小手先の作業

あおみなみ

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My grandma told me(その2)

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※前回「その1」の続き、後半部分です。前回と併せて読んでいただければ幸いです。


◇◇◇

 祖母は働く母に代わって、家のことをいろいろやってくれているし、感謝すべきなのは分かっていても、ついつい文句を言いたくなることが多かった。といっても、「言いたくなる」だけで、黙って我慢する場合が多かったのだが。
 ちなみに、忌憚なくああだこうだ言う兄とはしょっちゅう衝突していたが、私はそういう場合に限っては、どちらかというと祖母の味方だった。

 例えば、祖母の炊くご飯は柔らかめだったのだが、兄は固めというか、米がぱつっと張り詰めたようなご飯が食べたいとぼやいた。そして短絡的に、祖母が水加減して仕掛けた炊飯器から、夜中にこっそり水を少し取り除いていたのだ。

 結果――炊き上がった米はが、ただひたすらパサついていた。

 電気炊飯ジャーといえども、それなりのコツは要るのだ。柔らかい(のが嫌だ)から水を減らせばおいしくなるわけではない。
 もともと兄のことが嫌いだったというのもあるけれど、頭でっかちの中高校生男子の限界を見て、「ざまあ」と思いながら、ぱさついたおいしくないご飯を黙々と口に運んだ。
 かわいそうなのは祖母である。慣れない炊飯器マシンを何とか使っているのに、朝になると不本意なご飯になっているのだから。
 
 前半の話を踏まえて言えば、今の私はクリスマスも正月も装飾は簡素だし、電話は基本留守電対応だし(固定電話にかかってくるのは電話アンケートやセールスばかり)、思えば両親の葬式でも泣かなかったが、もちろん全く悲しくなかったわけではない。

 ハードディスクには、旦那が見境なく録ったテレビ番組(BS・CS多め)が見切れないほどあり、天気の悪い休日に何とか消化し、即削除。私自身は専らサブスクやTVerを利用しているので、録画すらあまりしない。

 時代が違うと言われればそれまでだが、祖母が見たら、SFに描かれたレトロフューチャーのような生活だろうし、理解もできないだろう。

 一応、昭和のある時期はともに過ごした祖母ではあるが、世代の違いもありいろいろな認識のずれは致し方ない。
 それでいて、前述の迷信・風習のたぐいで、いまだに私を縛っている言葉は多い。

◆一杯茶はNG
これは、死者に供するお茶が「一杯茶」なので縁起が悪いということらしいが、お茶1杯しか飲めない慌ただしい生活にならないよう、心にゆとりを持って過ごしましょう、という意味にも取れるので、まあいい。

◆出針などもってのほか
出かける前に針仕事(ボタン付け・繕いものなど)をするな、ということ。
これも事前にボタンが取れかかっていないか、ほころびがないかなど、衣類をチェックせよにという戒めなのは分かる。現実問題、本当に急いでいるときは、別な服を着ていくなどの方法を取ることもあるが、代替が利かない場合はやむを得ず針を持たなければいけない。フォーマルドレスの裾が突発事故でほつれ、しゃーなしで外出20分前にチクチク縫った経験はある。

 気を付けていれば防げることは気を付けようと思うが、人間、いつもそうそう気を張って暮らしていくことはできない。
 そして、それよりも何よりも、この手のことで祖母のことを苦々しく思い出すのは、お茶を1杯だけ飲んで出かけようとしたとき、外出前に針を使っているとき、「そういうのはいけない」とその場で注意してきたためだ。
 小言なら後で(それなりに)いくらでも聞くが、渦中にある人に鞭打つのはやめい!という話である。

 兄も「ばあちゃんは風邪ひいてから「風邪引くなよ」と言うけど、意味ないよなあ」とブツブツ言っていた。

 年寄りあるある、かな。

◇◇◇

 死者に鞭打つではないけれど、あまり祖母のことを悪く言わないように…と思いつつ書き始めたのに、結構ディスり散らかしてしまった。ごめんなさい(合掌)。

 祖母より14年ほど早く逝った祖父が、年齢なりに頑固じじいだったものの、新しもの好きで、「人さえ死ななきゃ戦争ほど面白いものはない(サバゲー?)」と孫に言うような割とヤバい人だったので、「もしおじいちゃんなら…」と考えてしまうと、祖母の旧弊をふりかざす姿勢に、ついつい一言二言三言言いたくなるのだ。
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