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桃(2023年6月)
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忘れもしない2014年のことです。
226万人のフォロワー(2023年6月現在)を有するコピーライターの糸井重里さんが、福島市のJAふくしま未来 農産物直売所…と思われるところで撮った写真付きのツイートが話題になりました。
まんまは引用しない方がいいかな?と思うので、趣旨だけ申し上げますと、15個の桃が詰められた箱を持った笑顔の写真を添えて、「福島ならこんなふうに桃が買える」とツイートしていたのでした。
具体的な品種や値段は書かれていませんでしたが、「まどか」か、「あかつき」か?
多分その量で1,000円~1,500円(下手したら1,000円未満)という信じられない安値のはずです。
かといって、品質が悪いというわけではありません。甘味は十分でジューシーそのもの。
ただ、いわゆる「はねもの」なので、時々残念なものが紛れていますが、まあ多少はねと許容できる範囲です。
糸井さんはこの写真とツイートがもとで、反原発派の中でも特に頑迷な方(これでも表現抑えています)に「福島の食べ物が安全であるかのように言うな」的な非難をされましたが、もちろん一方で「福島の桃好き」「食べたい」「うらやましい」という好意的な声も多く、福島県民の私自身は、原発事故から3年以上経っているのに、危険危険うるせえなと、1日5個ペース(三食後とampmのおやつ)で桃を食べる日々でした。
1日5個というのは、全く盛っておりません。
この当時は、夫が休みのたびに産直販売でせっせと買ってきていたので、それくらいしないと消費できなかったのです。
それでも飽きないくらいおいしかったので、何も問題はありませんでしたが。
ほかの菓子類を食べなくなったので、むしろ健康的だったかもしれません。
◇◇◇
しかし、ソレは月末の土曜日夜、突然あらわれました――両手足と左目周辺の赤い発疹です。
かゆみはあまり感じなかったのですが、突然のことに戸惑いました。
こういうとき、薬を塗ったり飲んだりしてもいいのか? ひょっとして市販薬は駄目なのでは…。
なすすべなしの状態で日曜日を過ごし、月曜日に病院に行きましたが、実はその時点では、かなり症状はおさまっていました。
が、今後のためにも診てもらおうと思い、近所の病院に土曜日~月曜の経過をメモ書きして持参し、それまで桃を大量に食べていたことを話したのです。
しかしメモは一瞥もくれずにすすっと差し戻され、「薬は飲んでいないんでしょ?しかも一晩二晩寝て消えるようなものはアレルギーじゃないと思うよ」とバッサリでした。
いや、いいんです。アレルギーだと診断してもらいたくて行ったわけじゃないし。
本格的に検査となると、確かに面倒そうだし。
ただ、メモを親指の付け根あたりですーっと机の隅っこまで押して、「こういうのいいから」的に扱われたことには、多少イラモヤを感じました。
「あと1カ月ぐらい我慢して、その後食べてごらん?それで症状出なかったらアレルギーじゃないから」
と言われたのですが、1カ月後には桃のシーズンは終わっているわけで!
桃、ナシ、リンゴ、サクランボ――福島というところは、バラ科の美味い実をつける水菓子が豊富です。
桃がもしNGだったら、その辺の果物全滅かと思ったら、目の前が真っ暗になりました。
病院でもらった薬を飲み、2、3日禁欲し、一つだけ桃を食べたら、全く症状が出ませんでした。
正直、発疹の原因は分からなかった(というか、桃が原因と推定される一時的なもの)のですが、その翌年からはせいぜい1日3個ペースで抑え、現在もいい感じで付き合っております。
2022年の夏に死んだ母も、食欲がないときでも桃は喜んで食べました。
福島では、俗に「ガリ桃」という、リンゴのように硬い実のものを皮ごと行く人もいますが、彼女はやはり咀嚼しなくてもOKぐらいの柔らかいものを好んでいました。
私自身は硬軟、どちらもイケる口です。
顔が知られていないのをいいことに、「この年齢にしてはほうれい線がほぼ出ていないのも、肌がプルプルなのも、ぜんぶ福島の桃のおかげですのよ、おほほ」などと、美魔女のふりしておきましょう。
1カ月後の今頃は「あかつき」のために野菜庫を空けておかなければ♪
226万人のフォロワー(2023年6月現在)を有するコピーライターの糸井重里さんが、福島市のJAふくしま未来 農産物直売所…と思われるところで撮った写真付きのツイートが話題になりました。
まんまは引用しない方がいいかな?と思うので、趣旨だけ申し上げますと、15個の桃が詰められた箱を持った笑顔の写真を添えて、「福島ならこんなふうに桃が買える」とツイートしていたのでした。
具体的な品種や値段は書かれていませんでしたが、「まどか」か、「あかつき」か?
多分その量で1,000円~1,500円(下手したら1,000円未満)という信じられない安値のはずです。
かといって、品質が悪いというわけではありません。甘味は十分でジューシーそのもの。
ただ、いわゆる「はねもの」なので、時々残念なものが紛れていますが、まあ多少はねと許容できる範囲です。
糸井さんはこの写真とツイートがもとで、反原発派の中でも特に頑迷な方(これでも表現抑えています)に「福島の食べ物が安全であるかのように言うな」的な非難をされましたが、もちろん一方で「福島の桃好き」「食べたい」「うらやましい」という好意的な声も多く、福島県民の私自身は、原発事故から3年以上経っているのに、危険危険うるせえなと、1日5個ペース(三食後とampmのおやつ)で桃を食べる日々でした。
1日5個というのは、全く盛っておりません。
この当時は、夫が休みのたびに産直販売でせっせと買ってきていたので、それくらいしないと消費できなかったのです。
それでも飽きないくらいおいしかったので、何も問題はありませんでしたが。
ほかの菓子類を食べなくなったので、むしろ健康的だったかもしれません。
◇◇◇
しかし、ソレは月末の土曜日夜、突然あらわれました――両手足と左目周辺の赤い発疹です。
かゆみはあまり感じなかったのですが、突然のことに戸惑いました。
こういうとき、薬を塗ったり飲んだりしてもいいのか? ひょっとして市販薬は駄目なのでは…。
なすすべなしの状態で日曜日を過ごし、月曜日に病院に行きましたが、実はその時点では、かなり症状はおさまっていました。
が、今後のためにも診てもらおうと思い、近所の病院に土曜日~月曜の経過をメモ書きして持参し、それまで桃を大量に食べていたことを話したのです。
しかしメモは一瞥もくれずにすすっと差し戻され、「薬は飲んでいないんでしょ?しかも一晩二晩寝て消えるようなものはアレルギーじゃないと思うよ」とバッサリでした。
いや、いいんです。アレルギーだと診断してもらいたくて行ったわけじゃないし。
本格的に検査となると、確かに面倒そうだし。
ただ、メモを親指の付け根あたりですーっと机の隅っこまで押して、「こういうのいいから」的に扱われたことには、多少イラモヤを感じました。
「あと1カ月ぐらい我慢して、その後食べてごらん?それで症状出なかったらアレルギーじゃないから」
と言われたのですが、1カ月後には桃のシーズンは終わっているわけで!
桃、ナシ、リンゴ、サクランボ――福島というところは、バラ科の美味い実をつける水菓子が豊富です。
桃がもしNGだったら、その辺の果物全滅かと思ったら、目の前が真っ暗になりました。
病院でもらった薬を飲み、2、3日禁欲し、一つだけ桃を食べたら、全く症状が出ませんでした。
正直、発疹の原因は分からなかった(というか、桃が原因と推定される一時的なもの)のですが、その翌年からはせいぜい1日3個ペースで抑え、現在もいい感じで付き合っております。
2022年の夏に死んだ母も、食欲がないときでも桃は喜んで食べました。
福島では、俗に「ガリ桃」という、リンゴのように硬い実のものを皮ごと行く人もいますが、彼女はやはり咀嚼しなくてもOKぐらいの柔らかいものを好んでいました。
私自身は硬軟、どちらもイケる口です。
顔が知られていないのをいいことに、「この年齢にしてはほうれい線がほぼ出ていないのも、肌がプルプルなのも、ぜんぶ福島の桃のおかげですのよ、おほほ」などと、美魔女のふりしておきましょう。
1カ月後の今頃は「あかつき」のために野菜庫を空けておかなければ♪
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