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第8章 日常

タブー

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 幸奈が母乳を拒絶したのでミルクを買ってと土下座して頼んだり、親知らずが痛いから寝付くまでマッサージしろと言われたり、いろいろあったけれど、このところは大分落ち着いてきて、彼からの攻撃も「無自覚な暴言」だけで済んでいる。

 ベビーカーは持っているけれど、スーパーに行くときに使うことは許されていない。
 彼自身がどこか混雑したお店でベビーカーを足にぶつけられ、「あー、スミマセーン」と悪びれもせずに去っていった若い母親にいら立ち、「自分の妻にはああなってほしくないと思った」からだ。
 確かにどんなに気を付けていても、人と接触しちゃうことはあるだろうから、彼の言うことも一理あると思って聞き入れた。
 幸い抱っこひもやおんぶひもを使うことには慣れているし、赤ちゃんが重いので、買い物も頭を使って短時間でとか、要らないものを買わないようにとか、工夫するようになるという、むしろいい効果もあった。

 ただ、それを話したら、
「へえ。で、褒めてほしいの?子育てって、人に褒められるためにするのかな?」
「個人的には、頑張ってるアピールする人は、褒めたくないなあ」
「母の愛は無償の愛って言葉を知らないの?
 どんなに本を読んでも全然身になっていないんだね」
 って言われたから、自慢っぽい話とか、自分が努力しているみたいな話はしないように気を付けなければならない。
 やれやれ、またタブーが増えた。そろそろ私のキャパを超えそうだ。
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