしてしまう。
「……呼ん……だ?」
ないはずの返事が帰ってきた。
アフロディーティは目を見開き、アーリスの方を見る。
アーリスは力ない笑みを浮かべながら軽く首を傾げる。
「……アー……リス?」
「何?」
アーリスは優しくて微笑みながらアフロディーティに聞き返す。
「アーリス!アーリス!!」
アフロディーティは泣きながらアーリスに抱きつく。
「うわっ!ちょっと!痛いよ!?ねぇ!」
アーリスはしばらくアワアワしていたが、時期に諦めたように、アフロディーティの頭を優しく撫でる。
「……ごめんね」
「う、うぅ……。許すわけないだろ!バカ……」
このやり取りのすぐ後、アフロディーティの大声を聞いたエルミスとクロノスが部屋に入ってくる。
「どうしたのアフロディーテ――あ……」
「ッ!!……やっと起きたんじゃな。アーリス」
エルミスとクロノスも彼が起きたことに気づき、安心したような表情になる。
「エルミス、クロノス、おはよう」
アーリスは呑気に挨拶をする。
「おはようじゃないわい!ワシらがどれだけしんぱいしたと思ってる!?」
クロノスは顔を真っ赤にしてジタバタする。
「わあっ!ご、ごめんね!落ち着いて、落ちついて」
アーリスは少しずつ驚き、クロノスをなだめる。
「体の方はもう大丈夫なの?」
エルミスはファンそうにアーリスに訪ねる。
「まだ少しいたいけど……。うん大丈夫だよ」
「そう、なら良かったよ。ってアフロディーティ、いつまで怪我人の胸の上で泣いてるの?そろそろ離れてあげたら?」
エルミスはアフロディーティをアーリスから引き剥がす。
「さあ、もう疲れたでしょ?寝ていらっしゃい」
エルミスはお母さんのようにアフロディーティに言う。
アフロディーティは頷き、自分のベッドのある部屋によろよろと歩いて行った。
「アーリス、おはよう」
エルミスはアーリスに向かって挨拶をする。
いつも通りのにこやかな笑顔でアーリスを見る。
「うん、おはよう」
アーリスもにこやかに挨拶を返すのだった。
クロノスはベッドに眠るアーリスを見ながら心配そうに尋ねる。
「……見ての通りだ。まだ寝てる」
ベットのそばでアーリスの手を握り続いているアフロディーティは素っ気なくそう答える。
「もう三日目だよ?そろそろ休んだら?」
エルミスはアフロディーティの肩に手を置くが、アフロディーティは空いている手でエルミスの手を払う。
「好きでやってるんだ。問題ない」
三日前、アーリスがお腹に剣を突き刺してから、エルミスの持ってきたポーションで何とか生き長らえさせ、優秀なヒーラーのいるパーティに頼み込み、何とかアーリス死なせずに済むことができた。
ちなみにヒーラーに依頼する際、とんでもない額のゴールドを要求されたが、エルミスは迷うことなくそのゴールドを支払った。
そして、みんなのポーション屋さんはもう住むことができないくらいボロボロになってしまい。
開店日と同じ日に潰れてしまった。
なので今は、エルミスが少し大きめの部屋の宿を借りて、そこに四人で住んでいる。
クロノスの扱いについては、アーリスの一件で殺そうとした云々の責任は有耶無耶になっている。
エルミスもアフロディーティもそれどころではないのだ。
二人はアフロディーティを部屋に残し、廊下に出る。
「それにしても、人を助けるためとはいえ、自分の体を貫くか……。普通の人間の考え方とは思えんな。アーリスはなぜそこまで自分を粗末にできるのじゃろうか」
クロノスは考え込むように腕を組んで唸る。
「……アーリスはね。元々すごく優しくて、困っている人がいたらその人の力になりたいって誰でも助けちゃうような人だったんだよ。でも、フェンガーリ達のせいで自分は無価値な人間だと思い込むようになっちゃった。人を助けたいという思いは変わらない。でも、そのためなら自分はどうなっても構わないと思うようになってしまった……」
エルミスは苦しそうな顔をしながら、そう言う。
「きっと、本人も自覚はないんだと思う。壊れちゃったんだよ、アーリスは。壊されちゃったんだよ、フェンガーリ達に」
「……なるほどのう。目が覚めたら、修理してやらんとな」
「……そうだね」
エルミスとクロノスはお互いに頷き合い、優しく微笑み合う。
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一人のアーリスのいる部屋に残されたアルフディーティは苦しそうな顔をしながらアーリスの手を握り続ける。
「……アーリス」
アフロディーティは彼の名前を呼ぶ。
返事が帰ってこないのはわかっているがそれでも口が勝手に名前を口にしてしまう。
「……呼ん……だ?」
ないはずの返事が帰ってきた。
アフロディーティは目を見開き、アーリスの方を見る。
アーリスは力ない笑みを浮かべながら軽く首を傾げる。
「……アー……リス?」
「何?」
アーリスは優しくて微笑みながらアフロディーティに聞き返す。
「アーリス!アーリス!!」
アフロディーティは泣きながらアーリスに抱きつく。
「うわっ!ちょっと!痛いよ!?ねぇ!」
アーリスはしばらくアワアワしていたが、時期に諦めたように、アフロディーティの頭を優しく撫でる。
「……ごめんね」
「う、うぅ……。許すわけないだろ!バカ……」
このやり取りのすぐ後、アフロディーティの大声を聞いたエルミスとクロノスが部屋に入ってくる。
「どうしたのアフロディーテ――あ……」
「ッ!!……やっと起きたんじゃな。アーリス」
エルミスとクロノスも彼が起きたことに気づき、安心したような表情になる。
「エルミス、クロノス、おはよう」
アーリスは呑気に挨拶をする。
「おはようじゃないわい!ワシらがどれだけしんぱいしたと思ってる!?」
クロノスは顔を真っ赤にしてジタバタする。
「わあっ!ご、ごめんね!落ち着いて、落ちついて」
アーリスは少しずつ驚き、クロノスをなだめる。
「体の方はもう大丈夫なの?」
エルミスはファンそうにアーリスに訪ねる。
「まだ少しいたいけど……。うん大丈夫だよ」
「そう、なら良かったよ。ってアフロディーティ、いつまで怪我人の胸の上で泣いてるの?そろそろ離れてあげたら?」
エルミスはアフロディーティをアーリスから引き剥がす。
「さあ、もう疲れたでしょ?寝ていらっしゃい」
エルミスはお母さんのようにアフロディーティに言う。
アフロディーティは頷き、自分のベッドのある部屋によろよろと歩いて行った。
「アーリス、おはよう」
エルミスはアーリスに向かって挨拶をする。
いつも通りのにこやかな笑顔でアーリスを見る。
「うん、おはよう」
アーリスもにこやかに挨拶を返すのだった。
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