20 / 30
第二章 クロノス
20 告白
しおりを挟む
「なあ、アーリス。ワシはやりたいことができたのじゃ」
不意にクロノスがアーリスに話しかけてくる。
「ッ!良かったね!それで、何をやりたいの?」
アーリスは自分のことのように嬉しそうな顔をする。
「ワシは……アーリス、お主を守りたい、お主を笑顔にしたい、お主と話したい、……お主と、一緒に居たい」
クロノスは頬を赤らめながらそう言う。
「……ありがとう。こんな俺を必要としてくれて。よろしくね、クロノス」
そう言うと、アーリスはクロノスに手を差し伸べる。
「……ああ、よろしく頼む」
涙を流しながら、クロノスはアーリスの手をとる。
その時唸り声と共に、フェンガーリがむっくりと起き上がる。
「痛ってえな……。ッ!ダメだ君!その男はクズで、君は騙されて――」
「黙れ!」
フェンガーリの言葉にクロノスが激怒する。
「クズはお前のほうじゃ!アーリスはホムンクルスのワシを人間と言ってくれた。ボロボロになりながらワシを救おうとしてくれた!今まで何十人と人間にあってきたが、こんな人間は初めてじゃった」
「そんなわけはねぇよ!コイツは毎晩、女を取っかえ引っ変えして抱きまくったり、俺達が集めたドロップアイテムを盗んだり、自分の失敗を人のせいにするクズだぞ!」
「だから、俺はそんなことしてません!」
アーリスはフェンガーリの言葉を力強く否定する。
「そんなわけはねぇだろ!ギーが教えてくれたんだ!お前の悪行を全部な!仲間だと思ってたのによ……。お前が、俺達を裏切ったんだろうが!」
フェンガーリは怒りがで体を震わせながらそう怒鳴った。
「……仲間?俺と、フェンガーリさんが?バカ言わないでください。俺達の関係は出会った時から主人と奴隷だったでしょう」
「何を言ってやがる!俺は本気で――」
「あなたは仲間だと思っている人に――」
『遅いぞアーリス!もっと早く進めねーのか!』
『ちげーだろ!私のような生きる価値もないクズで馬鹿で無様で無用のゴミーリスが多大なる迷惑をかけてしまい申し訳ございませんでした、だろーがよ!』
『本当にだぜ全く……早く立てよ、アーリス、置いてくぞ』
アーリスの頭の中にフェンガーリに言われた罵声が大音量で流れる。
「――あんな冷たい目をするんですか?あんな蔑むような笑みを見せるんですか?」
深い悲しみと少しの怒りがアーリスの心を飲み込んでいく。
「だ、だからって、この子達を騙して、お前のそばに侍らせんのはいくらなんでも可哀想だろうが!復讐したいな俺を攻撃しろよ!」
「黙って聞いておれば、いい加減にしろよドブネズミ」
クロノスが二人の会話に口を挟む。
「貴様が知ったような口を聞くな。アーリスの価値がわからんお前に、ここにいる資格はない!」
「待ってろよエルミス、アフロディーティ、そして銀髪の君!俺が君達をアーリスの呪縛から解放してやるよ!」
クロノスの言葉には耳を傾けず、フェンガーリはアーリスに切りかかろうとする。
その斬撃をクロノスがアーリスを庇うようにして受け止める。
「アーリス!金髪の少女を助けてやってくれ!かなり危険な状態じゃ!」
「え?……ッ!アフロディーティ!!」
アーリスは倒れているアフロディーティに気づき、慌ててかけよる。
「……この部屋に充満している匂い、フェンガーリの特権による毒か、解毒剤のポーションは――」
アーリスは辺りを見渡して、何とか棚に残っていた解毒作用のあるポーションを手にとり、それをアフロディーティにかける。
「アフロディーティ!アフロディーティ!!」
アーリスは必死に名前を呼び続ける。
「……またビショビショだ。やっぱりアーリス、水で服が張り付いてるのが好きなんだろ?」
アフロディーティの弱々しい声が聞こえてきて、アーリスの目に涙が浮かぶ。
アフロディーティは首を動かし、フェンガーリとクロノスの戦闘を眺めている。
「地下で何があったか分からないが、彼女は……」
「うん、クロノスはもう俺達の仲間だよ」
「君を殺しに来た奴を仲間と呼ぶとは、今も昔も変わらず、アーリスはお人好しだな」
アーリスの言葉にアフロディーティは苦笑する。
「アーリス、この毒は五分程度で全身に回るらしい」
「あらら、でも毒耐性のポーションはもう全部割れちゃってるね。……言われてみれば体がダルい。もう俺とクロノスが体を自由に動かせるのはあと一分もないかも」
アーリスはそう言うと剣をかまえる。
「速攻で片付けよう」
「作戦は?」
アフロディーティも剣をかまえてアーリスの横に立つ。
「数でゴリ押す」
「らしくないな、だが、策を考えている時間が惜しいか!」
アフロディーティがそう言った後、二人はフェンガーリに向かって突撃する。
アーリスとクロノスの体に毒が回るまで、残り24秒。
不意にクロノスがアーリスに話しかけてくる。
「ッ!良かったね!それで、何をやりたいの?」
アーリスは自分のことのように嬉しそうな顔をする。
「ワシは……アーリス、お主を守りたい、お主を笑顔にしたい、お主と話したい、……お主と、一緒に居たい」
クロノスは頬を赤らめながらそう言う。
「……ありがとう。こんな俺を必要としてくれて。よろしくね、クロノス」
そう言うと、アーリスはクロノスに手を差し伸べる。
「……ああ、よろしく頼む」
涙を流しながら、クロノスはアーリスの手をとる。
その時唸り声と共に、フェンガーリがむっくりと起き上がる。
「痛ってえな……。ッ!ダメだ君!その男はクズで、君は騙されて――」
「黙れ!」
フェンガーリの言葉にクロノスが激怒する。
「クズはお前のほうじゃ!アーリスはホムンクルスのワシを人間と言ってくれた。ボロボロになりながらワシを救おうとしてくれた!今まで何十人と人間にあってきたが、こんな人間は初めてじゃった」
「そんなわけはねぇよ!コイツは毎晩、女を取っかえ引っ変えして抱きまくったり、俺達が集めたドロップアイテムを盗んだり、自分の失敗を人のせいにするクズだぞ!」
「だから、俺はそんなことしてません!」
アーリスはフェンガーリの言葉を力強く否定する。
「そんなわけはねぇだろ!ギーが教えてくれたんだ!お前の悪行を全部な!仲間だと思ってたのによ……。お前が、俺達を裏切ったんだろうが!」
フェンガーリは怒りがで体を震わせながらそう怒鳴った。
「……仲間?俺と、フェンガーリさんが?バカ言わないでください。俺達の関係は出会った時から主人と奴隷だったでしょう」
「何を言ってやがる!俺は本気で――」
「あなたは仲間だと思っている人に――」
『遅いぞアーリス!もっと早く進めねーのか!』
『ちげーだろ!私のような生きる価値もないクズで馬鹿で無様で無用のゴミーリスが多大なる迷惑をかけてしまい申し訳ございませんでした、だろーがよ!』
『本当にだぜ全く……早く立てよ、アーリス、置いてくぞ』
アーリスの頭の中にフェンガーリに言われた罵声が大音量で流れる。
「――あんな冷たい目をするんですか?あんな蔑むような笑みを見せるんですか?」
深い悲しみと少しの怒りがアーリスの心を飲み込んでいく。
「だ、だからって、この子達を騙して、お前のそばに侍らせんのはいくらなんでも可哀想だろうが!復讐したいな俺を攻撃しろよ!」
「黙って聞いておれば、いい加減にしろよドブネズミ」
クロノスが二人の会話に口を挟む。
「貴様が知ったような口を聞くな。アーリスの価値がわからんお前に、ここにいる資格はない!」
「待ってろよエルミス、アフロディーティ、そして銀髪の君!俺が君達をアーリスの呪縛から解放してやるよ!」
クロノスの言葉には耳を傾けず、フェンガーリはアーリスに切りかかろうとする。
その斬撃をクロノスがアーリスを庇うようにして受け止める。
「アーリス!金髪の少女を助けてやってくれ!かなり危険な状態じゃ!」
「え?……ッ!アフロディーティ!!」
アーリスは倒れているアフロディーティに気づき、慌ててかけよる。
「……この部屋に充満している匂い、フェンガーリの特権による毒か、解毒剤のポーションは――」
アーリスは辺りを見渡して、何とか棚に残っていた解毒作用のあるポーションを手にとり、それをアフロディーティにかける。
「アフロディーティ!アフロディーティ!!」
アーリスは必死に名前を呼び続ける。
「……またビショビショだ。やっぱりアーリス、水で服が張り付いてるのが好きなんだろ?」
アフロディーティの弱々しい声が聞こえてきて、アーリスの目に涙が浮かぶ。
アフロディーティは首を動かし、フェンガーリとクロノスの戦闘を眺めている。
「地下で何があったか分からないが、彼女は……」
「うん、クロノスはもう俺達の仲間だよ」
「君を殺しに来た奴を仲間と呼ぶとは、今も昔も変わらず、アーリスはお人好しだな」
アーリスの言葉にアフロディーティは苦笑する。
「アーリス、この毒は五分程度で全身に回るらしい」
「あらら、でも毒耐性のポーションはもう全部割れちゃってるね。……言われてみれば体がダルい。もう俺とクロノスが体を自由に動かせるのはあと一分もないかも」
アーリスはそう言うと剣をかまえる。
「速攻で片付けよう」
「作戦は?」
アフロディーティも剣をかまえてアーリスの横に立つ。
「数でゴリ押す」
「らしくないな、だが、策を考えている時間が惜しいか!」
アフロディーティがそう言った後、二人はフェンガーリに向かって突撃する。
アーリスとクロノスの体に毒が回るまで、残り24秒。
1
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
へなちょこ鑑定士くん、脱獄する ~魔物学園で飼育された少年は1日1個スキルを奪い、魔王も悪魔も神をも従えて世界最強へと至る~
めで汰
ファンタジー
魔物の学校の檻の中に囚われた鑑定士アベル。
絶体絶命のピンチに陥ったアベルに芽生えたのは『スキル奪取能力』。
奪い取れるスキルは1日に1つだけ。
さて、クラスの魔物のスキルを一体「どれから」「どの順番で」奪い取っていくか。
アベルに残された期限は30日。
相手は伝説級の上位モンスターたち。
気弱な少年アベルは頭をフル回転させて生き延びるための綱渡りに挑む。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
勇者召喚に巻き込まれたモブキャラの俺。女神の手違いで勇者が貰うはずのチートスキルを貰っていた。気づいたらモブの俺が世界を救っちゃってました。
つくも
ファンタジー
主人公——臼井影人(うすいかげと)は勉強も運動もできない、影の薄いどこにでもいる普通の高校生である。
そんな彼は、裏庭の掃除をしていた時に、影人とは対照的で、勉強もスポーツもできる上に生徒会長もしている——日向勇人(ひなたはやと)の勇者召喚に巻き込まれてしまった。
勇人は異世界に旅立つより前に、女神からチートスキルを付与される。そして、異世界に召喚されるのであった。
始まりの国。エスティーゼ王国で目覚める二人。当然のように、勇者ではなくモブキャラでしかない影人は用無しという事で、王国を追い出された。
だが、ステータスを開いた時に影人は気づいてしまう。影人が勇者が貰うはずだったチートスキルを全て貰い受けている事に。
これは勇者が貰うはずだったチートスキルを手違いで貰い受けたモブキャラが、世界を救う英雄譚である。
※他サイトでも公開
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる