ハロウィン・レクイエム

転生新語

文字の大きさ
上 下
1 / 4

プロローグ

しおりを挟む
 私は高校二年生の演劇部。先月、脚本を書いて、学校のクラスで劇を上演した。白雪姫とシンデレラと、かぐや姫が出てくる話。『十五夜狂騒曲』と、私はタイトルを付けている。

 脚本を書き上げた御褒美ごほうびとして、先月は同性の恋人にして演劇部の部長である、彼女とのデートをたのしませてもらった。そして今月は十月で、月末のハロウィンがひかえている。今年のハロウィンは月曜日で、街でたのしみたければ週末の土日に出かけるのが良いだろう。

 ただ私達カップルは土日を、おそらく家で過ごすだろう。おうちデート、という奴である。

「本当にいの? 週末を私の家で過ごすだけで」

 そう恋人が、私に言う。現在は金曜日の夜で、私が恋人の家を訪れていて、そこに泊めてもらう許可をている。私と恋人の交際は、さいわいな事に互いの家族から認められていたのだった。

「ここがいのよ。それとも私に、露出度の高いコスプレで街を歩いてほしい?」

 ちょっと挑発するように言ってみる。女子が二人で、コスプレ姿で街を歩けば、必ずと言っていいほどナンパ男が寄ってくるのは何故だろうか? 過去にいやにあった事がある私は、ハロウィンだからと言って街に出かける気になれなかった。

「そんな訳、ないでしょう……もう」

 今は彼女の部屋で、私達は二人きり。そばにはベッドがあって、床で座り込んでいる私の背後から、恋人が腕を回してくる。ちょっと力を入れれば、私を容易たやす絞殺こうさつできる姿勢で。そのままの姿勢で、彼女が言葉を続ける。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

十五夜狂騒曲

転生新語
ライト文芸
 女子校で、ヒロインと恋人は演劇部。ただし演じるより、シナリオなどを担当する事が多い。  ヒロインが脚本家で、恋人は舞台の監督役。今回は部活とは別の、クラスによる学芸会の脚本を担当する事になった。演劇をやる事になったが、何の話を演じるかで紛糾する。  最も演技が上手い黒髪ロングの子は「かぐや姫」、ヤンキーで金髪の女子は「シンデレラ」、黒髪ショートの子は「白雪姫」をやりたがる。面倒なので、全部を混ぜて行う事に。  元々、これらの話に不満を持っていたヒロインは、この三者が別の物語世界へ移動する脚本を書くのでした。劇の中でも外でも、それぞれの青春が展開します。  なお、この作品はシナリオ形式で、セリフの前にキャラ名が付きます。  小説家になろうで、先行投稿しています→https://ncode.syosetu.com/n3460hv/  またカクヨムにも投稿を開始しました→https://kakuyomu.jp/works/16817139558804655329

百合を食(は)む

転生新語
ライト文芸
 とある南の地方の女子校である、中学校が舞台。ヒロインの家はお金持ち。今年(二〇二二年)、中学三年生。ヒロインが小学生だった頃から、今年の六月までの出来事を語っていきます。  好きなものは食べてみたい。ちょっとだけ倫理から外(はず)れたお話です。なおアルファポリス掲載に際し、感染病に関する記載を一部、変更しています。  この作品はカクヨム、小説家になろうにも投稿しています。二〇二二年六月に完結済みです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マスターピース

転生新語
ライト文芸
 海に近い地方が舞台。ヴィンセント・ファン・ゴッホを敬愛している高校三年生の女子がヒロイン。高校から絵を描き始めて、今は油絵に挑戦中。美術部に所属してて、同じ部活の水野さんの事が気になる。  水野さんは、親戚が画家で、自宅にアトリエがあって水彩画を描いている。ヒロインから見れば、水と油のように、水野さんとは合わなそうな気もする。  来年は卒業という今になって、水野さんと仲良くなりたくて、ヒロインは夏休みに彼女のアトリエを訪問して……  この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。二〇二二年七月に完結済みです。

幸先がいい始め方

転生新語
恋愛
私は上京している大学四年生。幽霊の彼女と同棲してて、その彼女から温泉宿での姫はじめをねだられた。年も明けたし、幸先がいいスタートを切りたいところ。 小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。 小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n3093ia/ カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330651709909645

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

処理中です...