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第30章 【番外編】番外編 ハンバーグとシクラメン
キャンプファイヤーみたい【終】
しおりを挟むいつものように、“一戦”交えた後は、やはりストーブの前で毛布をかぶって炎を見た。
「交歓合宿のときのキャンプファイヤー(※下記注)を思い出すんだよね」
「あ、春南村の?」
「君は気付いていなかっただろうけど、やぐらに火が入った後、ずっと君の横顔を見ていたんだ」
「私は――どうしてたっけかな?」
「仲のよかったA子、B美と話していたけど、C男とD彦が合流したそうに近づいてきて、それをB美が追っ払ってた。2人は君が目当てだったみたいだけど、ずっと曖昧な笑顔を浮かべていて、「この子、なかなか小悪魔だよな」って思った」
「…それ、徹志はずっと見てたの?」
「うん、気持ち悪いかな?」
「…ちょっとだけね。あ、ごめん…」
「だーめ、許さないよ」
そうして言葉尻をとらえたり、ふざけたりしながら、徹志はさよりを抱きしめ、組み伏せ、そしてうっとりと眺め、気付けば愛し合っている。それがいつものパターンなのだ。
「ねえ、コタツをちょっとよけて…ストーブの前でシてみない?」
「え? 暑(熱)くないかな?」
「毛布をかけていれば大丈夫だよ。エキサイトして肌がむき出しになったらごめんね」
さよりの返事を聞くまでもなく、徹志はコタツを手早く部屋の端に寄せ、コタツマットの上にさよりを組み敷くと、上から毛布をかぶった。
「もう、徹志のスケベ!」
「違うよ。“食いしん坊”って呼んでほしいな」
夜はまだ長い。
一応、隣室に気を使い、声は抑え気味にしているが、安普請のこの部屋で、筒抜けかもしれない。
その部屋の住人は、徹志と同じ大学生の男子だった。
彼にクリスマスイブや当日に、カノジョとの予定があるかどうかは判然としないが、もし少し早いクリスマスを楽しむ様子が漏れ聞こえていたら、さよりの喘ぎ声と、二人のつかみどころのない会話、一体どちらに顔を赤らめているだろう。
※この行事については、別立てて書いていますが、作中にはさよりも徹志も登場しません。
【参考】『ほしの初恋 “炎の美少女”を探せ』
[了]
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