33 / 101
第11章 【番外編】妻を愛し過ぎている男
かわいい後輩
しおりを挟むヒロイン・真奈美が「彼」と呼ぶ、夫・幸助目線の独白です
地獄のストレステストのような内容ですが、「怖いもの見たさ」程度で読んでいただければ幸いです
◇◇◇
僕が女性に求めることは、今も昔もたった2つだけだ。
「容姿がいいこと」と「僕の言うことを素直に聞くこと」。
容姿は化粧でごまかしたようなのは不可。整形なんてもってのほかだ。
だからここでまず絞られ、次のステップに行くイメージなんだけど、素直に言うことを「聞かせる」方法はあるんだよね。
僕は非力ではあるけれど、頭がいいし、男だし。
大抵の女は僕よりも力が弱いし頭も悪いから、ちょっとでも反抗的な態度を見せたら、言葉か力のどちらかで鎮圧すれば済む。
まあ最近は、頭が悪いくせにやたら口答えするとか、論破されても食い下がるようなのも多いから厄介だけど。
高校2年のとき出会ったマナちゃんは、おとなしくてかわいい1年生の女子だった。
本当は「天野真奈美」って名前だけど、真奈美って名前は何か好きになれなかった。小学校のとき、よく僕に食って掛かってきた女子と同じ名前だから。
だから僕はずっと「マナちゃん」って呼んでいる。本当にこの名前だったらよかったんだけど、改名というのはかなり手続が面倒な上、僕が嫌だからという理由は通らないだろうから諦めた。僕の中でだけは、彼女はずっと「かわいいマナちゃん」なんだ。
とにかく容姿が好みだったので、あとは性格だなと思っていたら、素直というより主体性があまり強くない感じで、僕のことを尊敬しているのも見て取れる。
僕は園芸委員会の上級生として彼女と知り合ったけど、みんなとぺちゃくちゃおしゃべりしているような、顔もやることも不細工な女子と違い、黙々と草抜きをしていた。
どうやらみんなマナちゃんの愛らしさがねたましいらしく、彼女は女子に嫌われていたみたいだ。
でも、僕だけがマナちゃんの良さを知っていれば十分だし、彼女自身もそう言っていた。
◇◇◇
しかし、僕とマナちゃんが同じ高校ということは、要するに共学校ということだから、男子生徒はほかにもいる。
結構進学校というせいもあるけど、何なら男子と女子の割合は7:3くらいだ。
10のうち3しかいない女子の中で、かわいい子がいれば、そりゃ目立つよね。
マナちゃんは僕と付き合い始めてからも、クラスで仲良くしている男子がいた。
脳筋バカとガリ勉とヤンキーみたいなやつが1人ずつ。
1人目はおおかたスポーツ推薦枠だろう。うちの学校、中途半端にスポーツに力入れてるから、たまにこういうのを拾うのが困る。
2人目は成績はいいんだろうけどスマートじゃない。勉強ができるってだけで僕と同類にされるのも不愉快だし、嫌いなタイプだ。
3人目は論外。そもそも何であんなのがうちの学校にいるんだ?カンニングテクニックがすごいとか?
何にせよ、どいつもこいつも目障りなので、何とかいなくなってほしい。
さすがに殺しはしないが、マナちゃんと近づかなければまあ許してやってもいい。
そう思って、いろいろと工作した。
大したことはしていないよ。
帰り道、街灯がなく、しかも脇道に逃げ込みやすい箇所を自転車で通ると知って、後ろから思い切って蹴り倒して逃げたり、誰かさんに「財布をターゲットの私物の中に紛れ込ませて、「盗られた」と騒げ」と頼んだり、安っぽい手。あまりスマートとはいいがたいから、本当は言いたくない。もちろんマナちゃんにも内緒だよ(口滑りかけたけど、マナちゃんは鈍いから気づかなかったと思う)。
あと、禁止されているバイトの密告ついでに、バイト仲間との飲酒写真を学校に送り付けた。こういうのも適当な奴に金を握らせれば、簡単に提供してくれるから。
密告の犯人捜しで仲間内でもめて、大暴れした挙句に停学。あれは正直、ただの自業自得だと思っている。
そんなわけで、部活をやめた後、無気力になって誰とも口きかなくなったり、不登校になったり、停学から自主退学になったりで、うまいこと排除できてよかった。
しかも3人ともマナちゃんと親しかったってこともあって、周囲から疫病神呼ばわりされたおかげで、彼女はクラスで孤立しちゃったようだ。
ひどい話ではあるけど、僕としては結果オーライ。つまり、本当に邪魔者はいなくなったってことだ。
+++
大学に合格したとき、家族の留守を見計らって、マナちゃんの家で彼女を抱いた。
「君にしか用意できない合格祝いちょうだい。意味分かるでしょ?」って言って迫ったら、あっさり。
何で自分の家でしなかったかっていうと、うるさい妹が感づいて邪魔しそうだったから。
あいつ、マナちゃんのことが嫌いみたいで。多分ぱっちり二重まぶたが妬ましいんだろう。
あと「日本人形みたいに上品な顔立ち」ってマナちゃんに言われたのが気に食わなかったみたい。
マナちゃんはあんまり頭がよくないから、人が言われてうれしいツボとか、いまいちわかんないんだろうね。、
正直セックスはいまいちだった。
僕も初めてだからちょっと手こずったし、彼女も処女だったから、ずり上がっちゃってタイヘンだった。
やっぱり僕だけでもどこかで“勉強して”おくべきだったかなあ…。
でも既成事実は作ったわけだ。
これで彼女は永遠に僕のものだと思ったら、本当に震えが来るほどうれしくなった。
いったん“開通”してしまったら、あとはこっちのもの。
彼女が嫌がったら、「じゃ、これで終わりにしようか」と一言いえば、簡単に体を開いてくれる。
最初が肝心って、本当にいい言葉だよね。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
全力でおせっかいさせていただきます。―私はツンで美形な先輩の食事係―
入海月子
青春
佐伯優は高校1年生。カメラが趣味。ある日、高校の屋上で出会った超美形の先輩、久住遥斗にモデルになってもらうかわりに、彼の昼食を用意する約束をした。
遥斗はなぜか学校に住みついていて、衣食は女生徒からもらったものでまかなっていた。その報酬とは遥斗に抱いてもらえるというもの。
本当なの?遥斗が気になって仕方ない優は――。
優が薄幸の遥斗を笑顔にしようと頑張る話です。
【R15】いなか、の、じけん~ハートは意外と頑丈だった
あおみなみ
現代文学
1979年春。
小学5年生になったばかりの「久美」は、
母親にないがしろにされることを少し気に病みつつも、
平々凡々とした毎日を送っていたが、ある日突然、事件に巻き込まれる。
(軽い性的表現がありますので、閲覧にはご注意を)
最終死発電車
真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。
直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。
外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。
生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。
「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
しるびあのため息
あおみなみ
現代文学
優しく気の利く夫の挙動が気に障ってしようがない女性の「憂さ晴らし」の手段とは?
「夫婦間のモラハラ」の一つの例として書いたつもりですが、実際に深刻な心身の被害を感じている方の言い分を軽んじたり侮辱したりする意図は一切ございませんので、ご理解のほどお願いいたします。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
無垢で透明
はぎわら歓
現代文学
真琴は奨学金の返済のために会社勤めをしながら夜、水商売のバイトをしている。苦学生だった頃から一日中働きづくめだった。夜の店で、過去の恩人に似ている葵と出会う。葵は真琴を気に入ったようで、初めて店外デートをすることになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる