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禁断のラム酒増量
それぞれに【終】
しおりを挟む東雲女子は駅から歩いて行ける距離にあり、朱美の家が最も学校から近かったので、このように3人で集まることはよくあった。
朱美の家を出た友恵と春奈は、言葉少なに並んで駅前のバスターミナルまで行き、それぞれのバス乗り場で別れることになるだろう。
バスターミナルに着く直前、意を決したように春奈が言った。
「早川、よく泣かないで我慢したね」
「え?」
「唐橋はいい子だけど――鈍感過ぎ。仕方ないけどさ」
「春奈…」
「ま、あんたも鈍感さに関しては、唐橋に言えた義理じゃないか」
「え…それどういう…」
「あー、ウチ方面のバスもう来てる!じゃね、早川、またね!」
「う、うん、ばいばい」
お互い手を振り、春奈は2番乗り場へと一目散に駆け出した。
(また明日ね…しっかりもので頭がよくて鈍感な友恵…好きだよ)
友恵は春奈の最後の言葉の意味を少し考えたものの、結局分からず、(今夜は朱美がゆっくり眠れますように)と祈りながら、6番乗り場から自宅方面行きの路線バスに乗り込んだ。
【『禁断のラム酒増量』了】
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