12 / 30
第二章 クロノス
12 恋敵
しおりを挟む
「疲れたー!」
赤い髪をした童顔の少年、アーリスはうーん、と伸びをする。
フェンガーリパーティの少女との騒動からは四日が経ち、アーリスは自分のポーション屋さんの開店準備をしていた。
資金はエルミスからは借りずに、色々なところから借金をして何とか集めた。
こじんまりとした店だが、場所はいい所にあり、なかなかいい雰囲気の外装だ。
「もうひと頑張りかな」
アーリスは気合いを入れ直すと再び作業に戻るのだった。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
四日前のこと。
エルミスを尾行していたゼフスは途中でエルミスの姿を見失っていた。
「どこ言っちゃったっすか。エルミス様……」
しばらく街中を探していると、少し遠くで人だかりができていた。
「なんっすかね?」
ゼフス気になってその人だかりの方へ向かう。
人をかき分けて行くと、そこにはゼフスとっては信じられない光景が広がっていた。
エルミスがアーリスのことを優しく抱きしめていたのだ。
エルミスの顔はとても穏やかに笑っていて、その表情はとても幸せそうだった。
「なっ!」
ゼフスは一瞬目眩がしたが何とか体制を立て直す。
(アイツ!ぶっ殺してやるっす!)
ゼフスは剣を抜きかけるがすぐに冷静になる。
(こんな所で斬りかかったら、騎士団にいられなくなるっす……)
ゼフスはアーリスを殺意を込めた目で睨み詰める
「覚えてるっすよ……。庶民風情が」
ゼフスはゆっくりとその場を立ち去る。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
フェンガーリ一行は日々のストレスを発散するため、街で買い物を楽しんでいた。
4日前アーリスを連れ戻しに行った少女は部屋で塞ぎ込んでしまっているため、ここにはいない。
アーリスを追放してからしばらく経つが結局アーリスを超える雑用係は見つからず、今まで当たり前にできていたことが何も出来なくなってしまっていた。
今のダンジョン攻略は新しく入ったアフロディーティにほとんど依存している状態だ。
「ここの街のことはあまり知らないんだが、おすすめの店はあるかな?」
アフロディーティはフェンガーリに訪ねる。
「そ、そうだな……」
普段あまり買い物をしないフェンガーリが悩んでいると……。
「ここ、何か出来るみたいだよ」
ギーがひとつのお店を指さす。
こじんまりとした店だが外装はなかなかいい感じの店だ。店の前の看板には〈みんなのポーション屋さん〉
と、書いてある。
「ポーション専門店か、今どき珍しいな」
「そうなのか?」
フェンガーリの言葉によく分からない、と言う用にアフロディーティが質問する。
「ああ、今どきはポーションなんて他の消耗品と一緒の店で売られていることがほとんどだからな」
「そういうものなのか」
アフロディーティは納得したように頷く。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
鼻歌を歌いながら、青髪ロングの少女、エルミスはアーリスが経営しようとしているポーション屋、みんなのポーション屋さんに向かっていた。
(四日ぶりにアーリス会える♪騎士団の仕事が結構立て続けにあって、なかなか会う時間がなかったけど、久しぶりの休暇だー!)
エルミスは最高級の差し入れ用お菓子を片手に軽い足取りで歩いて行くのだった。
店の前に着くと、沢山の女の子達と一人のイケメンの男性のパーティが店の前でワチャワチャと話していた。
(まあ、なかなかいい顔をしてるけど……アーリス程じゃないかな。ん?)
そんな失礼なことを思っているエルミスだったが、そのパーティの中に自分の知っている顔があることに気づく。
「アフロディーティだ!」
エルミスはその知っている人の名前を呼ぶ。
「……エルミスか!」
その声に金髪のショートヘアの少女が反応する。
「へぇ、騎士団のエルミスと知り合いだったのか」
フェンガーリは以外そうにアフロディーティの方を見る。
「同じ学園に通っていたんだ。な?」
「うん!久しぶりー」
エルミスがアフロディーティに抱きつく。アフロディーティも困ったような顔をしているが、特に抵抗もせずされるがままにされる。
不意に、エルミスがアフロディーティに耳打ちをする。
「ライバルがいなくなってよかったよ。そっちはそっちでお幸せに」
アフロディーティも負けじと言い返す。
「フェンガーリとはそういう関係じゃない。アーリスは僕がいただく」
「なーんだ。残念」
エルミスははアフロディティの体から離れる。
二人とも顔は笑っているが心の中は穏やかではなかった。
赤い髪をした童顔の少年、アーリスはうーん、と伸びをする。
フェンガーリパーティの少女との騒動からは四日が経ち、アーリスは自分のポーション屋さんの開店準備をしていた。
資金はエルミスからは借りずに、色々なところから借金をして何とか集めた。
こじんまりとした店だが、場所はいい所にあり、なかなかいい雰囲気の外装だ。
「もうひと頑張りかな」
アーリスは気合いを入れ直すと再び作業に戻るのだった。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
四日前のこと。
エルミスを尾行していたゼフスは途中でエルミスの姿を見失っていた。
「どこ言っちゃったっすか。エルミス様……」
しばらく街中を探していると、少し遠くで人だかりができていた。
「なんっすかね?」
ゼフス気になってその人だかりの方へ向かう。
人をかき分けて行くと、そこにはゼフスとっては信じられない光景が広がっていた。
エルミスがアーリスのことを優しく抱きしめていたのだ。
エルミスの顔はとても穏やかに笑っていて、その表情はとても幸せそうだった。
「なっ!」
ゼフスは一瞬目眩がしたが何とか体制を立て直す。
(アイツ!ぶっ殺してやるっす!)
ゼフスは剣を抜きかけるがすぐに冷静になる。
(こんな所で斬りかかったら、騎士団にいられなくなるっす……)
ゼフスはアーリスを殺意を込めた目で睨み詰める
「覚えてるっすよ……。庶民風情が」
ゼフスはゆっくりとその場を立ち去る。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
フェンガーリ一行は日々のストレスを発散するため、街で買い物を楽しんでいた。
4日前アーリスを連れ戻しに行った少女は部屋で塞ぎ込んでしまっているため、ここにはいない。
アーリスを追放してからしばらく経つが結局アーリスを超える雑用係は見つからず、今まで当たり前にできていたことが何も出来なくなってしまっていた。
今のダンジョン攻略は新しく入ったアフロディーティにほとんど依存している状態だ。
「ここの街のことはあまり知らないんだが、おすすめの店はあるかな?」
アフロディーティはフェンガーリに訪ねる。
「そ、そうだな……」
普段あまり買い物をしないフェンガーリが悩んでいると……。
「ここ、何か出来るみたいだよ」
ギーがひとつのお店を指さす。
こじんまりとした店だが外装はなかなかいい感じの店だ。店の前の看板には〈みんなのポーション屋さん〉
と、書いてある。
「ポーション専門店か、今どき珍しいな」
「そうなのか?」
フェンガーリの言葉によく分からない、と言う用にアフロディーティが質問する。
「ああ、今どきはポーションなんて他の消耗品と一緒の店で売られていることがほとんどだからな」
「そういうものなのか」
アフロディーティは納得したように頷く。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
鼻歌を歌いながら、青髪ロングの少女、エルミスはアーリスが経営しようとしているポーション屋、みんなのポーション屋さんに向かっていた。
(四日ぶりにアーリス会える♪騎士団の仕事が結構立て続けにあって、なかなか会う時間がなかったけど、久しぶりの休暇だー!)
エルミスは最高級の差し入れ用お菓子を片手に軽い足取りで歩いて行くのだった。
店の前に着くと、沢山の女の子達と一人のイケメンの男性のパーティが店の前でワチャワチャと話していた。
(まあ、なかなかいい顔をしてるけど……アーリス程じゃないかな。ん?)
そんな失礼なことを思っているエルミスだったが、そのパーティの中に自分の知っている顔があることに気づく。
「アフロディーティだ!」
エルミスはその知っている人の名前を呼ぶ。
「……エルミスか!」
その声に金髪のショートヘアの少女が反応する。
「へぇ、騎士団のエルミスと知り合いだったのか」
フェンガーリは以外そうにアフロディーティの方を見る。
「同じ学園に通っていたんだ。な?」
「うん!久しぶりー」
エルミスがアフロディーティに抱きつく。アフロディーティも困ったような顔をしているが、特に抵抗もせずされるがままにされる。
不意に、エルミスがアフロディーティに耳打ちをする。
「ライバルがいなくなってよかったよ。そっちはそっちでお幸せに」
アフロディーティも負けじと言い返す。
「フェンガーリとはそういう関係じゃない。アーリスは僕がいただく」
「なーんだ。残念」
エルミスははアフロディティの体から離れる。
二人とも顔は笑っているが心の中は穏やかではなかった。
1
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
魔神として転生した~身にかかる火の粉は容赦なく叩き潰す~
あめり
ファンタジー
ある日、相沢智司(アイザワサトシ)は自らに秘められていた力を開放し、魔神として異世界へ転生を果たすことになった。強大な力で大抵の願望は成就させることが可能だ。
彼が望んだものは……順風満帆な学園生活を送りたいというもの。15歳であり、これから高校に入る予定であった彼にとっては至極自然な願望だった。平凡過ぎるが。
だが、彼の考えとは裏腹に異世界の各組織は魔神討伐としての牙を剥き出しにしていた。身にかかる火の粉は、自分自身で払わなければならない。智司の望む、楽しい学園生活を脅かす存在はどんな者であろうと容赦はしない!
強大過ぎる力の使い方をある意味で間違えている転生魔神、相沢智司。その能力に魅了された女性陣や仲間たちとの交流を大切にし、また、住処を襲う輩は排除しつつ、人間世界へ繰り出します!
※番外編の「地球帰還の魔神~地球へと帰った智司くんはそこでも自由に楽しみます~」というのも書いています。よろしければそちらもお楽しみください。本編60話くらいまでのネタバレがあるかも。
最強美少女達に愛されている無能サポーター 〜周りの人から馬鹿にされ続けてもう嫌なのパーティメンバーの天才たちが離してくれない〜
妄想屋さん
ファンタジー
最強の美少女パーティメンバーに囲まれた無能、アルフ。
彼は周囲の人の陰口に心を病み、パーティメンバー達に、
「このパーティを抜けたい」
と、申し出る。
しかし、アルフを溺愛し、心の拠り所にしていた彼女達はその申し出を聞いて泣き崩れていまう。
なんとかアルフと一緒にいたい少女達と、どうしてもパーティを抜けたい主人公の話。
無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
良家で才能溢れる新人が加入するので、お前は要らないと追放された後、偶然お金を落とした穴が実はガチャで全財産突っ込んだら最強になりました
ぽいづん
ファンタジー
ウェブ・ステイは剣士としてパーティに加入しそこそこ活躍する日々を過ごしていた。
そんなある日、パーティリーダーからいい話と悪い話があると言われ、いい話は新メンバー、剣士ワット・ファフナーの加入。悪い話は……ウェブ・ステイの追放だった……
失意のウェブは気がつくと街外れをフラフラと歩き、石に躓いて転んだ。その拍子にポケットの中の銅貨1枚がコロコロと転がり、小さな穴に落ちていった。
その時、彼の目の前に銅貨3枚でガチャが引けます。という文字が現れたのだった。
※小説家になろうにも投稿しています。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
勇者PTを追放されたので獣娘たちに乗り換えて楽しく生きる
まったりー
ファンタジー
勇者を支援する為に召喚され、5年の間ユニークスキル【カードダス】で支援して来た主人公は、突然の冤罪を受け勇者PTを追放されてしまいました。
そんな主人公は、ギルドで出会った獣人のPTと仲良くなり、彼女たちの為にスキルを使う事を決め、獣人たちが暮らしやすい場所を作る為に奮闘する物語です。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる