上 下
2 / 82
夢見るマリーゴールド 

退屈な女

しおりを挟む

 お金を持っていたわけではなく、バイト代の使い道が彼とのデートだっただけだった。
 しかも私は結構バイト戦士タイプだったのだが、私が労働している「空いた時間」が彼を浮気に走らせる。

 会ってもセックスできないと機嫌が悪いし、ひどいときは「20分だけ会ってやる」と言って、私も知っているひとり暮らしの某友人(男)の家に連れ込まれ、本当にだけして終わりってこともあった。
 20分どころか15分で「俺はこのままここにいるから、先帰れ」と追い出された。
 わずかな空き時間で済ますとか、通信教育のテキストじゃないんだからさあ…。

 そういえばこういう言い方にも、「俺にジゾクりょくがないとでも言いたいのか!」とキレるだろう。
 こんな自分勝手な男性との“行為”が楽しかったり、喜びを感じられたりするわけもないので、私としては10分程度で終わってくれても全然OKだったんだけどね。

 私を追い出した後に別な女を呼び出したということは、その友人との間で話の辻褄が合わないので発覚したが、私は一言も彼を責めなかった。
 友人は私に同情的で、何なら口説いてこようとしたが、「バカ言わないでよ」と笑ってごまかした。
 私をどんなに粗末に扱おうと、私が別の男に走ったらキレ散らかすのは目に見えている。

 こうして書いてみると、本当に何がよくて付き合っていたんだろう?
 あ――外面か。
 付き合うまでは「他人」だったのだから、感じのいい人に見えても仕方なかったのかもしれない。
 少し強引に口説かれて、恋愛慣れしていない私は簡単になびいた。
 いろんなことに違和感を覚えても、もう少しお付き合いしないと分からないかもと思い、多少の不満や不安には目をつぶった。
 そうして半年間過ごして、楽しかったことがまるで思い出せない。

◇◇◇

 彼が「退屈だ」と言った私の話。

 「昨日、部屋から見えた雲がテディベアみたいだった」ってこと。
 バイト先にいつもコーヒーを買いにくる、背筋の伸びたおばあさんのかっこよさ。
 本で読んだ、文豪のこぼれ話。あと何だっけ?

 そもそも私と話をする気なんてないから、聞いてもいなかったのだろう。
 次に私なんかを選んでくれる人がいたら、そんな話をして興味を持ってくれたらうれしい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

処理中です...