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4年生 ヤエおねえちゃんの痛み
作文
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その日は国語の授業で、「今までいちばん楽しかったこと」の作文を書くことになったから、3年生の秋の遠足のことを思い出して書いた。
意味よくわかんないけど、「さつき晴れ」っていう言葉あるよね。ただの晴れっていうよりかっこいい。
すごくよく書けたから、お隣のミナちゃんに読んでもらったんだけど、褒めてくれるかなって思ったのに、
「これ、秋の遠足なんだよね?さつき晴れって?」
「えっ、ミナちゃん知らないの?」
ミナちゃんでも知らないことってあるんだなって教えてあげようとしたら、
「さつき晴れって、梅雨どきの雨の合間に晴れたときに使う言葉だよ。漢字だと五月って書いて…」
って言われた。
でも、五月なのに梅雨とか変なの。ミナちゃんだって分かってないんじゃん。
ミナちゃんは私が泣きそうになっているのを見て、あわてて言った。
「ほかのところはよく書けてるから、ここだけ直せばもっとよく…」
って、何でそんなに偉そうなの?おんなじ年だし、ミナちゃんはひとりっ子で本当はお姉ちゃんじゃないのに。
でも、ミナちゃんは言葉をいっぱい知ってるから、多分言ってることは正しいんだと思う。
私は泣きながら消しゴムをかけて、「さつき」を消して、空いたマスに「大きなカッコの片方」みたいな記号を書いた。
こうすると、ここからここまで飛ばしますって意味だと教えてくれたのもミナちゃんだ。
せっかくカッコよかった「さつき晴れ」がただの「晴れ」になって、文章がヘタクソみたいになって、ヤエちゃんの心に雨が降った。
ミナちゃんは意地悪だ。いくら勉強できても、そういうのは駄目だってママが言ってるし、顔だって絶対ヤエちゃんの方がかわいい。
ミナちゃんはサンベリーナのキャラクターでは「ジェニー&パット」が好きで、よく使ってるけど、ヤエちゃんの好きな「キラとテル」の方が色もきれいでかわいい。
かわいいならヤエちゃんの方が絶対、絶対勝ってるもんね。
でもどうしても悔しくて、ヤエちゃんはその気持ちを詩にした。
「そのひとこと
そのひとことが人の心に雨を降らせる
その一言が人の心にお日様をだす
一言 すごく大事」
ミナちゃん、それをみんなの前で読み上げられて困った顔して。
ちょっとはヤエちゃんを傷つけたことを反省してくれたかな。
ミナちゃんと仲のいいメイちゃんが「あんなの気にしなくていいよ」って言ったけど、関係ないのに口出さないで欲しい。
メイちゃんもミナちゃんぐらい嫌いだ。
意味よくわかんないけど、「さつき晴れ」っていう言葉あるよね。ただの晴れっていうよりかっこいい。
すごくよく書けたから、お隣のミナちゃんに読んでもらったんだけど、褒めてくれるかなって思ったのに、
「これ、秋の遠足なんだよね?さつき晴れって?」
「えっ、ミナちゃん知らないの?」
ミナちゃんでも知らないことってあるんだなって教えてあげようとしたら、
「さつき晴れって、梅雨どきの雨の合間に晴れたときに使う言葉だよ。漢字だと五月って書いて…」
って言われた。
でも、五月なのに梅雨とか変なの。ミナちゃんだって分かってないんじゃん。
ミナちゃんは私が泣きそうになっているのを見て、あわてて言った。
「ほかのところはよく書けてるから、ここだけ直せばもっとよく…」
って、何でそんなに偉そうなの?おんなじ年だし、ミナちゃんはひとりっ子で本当はお姉ちゃんじゃないのに。
でも、ミナちゃんは言葉をいっぱい知ってるから、多分言ってることは正しいんだと思う。
私は泣きながら消しゴムをかけて、「さつき」を消して、空いたマスに「大きなカッコの片方」みたいな記号を書いた。
こうすると、ここからここまで飛ばしますって意味だと教えてくれたのもミナちゃんだ。
せっかくカッコよかった「さつき晴れ」がただの「晴れ」になって、文章がヘタクソみたいになって、ヤエちゃんの心に雨が降った。
ミナちゃんは意地悪だ。いくら勉強できても、そういうのは駄目だってママが言ってるし、顔だって絶対ヤエちゃんの方がかわいい。
ミナちゃんはサンベリーナのキャラクターでは「ジェニー&パット」が好きで、よく使ってるけど、ヤエちゃんの好きな「キラとテル」の方が色もきれいでかわいい。
かわいいならヤエちゃんの方が絶対、絶対勝ってるもんね。
でもどうしても悔しくて、ヤエちゃんはその気持ちを詩にした。
「そのひとこと
そのひとことが人の心に雨を降らせる
その一言が人の心にお日様をだす
一言 すごく大事」
ミナちゃん、それをみんなの前で読み上げられて困った顔して。
ちょっとはヤエちゃんを傷つけたことを反省してくれたかな。
ミナちゃんと仲のいいメイちゃんが「あんなの気にしなくていいよ」って言ったけど、関係ないのに口出さないで欲しい。
メイちゃんもミナちゃんぐらい嫌いだ。
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