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節約生活1章「どうしてこうなった!」
ともおと魔女と剣士【4】
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「あ、あれ?全然魔法っぽい事が起きひんやんけ…。やっぱり、その帽子の表示ミスか、潰れてとるんちゃうの?」
「ともおが、魔法のセンスが無さすぎるだけよ…。」
俺は数分前から魔法の使い方を、リッフィーにレクチャーしてもらっていた。
自分の属性が大変めずらしいイレギュラーな物らしく、使ってみたい意欲が俄然高まったからである。
しかし、結果は全然見えてこないまま、無駄に時間だけが過ぎていった。
「空気中の色別に別れた属性色を…ともおなら白色っぽい物を意識して、一点に集中させる感覚で掴むようにしないと、魔法の発動なんか出来るわけないわよ?」
「そ、そないな事を言われても、色なんか見えへんのやし無理すぎるやろ!!」
「見るんじゃなくて、五感のすべてを使って意識の中で感じるのよ…。」
そんな事を言われても、何を掴めばいいのかがまったく分からず、何をやっていいのかがさっぱりわからん。
俺の属性色は白単色の聖属性というヤツらしく、この異世界に1人居たら讃えられるぐらいの希少種らしい。
その特性も頭5つ分は秀でる特性があるらしい…知らんけど…。
説明によると…治癒魔法を得意とする属性で、極めれば極端な話し肉体の屍さえ残っていれば、自分の命を削って人の命を蘇らせる事も可能だそうだ。
人を生き返すなど、自分には無縁の魔法だと思うが…。
リッフィーは俺に教える気があるのかないのか、無表情を貫きながら煽るようにして言葉を投げかけてくる。
「リエッタはともおと違って、短時間で魔法陣形成の段階までいってるわよ?」
俺の属性がレアな物と知ったリエッタは、どことなく不機嫌となり、俺がリッフィーに魔法を教わっている最中に、張り合うかのように横でクロマティを先生にして、黙々と同じようにして魔法を教わっていたのである。
俺とは断然センスが違い、最初に魔法を発現した時よりも、段違いに上達しているのが目で判る程だった。
「私が変態に負けるはずがないじゃない!」
リエッタは相変わらず、俺の事を変態扱いしながら、誰が見ても分かるような不安定感の残る、第一形態の魔法陣を空中に形成をしていた。
その光景をみた俺は、何故か苛立ちを覚えて、自分の考え方を正当化するように、匙を外野からバックホームへと遠投する勢いで豪快に諦める。
そもそも、魔法が使いたかった訳じゃない…簡単に使えると乗せられて使って見たかっただけなのだ。
「あかん!もう無理!!わからん!!!わからんスーギー!!!!」
別に意識はしていないはずだが、芸人魂が俺のリアクションに隠し味を勝手に入れて、一発芸を盛り込んでしまった。
持ち芸とかでは無く、ただ頭に思い浮かんだ言葉を一瞬で一発芸にしてしまう、職業病みたいな感覚である。
ウケの程は…ご想像にお任せします…。
「よかったわね…魔法がちゃんと発動したじゃない…おめでとう。」
「は?どう言う事やねん…。」
一番無視しそうなリッフィーから、ギャグの事はともかくとして、意外な言葉を掛けられた。
「辺りを一瞬で、凍り付かせる魔法はピカイチよね…。」
「うっさいわ!」
少し期待した俺が馬鹿だった。
もう魔法なんて絶対にやらないからな!と心に誓いを立てる…。
ふと、窓から外の様子を伺うと、夕刻にはまだ早いが、だいぶ日が沈みかかっている事に気付く。
そろそろ帰らないと、スラム街の子供達が心配する頃だろうか…。
まだ肝心な事が聞けていない事に今更気付き、俺は慌てて話題を本題へと戻そうとした。
「な、なぁ…魔法の事に夢中になりすぎて忘れててんけど…結局、現世に帰る方法の為に、俺は何をすればええんや?」
聞かれたリッフィーは、少し考えた後に、独特の間を作りながら口を開いた。
ほんの少しではあるが、やっとこさ独特の間への対応が追いつき始めている。
「帝国側の内情は、城内に関わりがあるともおなら、大体理解できてると思うけど…?」
「確か…王様に国の物資が不足してるって聞いてたような気がするな…。その関係で共和国側と戦争に発展したとかなんとか…。」
あんな勿体無い生活してたら、物資が無くなるのも当然の事だ。
リッフィーは、淡々と話を続ける。
「意図して戦争を起こさせたのは私が原因なんだけど…帝国側に供給する物資を、何処よりも安価で提供する事を条件に、お互いの情報共有や他国との連携協定などをお願いしたのよ…。」
「その後の展開が、言われなくても分かる気がするわ…。」
自分なりのおおよその見解的には、あの王のやる事だとしたら…もっと安価を求めて、さらに情報共有は拒否して、他国協定など以ての外なのであろう…。
「そこで!」
リッフィーは突然、自分が持っている声量の全てを出して、全身を表現に使うようにアクションをとった。
声量の全てと言っても、俺の普通の声量に、毛が生えた程度だけど…。
「ともおには、スラム街の人々を味方につけて、帝国側の内側から内乱を起こして欲しいの…。」
「………はぁ?」
予想だにしていない、突拍子も無い事を発言されて、思考が一時的にフリーズする。
「そないな事は俺に頼まんでも、自分らでやればええんちゃうの?」
「残念ながら…私達は完全に帝国側に顔割れしているわ…。それにリエッタは、帝国の攻撃を国境で抑えてもらう事を優先にしてもらっているし、動くに動けない状態なの…。それに、コソコソ動く事は出来ても、表立って行動が出来ないのは、相当な時間と労力がかかってしまうわ…。」
「それで、まだ陰が薄いであろう自由に動ける俺に、白羽の矢が立った訳か?」
リッフィーは静かに首を縦に振った。
自分が現世に帰りたい気持ちは強いとは言えども、リスキーな事に首を突っ込みたく無い気持ちもある…。
俺の心は、積み木が抜かれた後のジェンガのように、不安定に揺れ動く。
「俺は少しだけスラム街で生活をしてたけど…あそこの連中は、一部を除いてみんな腐ってる連中ばっかりやぞ?それをどうやって、まとめ上げたらええねん…。」
俺の悩む姿に対して、やはり無表情なリッフィーが自信満々に答えた。
「根拠は無いけど…ともおなら出来るわよ!」
俺の不安は、ますます募るばかりで、間の抜けた顔でリッフィーを見つめる…。
少しだけ時が止まったかの様な、静寂の時が続いた…。
「…ちょっと…。ボケたんだから、突っ込んでくれないの…?」
「ボケが、わかりにくすぎるわ!!」
リッフィーの分かり難くすぎるボケに対して、ちゃんとした突っ込みを入れる。
その後、ツッコミに対する安定のスルーを決め込み、満足そうな雰囲気で、急に次の話題を喋り出す。
「スラム街の人々は、元を辿れば王族に使える者が、大半を占めているわ…。先代の王が帝国での権力を失い、今の王に変わってから、全てが狂い出していったのよ…。今の王に逆らった者は、問答無用で武力と権力を駆使され、スラム街へと引きずり落とされたていったわ…。腕が立つ者が反逆を試みるも、今の王の魔力には一切歯が立たなかったとも聞くわ…。そして、スラム街から這い上がろうと努力をしても、武力により這い上がる事さえ許されない彼らは、無法者になる事を強いられる事となり、生き残る為の最終手段として、仕方なく悪の道へと浸っているだけなのよ…。」
理由は何と無く理解できた。
しかし、協力をしてもらう為には、決定的に不足しているものが存在する…。
「でも…どないしてスラム街の人々を味方にするねん?」
「ちゃんと理由を話せば、変態でも、協力してくれるんじゃない?」
いつの間にか、魔法の修練を終えていたリエッタが、話に参戦をしてきた。
相変わらず嫌味な言い方だ…。
「無理やな…。」
俺は即答した。
「あんまり例えとし言いたくはないんやけど、リエッタが俺を変態と呼ぶように、スラム街の人々には、俺に対する信頼も実績もないやろ?多分、話を持ち出しても、門前払いされるだけやで…。」
「それも、一理あるわね…。」
そのように述べると、リッフィーは考え込みながら、しばらく上の空になっていた。
話が進まない事を察したリエッタは、ちょっとした疑問を投げ掛けてくる。
「さっきに会話の中で変態が言ってた事に、引っかかった言葉があるんだけど…。『一部を除いて腐ってる奴ばかり』と言う感じで喋ってたと言う事は、悪い人じゃない人間も中には居たって事になるよね?」
変態、変態と言われる事も慣れてきてしまい、自分の感覚がおかしくなったのかと錯覚を覚えてしまう…。
「せやな…。子供達は生意気やけど、ええ奴らばっかやで…。」
「えっ!?それ本当!?」
上の空状態のリッフィーが、突然地上へ戻ってきた。
「スラムの子供達って、大人以上に信用が出来ないわよ…」
「そんな事あらへんで!現に食料の取り方を教えてもらって、この森までたどり着けたのは、子供達のおかげやねんからな!」
「それは…ともおを落とし入れようとして、この森に案内をして…モンスターに後処理を任したからじゃないの?」
そこまで批判的に物を申されると、少し自信がくなってきた。
いや…それでも俺は、子供達を信じてやろう。
「なんで信用でけへんのや?そこまで信用でけへん理由があるんやったら、過去に子供達となんかあったんかいな?」
リッフィーは無表情のまま血相を変えて、ガクガクと身を震わせながら、嫌な事を思い出すかのように、額に薄っすらと汗をかいていた。
これ以上理由を聞いて欲しく無いオーラが漂っていたので、気になるがそっとしておこう…。
「と、ともかく!仲良くなったのは事実やさかい、俺にとってはええ奴らやねん…。」
「それじゃぁ、仲良くなった経緯とかあるんじゃない?」
リッフィーがダウンしてしまったので、質問親であるリエッタが次の質問を投げ掛けてくる。
「俺は綺麗な水の作り方を子供達に教えてあげただけやで?」
「綺麗な水?」
リエッタは水なんて何処にでもあるかのように、疑問形で問い返してきた。
「お前達が当たり前のように使用している水の結晶は、水分を賄う為の大切な資源だと思うが、スラム街の人々は水の結晶などを買う事が叶わず、代わりに川に流れている汚水を水分の源として飲んでいるんや…。さすがの俺も川の汚水を飲んでまで生活をする事が考えられずに、落ちぶれたく無い一心で、昔の記憶の片隅にあったうろ覚えの『ろ過装置』を作りあげて、試行錯誤の末に透き通った水を作り出した訳だ…。」
リエッタは納得した顔を俺に向ける。
「なるほど…その光景を見ていた子供達に、『ろ過装置』の作り方を教えてあげたら、変態の好感度が上がった訳ね?」
「せ、せやな…。」
リエッタの好感度も上げるために、ろ過装置の作り方を教えてやろうか…。
そんな無駄な事を考えていると、突然、リッフィーが恐怖のドン底から返り咲き、何かを思いついたように言葉を発した。
「それよ!それは、使えるわ!」
とても掴み所がない、無表情だが感情の起伏が激しい子だと、改めて思わされる。
「スラム街の水の水準を上げる事によって、ともおの名声をあげれば問題が解決するんじゃない?…そうすれば、信用に至る存在として認められるようになって、話も通じやすくなるはずよ…。」
「ちょ、ちょっと待てや!」
俺の了承も得ないまま、ズカズカと勝手に決めていくリッフィーに、歯止めをかける…。
「俺が作った『ろ過装置』で、大量の水を一気に浄化することは不可能やないか…。」
「別に水を綺麗にする方法は、一つじゃ無いわよ…?」
確かに『ろ過装置』以外にも色々と方法があるとは思うが、それ以外の知識をどこから引っ張り出そうと言うのだ…。
「電気分解を応用させて、魔法を上手く融合させた浄水場を作りましょう…。」
電気分解?
魔法の応用?
リッフィーの話が大きくなり過ぎて、不可能と言う文字が頭の中で、どんどんと巨大化していく気がする。
「あ、あのなぁ…。俺にそんな事を求められても、でけへんもんは…」
リッフィーが俺の言葉を最後まで言い切る前に、被せてるようにして発言をした。
「私が出来る…。」
「ほなら!勝手にやればええやろが!」
俺は壁を叩き、激情を露わにした。
リッフィーはビクッと反応を見せる。
俺に対する恐怖が、ひしひしと伝わってきた。
他の2人も、驚きの色を隠せないでいる。
「お前らが顔割れしてるから、手伝う事が出来へん言うてるし、こっちはどうやって1人で動くか真面目に考えとるんや!俺が出来へんから自分でやるとか、矛盾にも程があるやろが!!!」
リッフィーは無表情のまま悄気た恐怖の感情を言葉に乗せて話し始めた…。
「…もっと冷静に考えて…。言い方が分からなかったのかも知れないけど…何も全部が全部ともお1人に背負い込んでやって欲しいとは言ってない…。…表立って行動は出来ないだけであって、私達は協力はしていくつもりよ?…だって現世に帰りたいのは私達も同じだもの…。…だから、計画や設計は私が担当するから、判断と行動はともおにやって欲しかっただけよ…。」
俺は完全に早とちりをして、勘違いをしていたらしい…。
年齢を重ねると頭が硬くなると言うが、今回がいい例だったのかもしれないな…。
「そ、それやったら…や、やったってもええで…。」
俺は冷静さを取り戻そうと、深呼吸をしながらもう一度状況を確認し直す。
涙目になっているリッフィーに対して、素直に謝ることが出来ない自分が嫌になっていた…。
そこへ、背筋を凍らせるような冷徹な視線と共に、突然の突風が顔に吹き付けてくる。
「あーあっ、泣かしちゃったねー…。」
リッフィーを泣かした代償として、怒りの感情を表に出していたリエッタが、俺の元へ瞬く間に移動して来た突風だったらしい…。
彼女は伝説の剣(ナイフ状態)を鞘から抜き出し、俺の首元へと突き付けている。
俺は知らぬ間に頭をグッと上に反らされて、息が詰まり言葉を発することが出来なかった…。
このまま首を掻き切られれば、俺の人生は終了を告げるだろう…。
リエッタの剣は徐々に力を込めていき、俺の喉元に喰い込み始める。
「それだけは、ダメよ!!!」
リッフィーは涙を必死になって、顔をくしゃくしゃっと腕で拭い、リエッタにかすれ声で訴えかけた。
「私は…大丈夫だから…。ともおから手を放して…。ともおが死んじゃったら、私達の苦労も全て水の泡になっちゃう…。」
「…ただの脅しのつもりよ…。本気で殺しはしないわよ…。」
俺はリエッタの拘束から、乱暴に解放された。
頭を反らされていて苦しかった肺に、急に大量の空気が侵入した為、少しむせ返る…。
「今度、リッフィーを泣かしたら、次は無いと思いなさい…。」
俺とリエッタとの溝は、相当深いもを刻まれた気がする。
こんな奴の事など、現世に帰ってしまえば別にどうと言う事も無いのだから、気にしない事にしよう…。
「私、先に帰るから!!!」
「あっ、ちょっと待って!」
リッフィーの制止を無視して、リエッタは外へと飛び出していく。
部屋には変な空気感が残り、嵐の去った静けさだけが空間を支配していた。
「これは、両方に非がありますね…。」
今まで黙りしていた、クロマティが空気を切り裂くように喋りだした。
その発言に対して、何も言えない自分が、とても…もどかしく感じる…。
「ごめんね…ともお…。」
「いや、俺の方こそ…早とちりして、すまんかった…。」
リッフィーが謝ってくれたことにより、俺もやっと謝ることが出来た…。
もっと早く謝ることができれば、この空気は無かったのかもしれない…。
これ以上リッフィーが語れそうに無いと判断した、クロマティが代わりに代弁を語りだす。
「私の発言は、主人の言葉だと思って聞いて下さい。今日の所はもう遅いので、スラム街へとお戻り下さい。帰るとして、寝泊りする場所はあるのですか?」
「今のところじゃ、野宿しか方法がないわ…。」
「そうですか…。でしたら、野宿も不便でしょうから、私の知り合いにスラム街でお店をやっている者がいます。私も護衛として付いていきますので、そこに泊まらせてもらうように、一緒にお願いしに行きましょうか。」
寝る所があるだけでも、ありがたい話だ。
ダメ元でもいいから、お言葉に甘えておこう…。
「今日の所は、主人もこんな状態ですし…また後日、浄水場の計画については、改めて話しましょう。」
「せ、せやな…。」
俺は改める事を頷き…リッフィーの落ち込む顔を横目に映しつつ、クロマティに促されるまま、家の外へと出たのであった。
「ともおが、魔法のセンスが無さすぎるだけよ…。」
俺は数分前から魔法の使い方を、リッフィーにレクチャーしてもらっていた。
自分の属性が大変めずらしいイレギュラーな物らしく、使ってみたい意欲が俄然高まったからである。
しかし、結果は全然見えてこないまま、無駄に時間だけが過ぎていった。
「空気中の色別に別れた属性色を…ともおなら白色っぽい物を意識して、一点に集中させる感覚で掴むようにしないと、魔法の発動なんか出来るわけないわよ?」
「そ、そないな事を言われても、色なんか見えへんのやし無理すぎるやろ!!」
「見るんじゃなくて、五感のすべてを使って意識の中で感じるのよ…。」
そんな事を言われても、何を掴めばいいのかがまったく分からず、何をやっていいのかがさっぱりわからん。
俺の属性色は白単色の聖属性というヤツらしく、この異世界に1人居たら讃えられるぐらいの希少種らしい。
その特性も頭5つ分は秀でる特性があるらしい…知らんけど…。
説明によると…治癒魔法を得意とする属性で、極めれば極端な話し肉体の屍さえ残っていれば、自分の命を削って人の命を蘇らせる事も可能だそうだ。
人を生き返すなど、自分には無縁の魔法だと思うが…。
リッフィーは俺に教える気があるのかないのか、無表情を貫きながら煽るようにして言葉を投げかけてくる。
「リエッタはともおと違って、短時間で魔法陣形成の段階までいってるわよ?」
俺の属性がレアな物と知ったリエッタは、どことなく不機嫌となり、俺がリッフィーに魔法を教わっている最中に、張り合うかのように横でクロマティを先生にして、黙々と同じようにして魔法を教わっていたのである。
俺とは断然センスが違い、最初に魔法を発現した時よりも、段違いに上達しているのが目で判る程だった。
「私が変態に負けるはずがないじゃない!」
リエッタは相変わらず、俺の事を変態扱いしながら、誰が見ても分かるような不安定感の残る、第一形態の魔法陣を空中に形成をしていた。
その光景をみた俺は、何故か苛立ちを覚えて、自分の考え方を正当化するように、匙を外野からバックホームへと遠投する勢いで豪快に諦める。
そもそも、魔法が使いたかった訳じゃない…簡単に使えると乗せられて使って見たかっただけなのだ。
「あかん!もう無理!!わからん!!!わからんスーギー!!!!」
別に意識はしていないはずだが、芸人魂が俺のリアクションに隠し味を勝手に入れて、一発芸を盛り込んでしまった。
持ち芸とかでは無く、ただ頭に思い浮かんだ言葉を一瞬で一発芸にしてしまう、職業病みたいな感覚である。
ウケの程は…ご想像にお任せします…。
「よかったわね…魔法がちゃんと発動したじゃない…おめでとう。」
「は?どう言う事やねん…。」
一番無視しそうなリッフィーから、ギャグの事はともかくとして、意外な言葉を掛けられた。
「辺りを一瞬で、凍り付かせる魔法はピカイチよね…。」
「うっさいわ!」
少し期待した俺が馬鹿だった。
もう魔法なんて絶対にやらないからな!と心に誓いを立てる…。
ふと、窓から外の様子を伺うと、夕刻にはまだ早いが、だいぶ日が沈みかかっている事に気付く。
そろそろ帰らないと、スラム街の子供達が心配する頃だろうか…。
まだ肝心な事が聞けていない事に今更気付き、俺は慌てて話題を本題へと戻そうとした。
「な、なぁ…魔法の事に夢中になりすぎて忘れててんけど…結局、現世に帰る方法の為に、俺は何をすればええんや?」
聞かれたリッフィーは、少し考えた後に、独特の間を作りながら口を開いた。
ほんの少しではあるが、やっとこさ独特の間への対応が追いつき始めている。
「帝国側の内情は、城内に関わりがあるともおなら、大体理解できてると思うけど…?」
「確か…王様に国の物資が不足してるって聞いてたような気がするな…。その関係で共和国側と戦争に発展したとかなんとか…。」
あんな勿体無い生活してたら、物資が無くなるのも当然の事だ。
リッフィーは、淡々と話を続ける。
「意図して戦争を起こさせたのは私が原因なんだけど…帝国側に供給する物資を、何処よりも安価で提供する事を条件に、お互いの情報共有や他国との連携協定などをお願いしたのよ…。」
「その後の展開が、言われなくても分かる気がするわ…。」
自分なりのおおよその見解的には、あの王のやる事だとしたら…もっと安価を求めて、さらに情報共有は拒否して、他国協定など以ての外なのであろう…。
「そこで!」
リッフィーは突然、自分が持っている声量の全てを出して、全身を表現に使うようにアクションをとった。
声量の全てと言っても、俺の普通の声量に、毛が生えた程度だけど…。
「ともおには、スラム街の人々を味方につけて、帝国側の内側から内乱を起こして欲しいの…。」
「………はぁ?」
予想だにしていない、突拍子も無い事を発言されて、思考が一時的にフリーズする。
「そないな事は俺に頼まんでも、自分らでやればええんちゃうの?」
「残念ながら…私達は完全に帝国側に顔割れしているわ…。それにリエッタは、帝国の攻撃を国境で抑えてもらう事を優先にしてもらっているし、動くに動けない状態なの…。それに、コソコソ動く事は出来ても、表立って行動が出来ないのは、相当な時間と労力がかかってしまうわ…。」
「それで、まだ陰が薄いであろう自由に動ける俺に、白羽の矢が立った訳か?」
リッフィーは静かに首を縦に振った。
自分が現世に帰りたい気持ちは強いとは言えども、リスキーな事に首を突っ込みたく無い気持ちもある…。
俺の心は、積み木が抜かれた後のジェンガのように、不安定に揺れ動く。
「俺は少しだけスラム街で生活をしてたけど…あそこの連中は、一部を除いてみんな腐ってる連中ばっかりやぞ?それをどうやって、まとめ上げたらええねん…。」
俺の悩む姿に対して、やはり無表情なリッフィーが自信満々に答えた。
「根拠は無いけど…ともおなら出来るわよ!」
俺の不安は、ますます募るばかりで、間の抜けた顔でリッフィーを見つめる…。
少しだけ時が止まったかの様な、静寂の時が続いた…。
「…ちょっと…。ボケたんだから、突っ込んでくれないの…?」
「ボケが、わかりにくすぎるわ!!」
リッフィーの分かり難くすぎるボケに対して、ちゃんとした突っ込みを入れる。
その後、ツッコミに対する安定のスルーを決め込み、満足そうな雰囲気で、急に次の話題を喋り出す。
「スラム街の人々は、元を辿れば王族に使える者が、大半を占めているわ…。先代の王が帝国での権力を失い、今の王に変わってから、全てが狂い出していったのよ…。今の王に逆らった者は、問答無用で武力と権力を駆使され、スラム街へと引きずり落とされたていったわ…。腕が立つ者が反逆を試みるも、今の王の魔力には一切歯が立たなかったとも聞くわ…。そして、スラム街から這い上がろうと努力をしても、武力により這い上がる事さえ許されない彼らは、無法者になる事を強いられる事となり、生き残る為の最終手段として、仕方なく悪の道へと浸っているだけなのよ…。」
理由は何と無く理解できた。
しかし、協力をしてもらう為には、決定的に不足しているものが存在する…。
「でも…どないしてスラム街の人々を味方にするねん?」
「ちゃんと理由を話せば、変態でも、協力してくれるんじゃない?」
いつの間にか、魔法の修練を終えていたリエッタが、話に参戦をしてきた。
相変わらず嫌味な言い方だ…。
「無理やな…。」
俺は即答した。
「あんまり例えとし言いたくはないんやけど、リエッタが俺を変態と呼ぶように、スラム街の人々には、俺に対する信頼も実績もないやろ?多分、話を持ち出しても、門前払いされるだけやで…。」
「それも、一理あるわね…。」
そのように述べると、リッフィーは考え込みながら、しばらく上の空になっていた。
話が進まない事を察したリエッタは、ちょっとした疑問を投げ掛けてくる。
「さっきに会話の中で変態が言ってた事に、引っかかった言葉があるんだけど…。『一部を除いて腐ってる奴ばかり』と言う感じで喋ってたと言う事は、悪い人じゃない人間も中には居たって事になるよね?」
変態、変態と言われる事も慣れてきてしまい、自分の感覚がおかしくなったのかと錯覚を覚えてしまう…。
「せやな…。子供達は生意気やけど、ええ奴らばっかやで…。」
「えっ!?それ本当!?」
上の空状態のリッフィーが、突然地上へ戻ってきた。
「スラムの子供達って、大人以上に信用が出来ないわよ…」
「そんな事あらへんで!現に食料の取り方を教えてもらって、この森までたどり着けたのは、子供達のおかげやねんからな!」
「それは…ともおを落とし入れようとして、この森に案内をして…モンスターに後処理を任したからじゃないの?」
そこまで批判的に物を申されると、少し自信がくなってきた。
いや…それでも俺は、子供達を信じてやろう。
「なんで信用でけへんのや?そこまで信用でけへん理由があるんやったら、過去に子供達となんかあったんかいな?」
リッフィーは無表情のまま血相を変えて、ガクガクと身を震わせながら、嫌な事を思い出すかのように、額に薄っすらと汗をかいていた。
これ以上理由を聞いて欲しく無いオーラが漂っていたので、気になるがそっとしておこう…。
「と、ともかく!仲良くなったのは事実やさかい、俺にとってはええ奴らやねん…。」
「それじゃぁ、仲良くなった経緯とかあるんじゃない?」
リッフィーがダウンしてしまったので、質問親であるリエッタが次の質問を投げ掛けてくる。
「俺は綺麗な水の作り方を子供達に教えてあげただけやで?」
「綺麗な水?」
リエッタは水なんて何処にでもあるかのように、疑問形で問い返してきた。
「お前達が当たり前のように使用している水の結晶は、水分を賄う為の大切な資源だと思うが、スラム街の人々は水の結晶などを買う事が叶わず、代わりに川に流れている汚水を水分の源として飲んでいるんや…。さすがの俺も川の汚水を飲んでまで生活をする事が考えられずに、落ちぶれたく無い一心で、昔の記憶の片隅にあったうろ覚えの『ろ過装置』を作りあげて、試行錯誤の末に透き通った水を作り出した訳だ…。」
リエッタは納得した顔を俺に向ける。
「なるほど…その光景を見ていた子供達に、『ろ過装置』の作り方を教えてあげたら、変態の好感度が上がった訳ね?」
「せ、せやな…。」
リエッタの好感度も上げるために、ろ過装置の作り方を教えてやろうか…。
そんな無駄な事を考えていると、突然、リッフィーが恐怖のドン底から返り咲き、何かを思いついたように言葉を発した。
「それよ!それは、使えるわ!」
とても掴み所がない、無表情だが感情の起伏が激しい子だと、改めて思わされる。
「スラム街の水の水準を上げる事によって、ともおの名声をあげれば問題が解決するんじゃない?…そうすれば、信用に至る存在として認められるようになって、話も通じやすくなるはずよ…。」
「ちょ、ちょっと待てや!」
俺の了承も得ないまま、ズカズカと勝手に決めていくリッフィーに、歯止めをかける…。
「俺が作った『ろ過装置』で、大量の水を一気に浄化することは不可能やないか…。」
「別に水を綺麗にする方法は、一つじゃ無いわよ…?」
確かに『ろ過装置』以外にも色々と方法があるとは思うが、それ以外の知識をどこから引っ張り出そうと言うのだ…。
「電気分解を応用させて、魔法を上手く融合させた浄水場を作りましょう…。」
電気分解?
魔法の応用?
リッフィーの話が大きくなり過ぎて、不可能と言う文字が頭の中で、どんどんと巨大化していく気がする。
「あ、あのなぁ…。俺にそんな事を求められても、でけへんもんは…」
リッフィーが俺の言葉を最後まで言い切る前に、被せてるようにして発言をした。
「私が出来る…。」
「ほなら!勝手にやればええやろが!」
俺は壁を叩き、激情を露わにした。
リッフィーはビクッと反応を見せる。
俺に対する恐怖が、ひしひしと伝わってきた。
他の2人も、驚きの色を隠せないでいる。
「お前らが顔割れしてるから、手伝う事が出来へん言うてるし、こっちはどうやって1人で動くか真面目に考えとるんや!俺が出来へんから自分でやるとか、矛盾にも程があるやろが!!!」
リッフィーは無表情のまま悄気た恐怖の感情を言葉に乗せて話し始めた…。
「…もっと冷静に考えて…。言い方が分からなかったのかも知れないけど…何も全部が全部ともお1人に背負い込んでやって欲しいとは言ってない…。…表立って行動は出来ないだけであって、私達は協力はしていくつもりよ?…だって現世に帰りたいのは私達も同じだもの…。…だから、計画や設計は私が担当するから、判断と行動はともおにやって欲しかっただけよ…。」
俺は完全に早とちりをして、勘違いをしていたらしい…。
年齢を重ねると頭が硬くなると言うが、今回がいい例だったのかもしれないな…。
「そ、それやったら…や、やったってもええで…。」
俺は冷静さを取り戻そうと、深呼吸をしながらもう一度状況を確認し直す。
涙目になっているリッフィーに対して、素直に謝ることが出来ない自分が嫌になっていた…。
そこへ、背筋を凍らせるような冷徹な視線と共に、突然の突風が顔に吹き付けてくる。
「あーあっ、泣かしちゃったねー…。」
リッフィーを泣かした代償として、怒りの感情を表に出していたリエッタが、俺の元へ瞬く間に移動して来た突風だったらしい…。
彼女は伝説の剣(ナイフ状態)を鞘から抜き出し、俺の首元へと突き付けている。
俺は知らぬ間に頭をグッと上に反らされて、息が詰まり言葉を発することが出来なかった…。
このまま首を掻き切られれば、俺の人生は終了を告げるだろう…。
リエッタの剣は徐々に力を込めていき、俺の喉元に喰い込み始める。
「それだけは、ダメよ!!!」
リッフィーは涙を必死になって、顔をくしゃくしゃっと腕で拭い、リエッタにかすれ声で訴えかけた。
「私は…大丈夫だから…。ともおから手を放して…。ともおが死んじゃったら、私達の苦労も全て水の泡になっちゃう…。」
「…ただの脅しのつもりよ…。本気で殺しはしないわよ…。」
俺はリエッタの拘束から、乱暴に解放された。
頭を反らされていて苦しかった肺に、急に大量の空気が侵入した為、少しむせ返る…。
「今度、リッフィーを泣かしたら、次は無いと思いなさい…。」
俺とリエッタとの溝は、相当深いもを刻まれた気がする。
こんな奴の事など、現世に帰ってしまえば別にどうと言う事も無いのだから、気にしない事にしよう…。
「私、先に帰るから!!!」
「あっ、ちょっと待って!」
リッフィーの制止を無視して、リエッタは外へと飛び出していく。
部屋には変な空気感が残り、嵐の去った静けさだけが空間を支配していた。
「これは、両方に非がありますね…。」
今まで黙りしていた、クロマティが空気を切り裂くように喋りだした。
その発言に対して、何も言えない自分が、とても…もどかしく感じる…。
「ごめんね…ともお…。」
「いや、俺の方こそ…早とちりして、すまんかった…。」
リッフィーが謝ってくれたことにより、俺もやっと謝ることが出来た…。
もっと早く謝ることができれば、この空気は無かったのかもしれない…。
これ以上リッフィーが語れそうに無いと判断した、クロマティが代わりに代弁を語りだす。
「私の発言は、主人の言葉だと思って聞いて下さい。今日の所はもう遅いので、スラム街へとお戻り下さい。帰るとして、寝泊りする場所はあるのですか?」
「今のところじゃ、野宿しか方法がないわ…。」
「そうですか…。でしたら、野宿も不便でしょうから、私の知り合いにスラム街でお店をやっている者がいます。私も護衛として付いていきますので、そこに泊まらせてもらうように、一緒にお願いしに行きましょうか。」
寝る所があるだけでも、ありがたい話だ。
ダメ元でもいいから、お言葉に甘えておこう…。
「今日の所は、主人もこんな状態ですし…また後日、浄水場の計画については、改めて話しましょう。」
「せ、せやな…。」
俺は改める事を頷き…リッフィーの落ち込む顔を横目に映しつつ、クロマティに促されるまま、家の外へと出たのであった。
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