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第17章 乙女ゲームのごとく

誕生日

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 今日は「彼」の誕生日だ。

 高校時代、お付き合いしていたときから、買える範囲でプレゼントなどしていたけれど、素直に「ありがとう」と言ってもらった記憶はあまりない。
 今は多分、あまりにもショボいもの、気に食わないものだったら「こんなものを買う金があるなら、もっとほかに使いどころがあるだろう」と言われ、良いものだったら、それはそれで「これはいったい、誰の稼ぎで買ったものかな?」と、気に入ろうが気に入るまいが言うのだろう。

 彼の言動予測に関しては、私は天才的な冴えを発揮する。
 彼とお付き合い――というかお(下品で失礼!)している女性たちにレクチャーしたいところだ。

 ちなみに、何のリアクションもなければないで、イヤミを言うか暴れるかだろうから、何かしらはしなければならない。
 となると、晩ご飯に多少色を付けるあたりが順当だろうか。

 私の料理には相変わらずダメ出しばかりだが、みゆきにオムライスランチをごちそうしたときの反応からして、私は実はそう料理が下手ではないのかもしれないと思うようになった。
 何しろ自分と「彼」以外、私の料理を食べたことがないのだから、サンプルがあまりにも少なかった。
 唯一のお気に入りのはずのオムライスですら、おいしいとは言わず、「文句を言わずに」食べるだけではあるんだけれど、私がきちんと味見して出しているものを「まずい」「食えたもんじゃない」と言うところをみると、そもそも彼の味覚に問題がある気がしないでもない。

 これってみゆきが勧めてくれたサイトに書いてあった「ヲーター(**下記注)」の第一歩かな(ちょっと古い?)。


**
ヲーター(ウオーター)
「奇跡の人」ヘレン・ケラーが、家庭教師サリバンの献身によってwaterという言葉を覚えたことに由来。
配偶者のモラルハラスメントなどに気づき、その敵対関係から抜け出すこと。
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