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第一章 エルミス
04 特権
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「今日からよろしくな!」
「期待してるね!新、雑用係!」
フェンガーリとギーはアーリスに変わる新しい雑用係に挨拶をする。
「ああ、よろしく頼む」
屈強な男は2人に挨拶を返す。
「それにしても冒険者ランクBの雑用係だなんてよく居ましたわね」
パーティメンバーの一人が改めて驚いたように新しい雑用係を見る。
「膝に矢を受けてしまってな……問題なく歩くことはできるが、激しい戦いは出来ない」
「安心しろ!俺たちが守ってやる。俺はランクSだしギーのランクはA、他のみんなもほとんどがBランク以上だ」
フェンガーリの言葉に新しい雑用係、改め、新雑用係は目をまん丸くして驚く。
「Sランクだと!……フェンガーリ、どこかで聞いたことがあるなだと思ったがまさか!」
「そう。彼がその、我が国最強の冒険者、フェンガーリよ」
ギーが得意げに胸を張る。
「なんと!貴方様のパーティーの雑用係を努めさせていただけるとはなんたる光栄!誠心誠意努めさせていただきます!」
今までの口調を改めて、新雑用係は口調を丁寧なものに変える。
「期待してるぜ!これからよろしくな!」
フェンガーリパーティー満足したように、口をにんまりする。
「私たち、明日の朝にこのダンジョンに行くから、諸々準備よろしくね!」
ギーがダンジョンの情報が書かれた紙を渡す。
「かしこまりました!」
新雑用係は、軍隊のようにフェンガーリ達に向かって敬礼する。
✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿✿
辺りはもう暗くなり、エルミスとアーリスは二人で並んで歩いている。
「今日はありがとね!アーリス」
「こっちのセリフだよ。ちょっと先行き不安だけど、頑張ってみる!」
アーリスの表情にはもう暗い影はなく、何かが吹っ切れたような顔をしていた。
「うん!その意気だよ!……ごめん少し言いにくいんだけど、明日は仕事があって、一緒にダンジョンに潜るのとかはできなさそう」
エルミスが申し訳なさそうにアーリスをチラチラ見る。
「え?いいよいいよ!そこまでやらせるのはさすがに……あれ?エルミスって冒険者じゃないの?」
エルミスの言う 仕事 という言葉に違和感を感じたアーリスは不思議そうにエルミスを見つめる。
「言ってなかったっけ?私、一様騎士団で働かせて貰ってるんだけど……。聞いたことない?自分で言うのは本当になんなんだけど私、そこそこ高い地位にいて巷ではちょっぴり有名人のはずなんだけど……」
「騎士団、エルミス、有名……」
アーリスは必死に思い出そうと、うーんと唸る。
「あ、やっぱりなんでもない!忘れて!」
エルミスの方が何かを思い出したように顔を赤くする。
が、すでに遅かった。
「もしかして、リキッドスラッシャー?!」
アーリスは顔をキラキラさせながら、その名を言う。アーリスのそこそこ大きな声が夜の街に響き渡るり、通行人の視線がアーリス達に集まる。
「やめてーーー!」
もともと赤かった顔が更に赤くなり、エルミスはその場に踞る。
「すごい!エルミスがあのリキッドスラッシャーだったなんて!」
「言わないでー!自分から名乗ったことないのに……どうして……」
アーリスが興味津々といった感じでエルミスに尋ねる。
「エルミス!ずっと聞きたかったんだけどさ!リキッドスラッシャーってどう言う意味?誰が名前つけたの?!」
「知らないよ!こっちが聞きたいよ!」
エルミスは、アーリスと会ってから一番大きな声を出す。
怒りと羞恥でエルミスの顔が真っ赤っかである。
「えっと……特権を使わなかったとはいえ、今日そんな人に勝っちゃったんだ、俺……」
特権とは、俗に言う必殺技のようなもので自身のランクが上がるほど特権の威力や、汎用性が高くなっていく。
特権の詳細は今でも解明されておらずまだ謎が多い能力だ。
「これでもう、尚更自分のことがゴミとは言えなくなったね!」
「……そうだね」
諦めたように、でも、どこか嬉しそうにアーリスが頷く。
「そうだ!無一文のアーリスくんに今日私に勝ったご褒美をあげよう」
エルミスはおもむろに財布を取り出すと、紙幣を一枚こちらへ差し出す。一万ゴールドだ。
「え?悪いよそんな」
「でもきょうの宿、どうするの?」
アーリスはフェンガーリパーティからろくに報酬ももらえず、貯金できるほどの報酬も今までもらえなかった。その状態で追放されてしまったので、現在は無一文だ。
「う……。お借りします……。必ず返します。倍にして」
アーリスは申し訳なさそうにゴールドを受け取る。
「いいって。お金だけは無限にあるんだから、忘れちゃった?私は公爵家のご令嬢さんだよ?」
エルミスはえっへんと、胸を張る。
「そうだったね。でもお金は返すよ」
「真面目だなぁ。わかった。じゃあまた……明後日ね!」
「うん!またね」
そう言って、アーリスはエルミスと別れて、今日の宿を探しにいく。
「期待してるね!新、雑用係!」
フェンガーリとギーはアーリスに変わる新しい雑用係に挨拶をする。
「ああ、よろしく頼む」
屈強な男は2人に挨拶を返す。
「それにしても冒険者ランクBの雑用係だなんてよく居ましたわね」
パーティメンバーの一人が改めて驚いたように新しい雑用係を見る。
「膝に矢を受けてしまってな……問題なく歩くことはできるが、激しい戦いは出来ない」
「安心しろ!俺たちが守ってやる。俺はランクSだしギーのランクはA、他のみんなもほとんどがBランク以上だ」
フェンガーリの言葉に新しい雑用係、改め、新雑用係は目をまん丸くして驚く。
「Sランクだと!……フェンガーリ、どこかで聞いたことがあるなだと思ったがまさか!」
「そう。彼がその、我が国最強の冒険者、フェンガーリよ」
ギーが得意げに胸を張る。
「なんと!貴方様のパーティーの雑用係を努めさせていただけるとはなんたる光栄!誠心誠意努めさせていただきます!」
今までの口調を改めて、新雑用係は口調を丁寧なものに変える。
「期待してるぜ!これからよろしくな!」
フェンガーリパーティー満足したように、口をにんまりする。
「私たち、明日の朝にこのダンジョンに行くから、諸々準備よろしくね!」
ギーがダンジョンの情報が書かれた紙を渡す。
「かしこまりました!」
新雑用係は、軍隊のようにフェンガーリ達に向かって敬礼する。
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辺りはもう暗くなり、エルミスとアーリスは二人で並んで歩いている。
「今日はありがとね!アーリス」
「こっちのセリフだよ。ちょっと先行き不安だけど、頑張ってみる!」
アーリスの表情にはもう暗い影はなく、何かが吹っ切れたような顔をしていた。
「うん!その意気だよ!……ごめん少し言いにくいんだけど、明日は仕事があって、一緒にダンジョンに潜るのとかはできなさそう」
エルミスが申し訳なさそうにアーリスをチラチラ見る。
「え?いいよいいよ!そこまでやらせるのはさすがに……あれ?エルミスって冒険者じゃないの?」
エルミスの言う 仕事 という言葉に違和感を感じたアーリスは不思議そうにエルミスを見つめる。
「言ってなかったっけ?私、一様騎士団で働かせて貰ってるんだけど……。聞いたことない?自分で言うのは本当になんなんだけど私、そこそこ高い地位にいて巷ではちょっぴり有名人のはずなんだけど……」
「騎士団、エルミス、有名……」
アーリスは必死に思い出そうと、うーんと唸る。
「あ、やっぱりなんでもない!忘れて!」
エルミスの方が何かを思い出したように顔を赤くする。
が、すでに遅かった。
「もしかして、リキッドスラッシャー?!」
アーリスは顔をキラキラさせながら、その名を言う。アーリスのそこそこ大きな声が夜の街に響き渡るり、通行人の視線がアーリス達に集まる。
「やめてーーー!」
もともと赤かった顔が更に赤くなり、エルミスはその場に踞る。
「すごい!エルミスがあのリキッドスラッシャーだったなんて!」
「言わないでー!自分から名乗ったことないのに……どうして……」
アーリスが興味津々といった感じでエルミスに尋ねる。
「エルミス!ずっと聞きたかったんだけどさ!リキッドスラッシャーってどう言う意味?誰が名前つけたの?!」
「知らないよ!こっちが聞きたいよ!」
エルミスは、アーリスと会ってから一番大きな声を出す。
怒りと羞恥でエルミスの顔が真っ赤っかである。
「えっと……特権を使わなかったとはいえ、今日そんな人に勝っちゃったんだ、俺……」
特権とは、俗に言う必殺技のようなもので自身のランクが上がるほど特権の威力や、汎用性が高くなっていく。
特権の詳細は今でも解明されておらずまだ謎が多い能力だ。
「これでもう、尚更自分のことがゴミとは言えなくなったね!」
「……そうだね」
諦めたように、でも、どこか嬉しそうにアーリスが頷く。
「そうだ!無一文のアーリスくんに今日私に勝ったご褒美をあげよう」
エルミスはおもむろに財布を取り出すと、紙幣を一枚こちらへ差し出す。一万ゴールドだ。
「え?悪いよそんな」
「でもきょうの宿、どうするの?」
アーリスはフェンガーリパーティからろくに報酬ももらえず、貯金できるほどの報酬も今までもらえなかった。その状態で追放されてしまったので、現在は無一文だ。
「う……。お借りします……。必ず返します。倍にして」
アーリスは申し訳なさそうにゴールドを受け取る。
「いいって。お金だけは無限にあるんだから、忘れちゃった?私は公爵家のご令嬢さんだよ?」
エルミスはえっへんと、胸を張る。
「そうだったね。でもお金は返すよ」
「真面目だなぁ。わかった。じゃあまた……明後日ね!」
「うん!またね」
そう言って、アーリスはエルミスと別れて、今日の宿を探しにいく。
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