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第一章 エルミス
07 庶民
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騎士団に所属しているエルミスは他の騎士団員と共にトレーニングの一環であるランニングをしていた。
かなり早いペースで走っていたため、他の騎士団員は、はるか後ろである。
しばらく走っていると、エルミスはアーリスの背中を発見する。一瞬、エルミスの顔が緩みかけるが、すぐさま、通常の顔に戻す。
「あれ?どうしたの、こんな早朝に」
と、一度足を止めて、アーリスに声をかける。
「エルミス。おはよう」
アーリスはにこりと笑って、エルミスに挨拶をする。
「おはよう。ってどうしたのその大量のポーション!私が貸したお金全部使っても買えないよね!その量」
アーリスの持っていたカゴには特大サイズのポーションが20個くらい入っていた。エルミスが、驚いたような表情になる。
「うん。だから自分で作ったんだ~」
「……へ?」
エルミスはアーリスに言われたことが理解できず、目を点にする。
「いや、だから自分で……そっか、この街ってポーションつくれる人珍しいんだっけ?」
「珍しいっていうか……。アーリス、ポーション少なくとも学生時代は作れなかったよね?」
エルミスは少し考え込むようにして、アーリスの周りをぐるっと一周する。
「一年位で作れるようになっちゃうなんて……。すごい才能だね、びっくりしちゃった」
「一年っていうか……一回作り方見たら覚えられる……よね?」
戸惑ったようにアーリスがエルミスの方を見つめる。
「……。そういえば学生時代から――」
エルミスが何かを思い出したように深く頷く。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
剣術の授業が終わり、生徒が居住している寮への帰り道、学生時代の、アーリスとエルミスは並んで帰っていた。
『アーリスって、お手本1回見たらすぐ先生と同じ動きできるよね。あれってどういうこと?』
尊敬するようであり悔しそうなでもある眼差しをアーリスに向ける。
『どういうことって言うと?』
アーリスはキョトンとした顔でエルミスを見る。
『なんかコツとかあるの?普通に見てるだけなら、一度見ただけで同じ動きをするなんて、無理だもん』
アーリスはしばらく考え込む。
『……逆になんでできないんだ?出来て当たり前だろ?』
エルミスは顔には出さないがアーリスの顔面を殴りそうになるくらいイラッとした。
しかし、今の会話でアーリスは何が特別なことをしているわけではない、と言うことがわかった。一度見たら同じ動きができてしまうことが、アーリスにとっての当たり前らしい。
エルミスは子供心にアーリスとの才能の差を実感するのだった。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
「まさかここまでとは……」
エルミスは学生時代のアーリスの才能の片鱗を思い出しながら、神様を見るような目でアーリスを見つめる。
「ここまでって?」
その視線にアーリスが困惑している時――
「消えるっす!寄生虫!」
どこからともなく、ものすごい殺気を帯びた声が聞こえて来る。
「へ?」
「ゼフス……」
その声に驚くアーリスと呆れたような顔をしながらその声の主の名前をつぶやくエルミス。
見ると、エルミスの後ろに緑の髪を後ろで結んだ、少し小柄な少女がアーリスを睨みつけている。
「アンタのことっすよ、赤い髪の!」
「ちょっと待ってください!何が誤解していませんか」
アーリスは必死に弁解をしようとするが……
「してないっすよ。寄生虫。庶民なんて、我々貴族に擦り寄ってきて金をむしり取っていく寄生虫っす」
そう言うことか、と悲しそうな顔をしながらアーリスは納得する。
「そういう事でしたか。申し訳ございません。それじゃあ、俺はこれで……あ、そうだ。迷惑かけちゃってごめんね。お詫びといってはだけど、ポーションいる?」
アーリスは申し訳なさそうにエルミスにカゴを差し出す。アーリスの持っているポーションのサイズだと1個5000ゴールドくらいはする。
「いやいや、そんな、受け取れないよ!そもそも私は迷惑なんて――」
「そうっすよ!こんなものいらないっす!」
緑色の髪の少女、改めゼフスがアーリスのカゴを蹴り飛ばす。
カゴをがひっくり返って中に入っていたポーションが全て地面に落ちて割れる。
「ちょっとゼフス!」
エルミスがを怒鳴りつけるがゼフスはすました顔で
「エルミス様は優しすぎるっす。いつまでも寄生虫のそばにいたら、寄生されちゃうっす」
と、言って走り去っていく。
「ごめんね……。じゃあね」
アーリスは空になったカゴを拾ってゼフスとは別の方向に逃げるように走って行く。
「アーリス!待って!」
エルミスは必死に呼び止めるがアーリスは構わず走り去って行く。
「アーリス……」
かなり早いペースで走っていたため、他の騎士団員は、はるか後ろである。
しばらく走っていると、エルミスはアーリスの背中を発見する。一瞬、エルミスの顔が緩みかけるが、すぐさま、通常の顔に戻す。
「あれ?どうしたの、こんな早朝に」
と、一度足を止めて、アーリスに声をかける。
「エルミス。おはよう」
アーリスはにこりと笑って、エルミスに挨拶をする。
「おはよう。ってどうしたのその大量のポーション!私が貸したお金全部使っても買えないよね!その量」
アーリスの持っていたカゴには特大サイズのポーションが20個くらい入っていた。エルミスが、驚いたような表情になる。
「うん。だから自分で作ったんだ~」
「……へ?」
エルミスはアーリスに言われたことが理解できず、目を点にする。
「いや、だから自分で……そっか、この街ってポーションつくれる人珍しいんだっけ?」
「珍しいっていうか……。アーリス、ポーション少なくとも学生時代は作れなかったよね?」
エルミスは少し考え込むようにして、アーリスの周りをぐるっと一周する。
「一年位で作れるようになっちゃうなんて……。すごい才能だね、びっくりしちゃった」
「一年っていうか……一回作り方見たら覚えられる……よね?」
戸惑ったようにアーリスがエルミスの方を見つめる。
「……。そういえば学生時代から――」
エルミスが何かを思い出したように深く頷く。
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剣術の授業が終わり、生徒が居住している寮への帰り道、学生時代の、アーリスとエルミスは並んで帰っていた。
『アーリスって、お手本1回見たらすぐ先生と同じ動きできるよね。あれってどういうこと?』
尊敬するようであり悔しそうなでもある眼差しをアーリスに向ける。
『どういうことって言うと?』
アーリスはキョトンとした顔でエルミスを見る。
『なんかコツとかあるの?普通に見てるだけなら、一度見ただけで同じ動きをするなんて、無理だもん』
アーリスはしばらく考え込む。
『……逆になんでできないんだ?出来て当たり前だろ?』
エルミスは顔には出さないがアーリスの顔面を殴りそうになるくらいイラッとした。
しかし、今の会話でアーリスは何が特別なことをしているわけではない、と言うことがわかった。一度見たら同じ動きができてしまうことが、アーリスにとっての当たり前らしい。
エルミスは子供心にアーリスとの才能の差を実感するのだった。
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「まさかここまでとは……」
エルミスは学生時代のアーリスの才能の片鱗を思い出しながら、神様を見るような目でアーリスを見つめる。
「ここまでって?」
その視線にアーリスが困惑している時――
「消えるっす!寄生虫!」
どこからともなく、ものすごい殺気を帯びた声が聞こえて来る。
「へ?」
「ゼフス……」
その声に驚くアーリスと呆れたような顔をしながらその声の主の名前をつぶやくエルミス。
見ると、エルミスの後ろに緑の髪を後ろで結んだ、少し小柄な少女がアーリスを睨みつけている。
「アンタのことっすよ、赤い髪の!」
「ちょっと待ってください!何が誤解していませんか」
アーリスは必死に弁解をしようとするが……
「してないっすよ。寄生虫。庶民なんて、我々貴族に擦り寄ってきて金をむしり取っていく寄生虫っす」
そう言うことか、と悲しそうな顔をしながらアーリスは納得する。
「そういう事でしたか。申し訳ございません。それじゃあ、俺はこれで……あ、そうだ。迷惑かけちゃってごめんね。お詫びといってはだけど、ポーションいる?」
アーリスは申し訳なさそうにエルミスにカゴを差し出す。アーリスの持っているポーションのサイズだと1個5000ゴールドくらいはする。
「いやいや、そんな、受け取れないよ!そもそも私は迷惑なんて――」
「そうっすよ!こんなものいらないっす!」
緑色の髪の少女、改めゼフスがアーリスのカゴを蹴り飛ばす。
カゴをがひっくり返って中に入っていたポーションが全て地面に落ちて割れる。
「ちょっとゼフス!」
エルミスがを怒鳴りつけるがゼフスはすました顔で
「エルミス様は優しすぎるっす。いつまでも寄生虫のそばにいたら、寄生されちゃうっす」
と、言って走り去っていく。
「ごめんね……。じゃあね」
アーリスは空になったカゴを拾ってゼフスとは別の方向に逃げるように走って行く。
「アーリス!待って!」
エルミスは必死に呼び止めるがアーリスは構わず走り去って行く。
「アーリス……」
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