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第11章 【番外編】妻を愛し過ぎている男

かわいい後輩

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ヒロイン・真奈美が「彼」と呼ぶ、夫・幸助目線の独白です
地獄のストレステストのような内容ですが、「怖いもの見たさ」程度で読んでいただければ幸いです

◇◇◇

 僕が女性に求めることは、今も昔もたった2つだけだ。
「容姿がいいこと」と「僕の言うことを素直に聞くこと」。

 容姿は化粧でごまかしたようなのは不可。整形なんてもってのほかだ。
 だからここでまず絞られ、次のステップに行くイメージなんだけど、素直に言うことを「聞かせる」方法はあるんだよね。
 僕は非力ではあるけれど、頭がいいし、男だし。
 大抵の女は僕よりも力が弱いし頭も悪いから、ちょっとでも反抗的な態度を見せたら、言葉か力のどちらかで鎮圧すれば済む。
 まあ最近は、頭が悪いくせにやたら口答えするとか、論破されても食い下がるようなのも多いから厄介だけど。

 高校2年のとき出会ったマナちゃんは、おとなしくてかわいい1年生の女子だった。
 本当は「天野真奈美」って名前だけど、真奈美って名前は何か好きになれなかった。小学校のとき、よく僕に食って掛かってきた女子と同じ名前だから。
 だから僕はずっと「マナちゃん」って呼んでいる。本当にこの名前だったらよかったんだけど、改名というのはかなり手続が面倒な上、僕が嫌だからという理由は通らないだろうから諦めた。僕の中でだけは、彼女はずっと「かわいいマナちゃん」なんだ。

 とにかく容姿が好みだったので、あとは性格だなと思っていたら、素直というより主体性があまり強くない感じで、僕のことを尊敬しているのも見て取れる。
 僕は園芸委員会の上級生として彼女と知り合ったけど、みんなとぺちゃくちゃおしゃべりしているような、顔もやることも不細工な女子と違い、黙々と草抜きをしていた。
 どうやらみんなマナちゃんの愛らしさがねたましいらしく、彼女は女子に嫌われていたみたいだ。
 でも、僕だけがマナちゃんの良さを知っていれば十分だし、彼女自身もそう言っていた。

◇◇◇

 しかし、僕とマナちゃんが同じ高校ということは、要するに共学校ということだから、男子生徒はほかにもいる。
 結構進学校というせいもあるけど、何なら男子と女子の割合は7:3くらいだ。
 10のうち3しかいない女子の中で、かわいい子がいれば、そりゃ目立つよね。

 マナちゃんは僕と付き合い始めてからも、クラスで仲良くしている男子がいた。
 脳筋バカとガリ勉とヤンキーみたいなやつが1人ずつ。
 1人目はおおかたスポーツ推薦枠だろう。うちの学校、中途半端にスポーツに力入れてるから、たまにこういうのを拾うのが困る。
 2人目は成績はいいんだろうけどスマートじゃない。勉強ができるってだけで僕と同類にされるのも不愉快だし、嫌いなタイプだ。
 3人目は論外。そもそも何であんなのがうちの学校にいるんだ?カンニングテクニックがすごいとか?
 何にせよ、どいつもこいつも目障りなので、何とかいなくなってほしい。
 さすがに殺しはしないが、マナちゃんと近づかなければまあ許してやってもいい。

 そう思って、いろいろと工作した。
 大したことはしていないよ。
 帰り道、街灯がなく、しかも脇道に逃げ込みやすい箇所を自転車で通ると知って、後ろから思い切って蹴り倒して逃げたり、誰かさんに「財布をターゲットの私物の中に紛れ込ませて、「盗られた」と騒げ」と頼んだり、安っぽい手。あまりスマートとはいいがたいから、本当は言いたくない。もちろんマナちゃんにも内緒だよ(口滑りかけたけど、マナちゃんは鈍いから気づかなかったと思う)。
 あと、禁止されているバイトの密告ついでに、バイト仲間との飲酒写真を学校に送り付けた。こういうのも適当な奴に金を握らせれば、簡単に提供してくれるから。
 密告の犯人捜しで仲間内でもめて、大暴れした挙句に停学。あれは正直、ただの自業自得だと思っている。

 そんなわけで、部活をやめた後、無気力になって誰とも口きかなくなったり、不登校になったり、停学から自主退学になったりで、うまいこと排除できてよかった。
 しかも3人ともマナちゃんと親しかったってこともあって、周囲から疫病神呼ばわりされたおかげで、彼女はクラスで孤立しちゃったようだ。
 ひどい話ではあるけど、僕としては結果オーライ。つまり、本当に邪魔者はいなくなったってことだ。

+++

 大学に合格したとき、家族の留守を見計らって、マナちゃんの家で彼女を抱いた。
「君にしか用意できない合格祝いちょうだい。意味分かるでしょ?」って言って迫ったら、あっさり。
 何で自分の家でしなかったかっていうと、うるさい妹が感づいて邪魔しそうだったから。
 あいつ、マナちゃんのことが嫌いみたいで。多分ぱっちり二重まぶたが妬ましいんだろう。
 あと「日本人形みたいに上品な顔立ち」ってマナちゃんに言われたのが気に食わなかったみたい。
 マナちゃんはあんまり頭がよくないから、人が言われてうれしいツボとか、いまいちわかんないんだろうね。、

 正直セックスはいまいちだった。
 僕も初めてだからちょっと手こずったし、彼女も処女だったから、ずり上がっちゃってタイヘンだった。
 やっぱり僕だけでもどこかで“勉強して”おくべきだったかなあ…。

 でも既成事実は作ったわけだ。
 これで彼女は永遠に僕のものだと思ったら、本当に震えが来るほどうれしくなった。
 いったん“開通”してしまったら、あとはこっちのもの。
 彼女が嫌がったら、「じゃ、これで終わりにしようか」と一言いえば、簡単に体を開いてくれる。
 最初が肝心って、本当にいい言葉だよね。
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