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あとがき

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 拙作『気まぐれデュランタ』並びに番外編『ハンバーグとシクラメン』を読んでいただき、まことにありがとうございます。

 以下、あとがきを読まれる方というのは、徹頭徹尾読んだ方か、最初の1、2ページでどうでもよくなった方か、途中でさまざまな理由で読むのをやめた方のいずれかだと思われますので、その前提で書きたいと思います。

 実はこれを書こうと思ったきっかけは、「松崎」のモデルになった人物への怒りが、ふとした拍子に再燃したためでした。早い話が「更年期のオバハンのブチキレを家族にぶつけないための次善の策」的な事情で生まれたお話です。多分、私はこの人物を絶対に許すことができません。小説ではその辺りをむしろ控え目に書いているくらいです。

 主人公・水野さよりは、2人の人物をモデルにしました。容姿と基本的な性格は、高校2年まで同じクラスだった美少女「Aちゃん」で、優柔不断さでトラブルを招く性格は自分自身を投影したつもりです。

 俊也のモデルは、私自身が交際していた5歳年上の男性で、エピソードの中の台詞は、言われたことをそのまま使ったものもあります。「他人の腕をねじり上げて腕時計を見る」という独特な癖がありました。
 この俊也的な人物をフィーチャーして書いた『最低でありふれたカレとカノジョの夏。』というものもあります。フリースペースにリンクを張りましたので、こちらもどうぞ(ただし、ところどころでまあまあの性描写があるため、R18になっています。閲覧にはご注意を。)

 佐竹君にはモデルは特にいませんが、ひょうひょうとした性格や成績優秀なところは、小中学時代、男女問わず慕われていた「K君」を念頭に置いて書きました。公認会計士、ではなく医師になりましたが、「医者になっておばあちゃんの足を治してあげたい」と小学校の頃から言っていたような人なので、あくまで自然体で当たり前に努力をして、本当に夢をかなえちゃったというのが最高にクールだと思いました。

 80年代後半の話なので、ところどころで「当時はなかった」という表現があったり、注釈的なものをつけたりしました。
 1988年元日で話は終わっていますが、88年は実質的に昭和最後の年(昭和64年は89年1月1日~7日の1週間なので)ということで、9月頃から、当時の昭和天皇のご不例に配慮して、「自粛」という言葉が独り歩きしたようなイベントの中止が相次ぎ、毎日のように病状を伝える報道がなされていました。
 現在の上皇陛下の生前退位決定後、やたら「平成最後の〇〇」という表現がもてはやされたのとは対照的な、腫れ物に触るような雰囲気があったことを思い出します。

 当時の事情が反映された部分については元ネタ集を作ろうと思ったのですが、目を通してみると、時代というより個人的な意味での「元ネタはコレです」と示すべきものが多く、話がくどくなってしまいそうだったので断念しました。

 一つだけ言うと、「エッセイ集で田舎者を揶揄する内容のことを書いていた」のは、ビートたけしさんです。お若い人にとっての彼のイメージ(映画監督・北野武としての一面など)はよく分かりませんが、当時のたけしさんをご存じの方には、「あー、なるほど」「言いそう」とご理解いただけるのではないかと思います。もちろん、この程度で本気で怒り出す人などいなかったろう、ということも含めて、です。

【了】

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