クロスロード

つよけん

文字の大きさ
上 下
32 / 93
第一部ルート4「動き出す歯車」

始まり4

しおりを挟む
僕は気持ちのよい夢の中から、不快に叫ぶポルテの声で現実に戻された。
目の前にはアリルが上に乗っかって微笑んでこちらを見ている。
どうやらお弁当を食べてそのまま寝てしまったらしい。
眠い目を擦りながら慌てているポルテに内容を聞いた。

「そんなに慌ててどうしたの?」
「君達こそ、何してるんだ!」

僕は別に何もしていないんだけどなぁ…と考えていると、アリルが代わりに答えてくれた。

「愛を育んでいましたのよ」

朝を思い出すと同じ状況があったので、これが愛情表現なのかと理解する。
今度だれかに試してみよう。
納得して頷いた。
アリルはとても嬉しそうな顔をしていた。

「邪魔が入ったから続きはまた後でね。…それで獣人君、本題は私達の事じゃないよね?」

アリルの真剣な問いに、ポルテが思い出したかのように喋り出す。

「あぁっ、それどころじゃなかった。もうシエルは機人に会いにいちゃったの?」

僕は縦に頷く。

ポルテは不安そうな顔で理由を述べ始めた。

「それが罠かもしれない!今獣人の街に機人が訪れて、シエルを指名手配しているって…身柄を引き渡さない場合は、保護条約を破棄し攻撃対象とすると言ってきてるんだ!」
「ふむ…つまりシエルが現在会っている機人の差し金でその場でシエルを足止めしつつ、現場で身柄引き渡しを不成立にするのが目的って事?」

俺は予想をで回答した。

「そういう事!」
「まって!」

アリルが間に割り込んできた。

「なんでシエルちゃんは機人と会いにいってるわけ?」

機人と犬猿の仲である天人のアリルは怒りを表に出しながらこちらを責め立てる。
こればかりは言い訳も通じないであろうと思い、黙っていた事を謝罪して僕と機人の事を説明しようとした時だった。

突然窓ガラスが不規則にリズムよく割れ出した。

「伏せて!」

アリルが反射的に声をかけ、僕の上で伏せた状態を取る。

「あわわわわわわっ!」

ポルテも便乗して咄嗟に伏せた。

落ち着いて見返すと銃痕が無数にあっちこっちに付いていた。
誰かがこちらにを向かって発砲してきているらしい。
遠くで銃声が微かに聞こえている。
その銃弾の雨を眺めながらほんの数秒間後に事態はまた別の方向へとシフトチェンジした。

「ちょっ、ちょっとここから入るのはまずいかも…」
「だが一番ココが近い。入ってから問題定義があれば思考する…」
「ど、どうなっても知らないからね!!!」

外から勢いよく走ってくる足音とボソボソとした会話が聞こえて来た。
だんだんその音は近づいてくる。
そして割れた窓ガラスの隙間を、とても大きい体が外から飛び込んできた。

「え?ちょっ、どこ触ってって、ふえぇっ!?…」

空中でR2-894型がシエルをお姫様抱っこされながら、割れ残った窓枠のガラス片をキラキラと散らし、そのままガラス片がバキバキと床を軋ませながら大きな音を立てて着地をした。

「直ぐに飛び込みたかったので、咄嗟に抱き抱えた。不快に思ったのであれば謝罪する。」

R2-894型は自分が入って来た窓際の壁を背にしゃがみこんだ。

僕の体は急に軽くなる。
アリルがR2-894型に向かい、涙を浮かべながら突進していた。
反射的に力が入り、包帯から血がジワっと滲み出ている。

「ストーーーーーップ!」

シエルがアリルに対し大声で叫んだ。

R2-894型が着地してシエルが止めに入るその間、わずか5秒程の出来事である。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

処理中です...