17 / 17
あとがき
しおりを挟む『ハルシャギク 禁じられた遊び』へのご来訪、ありがとうございます。
この話は一部だけですが、実話です。
さすがに「幼馴染が後にアイドルとして~」というのは完全に創作ですが、実際、中学時代「アイドルになる」ために転校した友達はいました。
「家族で食事中スカウトされて」ということになっていましたが、某有名歌手のもとで結構な謝礼を払ってレッスンをしていたということもぶっちゃけていたので、ほんの少しだけ“裏側”的なものを垣間見た思いでした。
明るい性格で華のある容姿だったし、歌も上手だったのですが、(売り出し方に難があったせいか)今その子の名前で検索すると、ネタ的というかキワモノ的に扱っている個人ブログが見つかるだけです。もし彼女がそれを目にしたとき、「私を覚えてくれている人がいる!」とポジティブに捉えているといいな…なんて、要らぬ心配をしております(彼女の性格上、その可能性が高いと思うのですが)。
◇◇◇
それはさておき。
実話ベースとはいえ、決定的に違う部分があります。
本当の「ユウちゃん」が女の子だったことです。
2歳上で、私には優しかったけれど、乱暴でうそつきだということで、あまり好かれていませんでした。
色白の肌にくっきりした顔立ちで、ひょっとしたら将来美人になるタイプではという顔でしたが、子供からは「くど過ぎて気持ち悪い」と言われ、顔を見ながら「オエーッ」と吐くマネをするような、えげつない嫌がらせをされたり、「ユウ菌」と呼ばれたり、ストレートでクリティカルな、ものすごい昭和っぽいいじめられ方をしていました。しかし本人が雄々しく反撃するので、「いじめ」が成立していませんでした。
現実の私は、「遊ぶな」と言われ、祖父母や両親の意見を入れたヘタレでしたが、ある日突然、引っ越してしまったのも作中のとおりです。今どこでどうしているのかは当然分かりません。
自分も人の親になってみて、分かったことといえば、子供の友達の存在を否定し、「あんな子と遊んじゃ駄目」というのは、結構勇気が要るということです。
大人だからといって人を見る目があるわけではなく、ヤバいことに巻き込まれそうなリスクが高いか低いかの判断が子供よりはできるだけですから、その一言で子供の信頼を失ってもいたし方ありません。
親としては、子供自身が善悪の判断ができる、仲のいい子相手でも間違っていることには「ノー」と言える――あたりの力を鍛える手助けくらいしかないでしょう。あとは、それが原因でいじめられた、ひとりぼっちになってしまったというときのケアだけです。正直(悪事を注意する、行動を改めるという意味で)よそんちの子供の面倒までは見切れません。
私は人格者でも篤志家でもないので、「子供は社会で育てるとか寝言を言う前に、社会に出しても問題ない子供を育てろ」と本音の部分で思っています。
問題のある家庭で問題のある子供になってしまったなら自分の手には負えないし、一見問題なさそうな家庭でそうなってしまったなら、なおのことです。
私の記憶の中のリアルユウちゃんは、「万引きは中学生になってから」ときょうだいに教えられたと言い、墓場の菓子は、私には何も言わずちょいちょい悪びれずにつまみ食いしていました。それを見て「ユウちゃんと遊ぶのは楽しいけど、これはちょっと…」と幼心に感じたのが、親たちの意見を入れる決め手となったんだと思います。よかったのか、悪かったのか。
アオイちゃんとその仲間たちには、具体的なモデルは「いるような、いないような」です。私は昔からこの手の集団に絡まれ、いじられることが多かったので、「そういう人たち」クラスタは、いつの時代も存在しました。
アオイちゃん的な子は隣に住んでいたのですが、『さよなら絶望先生』の木津千里ちゃんみたいに正義感が強くて融通が利かないだけで、今思うと決して悪い子ではありませんでした(むちゃくちゃ苦手でしたが)。次はああいうタイプの子を主人公にしたお話も書いてみたいと思います。
ユウちゃんに話しかけられても無視し続け、しまいに話しかけてこなくなったとき、私が転んでひざを擦りむいたら、水場まで連れていってくれて、傷口を洗うように促したとか、そんないい思い出が頭に浮かんでしまったりして、少しだけ「ちくっ」としたのを覚えています。
ジョン・アーヴィングの『ピギー・スニードを救う話』じゃありませんが、ふとした拍子にそのときの気持ちを思い出して、何か美談っぽくしたくなった――のが、本作を書いた動機です。
また、近所の墓地で色鮮やかな、しかし「雑草」と言われそうな花々が百花繚乱状態で咲き乱れているのを見て(周囲の園芸作物の飛び種とかでしょうが)、そのワイルドで雑多な美しさにうたれました。最初に本作を書いたときの季節柄、特に目立っていたのがハルシャギクでした。もともとこれは墓地によく咲いているイメージがあります。
0
お気に入りに追加
6
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
ブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~
水無月 静琉
ファンタジー
神様のミスによって命を落とし、転生した茅野巧。様々なスキルを授かり異世界に送られると、そこは魔物が蠢く危険な森の中だった。タクミはその森で双子と思しき幼い男女の子供を発見し、アレン、エレナと名づけて保護する。格闘術で魔物を楽々倒す二人に驚きながらも、街に辿り着いたタクミは生計を立てるために冒険者ギルドに登録。アレンとエレナの成長を見守りながらの、のんびり冒険者生活がスタート!
***この度アルファポリス様から書籍化しました! 詳しくは近況ボードにて!
【猫画像あり】島猫たちのエピソード
BIRD
エッセイ・ノンフィクション
【保護猫リンネの物語】連載中! 2024.4.15~
シャーパン猫の子育てと御世話の日々を、画像を添えて綴っています。
2024年4月15日午前4時。
1匹の老猫が、その命を終えました。
5匹の仔猫が、新たに生を受けました。
同じ時刻に死を迎えた老猫と、生を受けた仔猫。
島猫たちのエピソード、保護猫リンネと子供たちのお話をどうぞ。
石垣島は野良猫がとても多い島。
2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。
「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。
でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。
もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。
本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。
スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。
【完結】あなたは知らなくていいのです
楽歩
恋愛
無知は不幸なのか、全てを知っていたら幸せなのか
セレナ・ホフマン伯爵令嬢は3人いた王太子の婚約者候補の一人だった。しかし王太子が選んだのは、ミレーナ・アヴリル伯爵令嬢。婚約者候補ではなくなったセレナは、王太子の従弟である公爵令息の婚約者になる。誰にも関心を持たないこの令息はある日階段から落ち…
え?転生者?私を非難している者たちに『ざまぁ』をする?この目がキラキラの人はいったい…
でも、婚約者様。ふふ、少し『ざまぁ』とやらが、甘いのではなくて?きっと私の方が上手ですわ。
知らないからー幸せか、不幸かーそれは、セレナ・ホフマン伯爵令嬢のみぞ知る
※誤字脱字、勉強不足、名前間違いなどなど、どうか温かい目でm(_ _"m)
髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜
あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。
そんな世界に唯一現れた白髪の少年。
その少年とは神様に転生させられた日本人だった。
その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。
⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。
⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。
異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜
カイ
ファンタジー
主人公の沖 紫惠琉(おき しえる)は会社からの帰り道、不思議な店を訪れる。
その店でいくつかの品を持たされ、自宅への帰り道、異世界への穴に落ちる。
落ちた先で紫惠琉はいろいろな仲間と穏やかながらも時々刺激的な旅へと旅立つのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
小さな恋の行方が気になって、一気読みさせて頂きました。
2人の思い出の花、ハルシャギクが縁で再開出来るのか。
切ない展開に、じんわりさせて頂きました。
こんにちは。
このような地味作品を読んでいただけただけでも十分うれしいのですが、
ご感想を寄せていただき、本当にありがとうございました。
作中のチヒロは「うっとうしい女」と思われるのを恐れて行動に出られませんでしたが、
自分自身が17歳のときだったら、きっとあの手この手でアピールしようと考え、空回っていたろうと想像しております。