24 / 30
第二章 クロノス
24 信頼 アフロディーティ視点
しおりを挟む
「まあ、何はともあれ、これでそこの愚か者を殺せる」
僕はは剣を持ってゆっくりとフェンガーリに近ずいて行く。
「こ、殺す?冗談だよね?さすがにそれは……」
アーリスは僕の言葉には困惑しながらそう言う。
何をそんなに驚いている?
コイツを野放しにしておけば、いずれ君に危害を加えるだろう。
ならばここで殺しておいたほうがいい。
「いいや、本気だ。ソイツはアーリスを散々傷つけた挙句追放し、今度は君を奴隷にしようとしている。生かしておく価値などない」
「クロノス!フェンガーリを解放して、この部屋にあるポーション全部壊して!!」
急にアーリスはそう叫ぶ。
「!! わ、わかったのじゃ。Sランク特権を発動するのじゃ」
???
なぜこんなことをするんだアーリス。
せっかく作ったのに……。もったいない。
「クロノス、フェンガーリを連れてできるだけ遠くへ逃げて」
「……なぜこんなやつを助けようとする?話を聞いた限り、コイツにそんな価値はないじゃろ?」
「生きる価値がないのは殺していい理由にはならないよ。それにフェンガーリさん、いい所もあるんだよ。この人を心の支えにして生きてる人もいっぱいいる。だから殺させる訳にはいかない」
「そういうもんかの、まあ、任せろ」
クロノスはジタバタするフェンガーリを担いで店内から出ていく。
はははっ!
まさかアーリスが僕の邪魔をするとは思わなかった。
だが無意味だ。僕はアイツを殺す。
たとえ君に恨まれても構わない。
僕は君が幸せになってくれればそれでいいのだ。
……願わくば、その隣に僕を置いてくれると嬉しいが。
「逃がすか!」
僕も後に続こうとするがアーリスが立ち塞がる。
無駄だ。君では僕を止められない。
「どいてくれアーリス!これは君の為なんだ!アイツを生かしておけば、また君を傷つけに来る!ここで殺しておくのが最適解だ!」
「ねぇアフロディーティ。君は俺を守り続けるって言ってくれたよね?」
何を今更。当たり前じゃないか。
「……ああ、僕は君を守る。そのために――」
「じゃあ、こうすれば、君はフェンガーリの方へは行けなくなるよね」
そう言うと、アーリスは自分のお腹に深々と剣を突き刺す。
……………………。
頭が真っ白になる。
何も考えられなくなる。
一瞬が永遠に感じられる。
「ッ!何をしているんだアーリス!!!」
我に返った僕は急いでアーリスに駆け寄る。
それに構わず、アーリスは体から剣を引き抜く。
血が吹き出て辺りを赤く染める。
僕を赤く染める。
アーリスはその場に倒れ込む。
「嘘……」
エルミスの声だ。いつの間に戻ってきたのだろうか?
いや、そんなことはどうでもいい。
今僕はそれどころでは無いのだ。
「アーリス!アーリス!!……あああああああああああぁぁぁ!!」
僕は体を真っ赤にしながら発狂している。
「ど、どういうこと……?ねぇ、アフロディーティ!説明してよ!なんで……なんで!?」
どういうこと?
こっちのセリフだよエルミス。
肩を揺すられても怒鳴られても分からないものは分からない。
「僕の……せいなのか?」
不意に僕の口が開く。
僕の意思じゃない。ただ考えていることが溢れ出して、声に出てしまう。
「何が、僕の何が間違えていた?なぜアーリスはあんなことを?どうして……」
「早く、ポーションを!」
なるほど。このために君はポーションを全て割って、銀髪の女を店から遠ざけたのか。
こうすれば、僕がポーションを買ってこなければ君は死んでしまう。
なあ、君はそこまでしてあのフェンガーリとか言う男を助けたかったのか?
『生きる価値がないのは殺していい理由にはならないよ』
不意にアーリスの言葉が頭に過ぎる。
そうだった。君は誰に対してもそういう男だった。
学園時代、庶民の癖にと散々バカにしてきた僕のことも、君はさも当たり前な顔をして襲ってきた魔物から助けてくれたものな。
ふと前を見るとあの銀髪の女がものすごい顔をしながらヘナヘナとその場に倒れ込んでいる。
お前殺そうとしてたじゃないか、いつからそんな関係になった?
続いてエルミスが戻ってくる。
彼女の手には最高級のポーションが握られていた。
アーリスが作ったものには劣るようだが。
良かった。彼が助かる。
そうもは思うと、僕は安心してしまったのか意識がなくなってしまった。
僕はは剣を持ってゆっくりとフェンガーリに近ずいて行く。
「こ、殺す?冗談だよね?さすがにそれは……」
アーリスは僕の言葉には困惑しながらそう言う。
何をそんなに驚いている?
コイツを野放しにしておけば、いずれ君に危害を加えるだろう。
ならばここで殺しておいたほうがいい。
「いいや、本気だ。ソイツはアーリスを散々傷つけた挙句追放し、今度は君を奴隷にしようとしている。生かしておく価値などない」
「クロノス!フェンガーリを解放して、この部屋にあるポーション全部壊して!!」
急にアーリスはそう叫ぶ。
「!! わ、わかったのじゃ。Sランク特権を発動するのじゃ」
???
なぜこんなことをするんだアーリス。
せっかく作ったのに……。もったいない。
「クロノス、フェンガーリを連れてできるだけ遠くへ逃げて」
「……なぜこんなやつを助けようとする?話を聞いた限り、コイツにそんな価値はないじゃろ?」
「生きる価値がないのは殺していい理由にはならないよ。それにフェンガーリさん、いい所もあるんだよ。この人を心の支えにして生きてる人もいっぱいいる。だから殺させる訳にはいかない」
「そういうもんかの、まあ、任せろ」
クロノスはジタバタするフェンガーリを担いで店内から出ていく。
はははっ!
まさかアーリスが僕の邪魔をするとは思わなかった。
だが無意味だ。僕はアイツを殺す。
たとえ君に恨まれても構わない。
僕は君が幸せになってくれればそれでいいのだ。
……願わくば、その隣に僕を置いてくれると嬉しいが。
「逃がすか!」
僕も後に続こうとするがアーリスが立ち塞がる。
無駄だ。君では僕を止められない。
「どいてくれアーリス!これは君の為なんだ!アイツを生かしておけば、また君を傷つけに来る!ここで殺しておくのが最適解だ!」
「ねぇアフロディーティ。君は俺を守り続けるって言ってくれたよね?」
何を今更。当たり前じゃないか。
「……ああ、僕は君を守る。そのために――」
「じゃあ、こうすれば、君はフェンガーリの方へは行けなくなるよね」
そう言うと、アーリスは自分のお腹に深々と剣を突き刺す。
……………………。
頭が真っ白になる。
何も考えられなくなる。
一瞬が永遠に感じられる。
「ッ!何をしているんだアーリス!!!」
我に返った僕は急いでアーリスに駆け寄る。
それに構わず、アーリスは体から剣を引き抜く。
血が吹き出て辺りを赤く染める。
僕を赤く染める。
アーリスはその場に倒れ込む。
「嘘……」
エルミスの声だ。いつの間に戻ってきたのだろうか?
いや、そんなことはどうでもいい。
今僕はそれどころでは無いのだ。
「アーリス!アーリス!!……あああああああああああぁぁぁ!!」
僕は体を真っ赤にしながら発狂している。
「ど、どういうこと……?ねぇ、アフロディーティ!説明してよ!なんで……なんで!?」
どういうこと?
こっちのセリフだよエルミス。
肩を揺すられても怒鳴られても分からないものは分からない。
「僕の……せいなのか?」
不意に僕の口が開く。
僕の意思じゃない。ただ考えていることが溢れ出して、声に出てしまう。
「何が、僕の何が間違えていた?なぜアーリスはあんなことを?どうして……」
「早く、ポーションを!」
なるほど。このために君はポーションを全て割って、銀髪の女を店から遠ざけたのか。
こうすれば、僕がポーションを買ってこなければ君は死んでしまう。
なあ、君はそこまでしてあのフェンガーリとか言う男を助けたかったのか?
『生きる価値がないのは殺していい理由にはならないよ』
不意にアーリスの言葉が頭に過ぎる。
そうだった。君は誰に対してもそういう男だった。
学園時代、庶民の癖にと散々バカにしてきた僕のことも、君はさも当たり前な顔をして襲ってきた魔物から助けてくれたものな。
ふと前を見るとあの銀髪の女がものすごい顔をしながらヘナヘナとその場に倒れ込んでいる。
お前殺そうとしてたじゃないか、いつからそんな関係になった?
続いてエルミスが戻ってくる。
彼女の手には最高級のポーションが握られていた。
アーリスが作ったものには劣るようだが。
良かった。彼が助かる。
そうもは思うと、僕は安心してしまったのか意識がなくなってしまった。
0
お気に入りに追加
185
あなたにおすすめの小説
最強美少女達に愛されている無能サポーター 〜周りの人から馬鹿にされ続けてもう嫌なのパーティメンバーの天才たちが離してくれない〜
妄想屋さん
ファンタジー
最強の美少女パーティメンバーに囲まれた無能、アルフ。
彼は周囲の人の陰口に心を病み、パーティメンバー達に、
「このパーティを抜けたい」
と、申し出る。
しかし、アルフを溺愛し、心の拠り所にしていた彼女達はその申し出を聞いて泣き崩れていまう。
なんとかアルフと一緒にいたい少女達と、どうしてもパーティを抜けたい主人公の話。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。
あの理不尽王子をやっつけたい!!!! 〜自分達に向けられる理不尽に仲間(美少女)達と立ち向かう!〜
妄想屋さん
ファンタジー
なんで何もしてないのに檻に入れられなきゃいけないんだ!
あの理不尽王子をやっつけたい!!!
未不磨 宇井(主人公)とその仲間(美少女)たちは理不尽な世界で今日も生きていく。
第五皇女の成り上がり! 捨てられ皇女、皇帝になります
清家未森
ファンタジー
後宮でくらす見捨てられた第五皇女・ユーゼリカは弟を養うため、趣味と実益を兼ねた節約貧乏生活を送っていた。幼い時に母を亡くし、後ろ盾のないユーゼリカたちは他の皇子皇女にも嘲笑われる立場。そんな中、父である現皇帝は、後宮中の皇子皇女を集め、『これから三年の後、もっとも財を築き、皇宮を豊かにした者』を次期皇帝にすると宣言。戸惑う彼らの中でまっさきに手を挙げたのはユーゼリカだった。しかもその方法は――人材育成!? 次代の天才を育成し、彼らにがっぽり稼いでもらうため、おんぼろ屋敷を買い上げ、寮経営を始めたユーゼリカだったが、集まったのは奇人変人ついでに美形の曲者ぞろいで……!?
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる