【R15】気まぐれデュランタ

あおみなみ

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第19章 松崎敏夫のルサンチマン

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 俺は非常に生真面目な性質だったから、私生活でどんな辛いことがあっても、やらなければならないことはこなしていた。

 仕事は真面目にこなすのはもちろんのこと、勉強も――と言いたいところだったが、正直こちらに関しては、あまりはかばかしくなかった。
 予備校の授業があるときも、体の疲労が原因で、つい居眠りをしてしまうこともあるし、自習もままならない。

 結果、模試の成績も、今までのところ、あまり誇れる結果は残せていない。

 しかしそれは仕事がきついからで――という理由がすぐに見つかるが、新聞奨学生である以上、働くことは前提である。
 生半可なバイトとはわけが違う。自分は人生をかけているのだ。

 時には契約途中で辞める者もいるが、違約金が発生する。
 万が一そうなった場合、親が何とかしてくれるだろうが、たっぷり嫌味を言われるだろうし、田舎に帰ってこいと言われるのは目に見えている。
 第一、自分で決めたことを途中で翻すのは格好悪いと考えているので、よほどの事情がない限り、それだけは避けたい。

◇◇◇

 俺は頭は悪くないはずだ。
 友達と話していると、「お前は難しいことを知っているな」と感心されることもあるし、勉強をする気もある。

 だが、いろいろな事情で学内推薦で東地大に行くことはできなかった。
 そこから勉強を始め、確かに普通に考えたら到底受からないような大学も受験したが、正直楽勝だと思っていたところにも運悪く蹴られた。
 D判定、E判定ならまだしも、B判定だったことのあるところもあるので、正直不合格は不本意だったが、受験は水物だ。入試問題との相性とか、そのときのコンディションとか、いろいろある。

 学内推薦を考えていた割に見通しが甘かったのは自分のせいだが、ほかの受験生より不利だったことも間違いない。
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