クロスロード

第一部ルート2「R2-894型」

機人

俺は森の大木の下で座っていた。
飛び散る火花が目に映る。
まだ生きている。
しかし、体は動かない。
壮絶な天人との戦いで、負傷してしまった。
仲間と連絡を取ろうにも、ネットワーク関係を壊されてしまい、何もできないのである。
あとは触媒である、故人の血が腐ってしまえば脳機能が停止して機人である半永久人生の幕が降りてしまうであろう。

「俺は死ぬのか…」

機人は故人を養殖し血液を搾取して自分の活動源にして生きている。
ほとんどはサイボーグであるが、感情や複雑な判断は小型AIシステムいわゆる人工知能では追いつかず、人間の脳を活用する事により補っている。
脳と言っても記憶だけは別の場所に保管ができて、ネットワーク経由で保存可能で感覚である機能だけを使用している。
なので必要な臓器である呼吸器官と心臓そして脳機能だけは生身である。
よって血液が最も重要な役割を持っている事は明らかである。
故人は血液を生成出来る器官が存在するので器官が古くなるまで使用が可能だが、機人の場合はその機能が無駄な機能とされ欠除している為に故人から搾取せざるおえないのである。
血液が古くなると汚れが溜まり腐敗が始まって使い物にならなくなってしまう。
腐る前にオイル交換のような交換する事が必要なのだ。

しばらくすると脳機能が低下してきたのであろう、機械の目が霞み始めた。
1日一回が目安の交換だが、もう1日半が過ぎている。
もう限界なのは頭が終わりを告げていた。

目を閉じかけていたその時である。
俺は正面で草木が揺れ動くのを感知した。
森に住む動物か狩に出ている獣人か誰かだろうと思っていたが、意外な人物が現れた。
俺は閉じかけていた目を見開いてかすれた言葉で。

「なぜ、逃走したナンバー-9593009-122527-エラー品がここにいる。」