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6章 続・そうだ!外に行こう
110.少し前のお話 前編
しおりを挟む大人数で絶壁に辿り着いた。子供達は親に背負われたり抱きかかえられており、モンスターの処分はサクヤが請け負ってくれた。
「絶壁じゃないか……どこに村が?もしかして騙され________へ?」
「疲れたー!村はー?どーこー?ないじゃ____え?」
エルフ達が口々に村の存在について口にする間にツルハシで絶壁の一部を削り洞窟の入口を出現させた。
「みんな~ただいまぁー、一時帰宅だよ~」
少し大きめの声で帰宅を知らせメイド以外全員が食堂に集まりこれまでの経緯を話した。(出来たてのダンジョン内は濁して)
「かくかくしかじかでこうなった」
「え?獲獲歯科時価?歯医者を時価で攫ってきたの?」
「違う!察して!色々合ったの~」
「察する能力が低いアクセルさんに察してとか言われたー」
「くっ……それを言われるとツラタン……仕方ねぇ掻い摘んで言うから後でエルフの人達から聞いてくれ」
こんな感じだ……そして最後村での一悶着も話した。
子供達を連れて村に到着した僕らが聞いた第一声は良くある迷信を信じた、長老とそれを信じてる村人達と信じてない村人の殴り合いだった。
「だから言ったんじゃ!双子は厄災を起こす忌み子と言ったじゃろぅ!生まれた時に、どちらかを殺しとけば今回のように攫われなかったはずじゃ!」
「そんな迷信いつまでも、いつまでも!あの子達が生まれる前にも攫われたのを忘れたのか!このボケ老人共が!」
「ほら、やっぱりじゃ!双子が生まれるのを先んじて知らせたのがソレだったのじゃ!あの時気付いていれば!」
「私達はあんたら長老組とコレからやっていけない、この人の連れが子供達を救出できた時……一緒にこの村から出て行く!」
「あぁ!あぁ!何処へでも行ってしまえ!双子はいずれ破滅を呼ぶのじゃ!この村の分裂は双子じゃ!やはり忌み子じゃ!帰って来たらワシが殺してやる!」
何やら殴り合いに発展しそうな口論が村から聞こえてくる。最後の言葉は聞き捨てならないが……この双子の両親に頼んで来てもらいたい、こんなにも可愛いのを残しては置けないしな。
そんな事を考えながら村に入って行くと対立中の双方から一斉に視線が集まった。一方は汚い物や蔑むような目……もう一方は喜びや感謝の目……なるほどなエルフは最長でも若いままで見分けがつかんから分かりやすいな、この視線はとても。
ただいまと声を掛け村へ進むが警戒していた方から炎が飛んで来た。狙いは双子の少女!思ったよりも速度があり脊髄反射で手の甲による横殴りで防いだが、飛んで行った先の木が火柱を上げ数秒で炭へと燃え尽き崩れた。
その光景を目撃したのち、ターゲットにされた双子へと視線を向けるとその子達の前に目を瞑り両手を拡げ仁王立ちの同じく拐われた少年が居た。
振り払った腕を曲げ少年の額を2回つっついて気付かせる。
「男の子だな!女の子を守るために自分が盾になるなんて、だけど目はちゃんと開けて体じゃなくて他の物で庇った方がいいぞ?ほらさっきの魔法あんな感じになる魔法だったようだ」
小突いた指を炭になった木に向け少年(ルイン)に見せてやる。ルインはその光景を見て尻餅をついて僕と炭を何回か見比べ目を輝かせ始めた。
「にぃちゃん!すげぇ!どうやったの?俺もやってみたい教えて!」
頭をぐしゃぐしゃに撫でながらレベルアップからだよと、なだめ……ルイン達が影になるように誘導し長老を睨んだ。
「やはり!やはり!その双子は害悪では無いか!その害悪のせいで森の木が炭になってしもうた!人族も村に招き村の者もいくらか死んで……子まで攫われ!なぜ大人しく死なん!この害悪が!!そのまま攫われてれば良かったものを……くぅ!」
炎を飛ばして来た長老が突然自分の魔法で森の木が焼けたのを人のせいにし始め何かを喚き散らした。
「おい?老害……頭悪い発言するの辞めた方がいいぞ?脳ミソ空っぽなのバレちゃうぞ☆それと次この子達に魔法放ったら弾かず返すからな?警告は1度までだ。仏の顔が3回までしか有効じゃないって事知ってるか?次は無いからな?殺すぞ?」
発言に対し煽りを加え脅しと警告と殺害予告を追加し、ここには残していけないと判断した。僕は、サクヤに目配せをすると頷きで答えが返ってきた。
「この双子と家族とこの村から出たいものは僕らの住処に招待する。荷物が有るなら取ってきてサクヤの側に集まってくれ、そこの老害?双子はコチラにいただくこの村から出れば問題無いだろ?じっとしてろよ?」
「な!ろ……老害?ワシがか?頭空っぽじゃと?!これだから人族は蛮族なのじゃ!古来からの知識を持つ長命種に対して……なんと、なんと!やはり馬鹿にはこの叡智は理解できんか!そんな馬鹿について行きたい者は、さっさと出ていけ!」
生き残りの半数……子供を持つ親が家に荷物を取りに行き親を失った子はサクヤと共に荷物の整理と収納しに行く。ルインも親と共に家に行くが、ここで問題が起きた。双子の親が見当たらない……何処だ?老害を警戒しながら周りを見渡すがゴミ共しか居ないのだ。嫌な予感が脳裏をすぎる前に老害が喋りだした。
「おう……おう?その忌み子の親ならソコ……ほれ、そこに転がっとるぞ?さすがは忌み子じゃ!自分の親をも殺すとはのう?」
一々癇に障る老害だ。もう喋っただけで殺そうかと思うレベルだが、まずは双子の親の元に向かわないとな。僕は双子を背で庇いながら倒れている2人の元に向かった。
僕が見ても全員同じ様な顔に見えてしまう。何せ全員イケメン&美人なのでそれでも双子には分かるようで迷わず駆け出して泣き崩れた。他にも泣いてる子が居た。僕は泣いてる子に何て声を掛けたらいいか分からないから、ソッと背中をさすってあげる事しかできない。
双子を撫でもう1人の方へ向かいつつ(あの人攫い共もう少し痛め付けてから処分すれば良かったな)と思いながらもう1人の子を撫でてる時、嫌な予感を感じ振り返るとまた魔法を放っていた。
怒りの形相で射線上の双子の前に右拳を握り素早く入り構えた。
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話の構成はしっかりしていて、こういう話を書きたい!というのも凄く伝わってくる。
キャラ同士の絡みや過去の話に関しては感情がかなり乗って伝わってきた。
凄くキャラクターの気持ちが伝わってくるし、設定も細かくてわかりやすいです。見習って色々設定とか書いてみたいと思います。
よく作り込まれていて、参考にさせてもらうよ。がんばろう。