3 / 5
二軒目のファミレス
しおりを挟む
そろそろ本題に戻ろうか。茨城の、首切場エリアでファミレスが潰れたって話だったよね。建物は取り壊されて、しばらくして同じ場所に、また別のファミレスが開店してさ。最初から言ってるけど、立地条件はいいんだ。普通に考えれば繁盛して、上手くいくはずなんだよ。
前回の全国的に有名なファミレスと違って、ちょっとマイナー寄りの店だったけどさ。安くて美味しかったよ。ああ、ここは潰れないといいなぁって俺は思ってた。というか願ってたね。
でもね、今度も前と同じ。明らかに店員の様子が、おかしくなってくるの。後でネットを見たら、その店で『幽霊を見た』っていう、オカルト掲示板の書き込みがあったよ。夜中になると、顔が青白い客が店内に居て、いつの間にか消えるんだって。俺は見たことないけどねぇ、夜に何回も店は利用してたし。
とは言え霊感が無いからね、俺。見える奴には見えてたのかも知れない。ファミレスで働いてる人は長期間、いわくつきの首切場エリアに留まってるんだから、霊を見る機会も多かったんじゃないかね。そうとしか思えないくらい、店員はストレスでやられてる様子だったなぁ。
さっき、脱線話で言ったよね。祟りは人間の悪意だって。でも俺、ファミレスの件は、祟りとは違うと思うんだ。少なくとも霊の方は、悪意を持って飲食店にちょっかいを出してる訳じゃない。たぶんね、霊は寂しがってるんだよ。地縛霊っていうのかな、それこそ江戸時代から居着いてる霊が、首切場エリアには多いと思ってるんだけど。
何で首切場エリアの飲食店が上手くいかないかって言えば、霊が寄ってくるからだよ。で、何で寄ってくるかって言ったら、そこが賑やかだからなんだ。家族連れの客が多く居てさ。そういう温かい光景に、あのエリアの霊は惹かれるんだよ。もう百年以上前の、生前にあった幸せな光景に霊は戻りたがってる、というのが俺の考え。
別におかしくないだろ? お盆の時期には霊が帰ってくるんだし。成仏できない魂が多くあるエリアに、賑やかな飲食店が建ったらさ。そりゃあ寄り付きたくもなるよ。行き場のない人間だって、そうだろ。不良少年や少女が、深夜のファミレスでダベってるのと同じだよ、同じ。
そうは言っても、普通の人間は霊と仲良くできないよな。結局、そのファミレスも閉店。建物も取り壊されちゃったよ。以来、その跡地に飲食店が建つことはなかったね。でね、まだ話は終わってないんだ。
前回の全国的に有名なファミレスと違って、ちょっとマイナー寄りの店だったけどさ。安くて美味しかったよ。ああ、ここは潰れないといいなぁって俺は思ってた。というか願ってたね。
でもね、今度も前と同じ。明らかに店員の様子が、おかしくなってくるの。後でネットを見たら、その店で『幽霊を見た』っていう、オカルト掲示板の書き込みがあったよ。夜中になると、顔が青白い客が店内に居て、いつの間にか消えるんだって。俺は見たことないけどねぇ、夜に何回も店は利用してたし。
とは言え霊感が無いからね、俺。見える奴には見えてたのかも知れない。ファミレスで働いてる人は長期間、いわくつきの首切場エリアに留まってるんだから、霊を見る機会も多かったんじゃないかね。そうとしか思えないくらい、店員はストレスでやられてる様子だったなぁ。
さっき、脱線話で言ったよね。祟りは人間の悪意だって。でも俺、ファミレスの件は、祟りとは違うと思うんだ。少なくとも霊の方は、悪意を持って飲食店にちょっかいを出してる訳じゃない。たぶんね、霊は寂しがってるんだよ。地縛霊っていうのかな、それこそ江戸時代から居着いてる霊が、首切場エリアには多いと思ってるんだけど。
何で首切場エリアの飲食店が上手くいかないかって言えば、霊が寄ってくるからだよ。で、何で寄ってくるかって言ったら、そこが賑やかだからなんだ。家族連れの客が多く居てさ。そういう温かい光景に、あのエリアの霊は惹かれるんだよ。もう百年以上前の、生前にあった幸せな光景に霊は戻りたがってる、というのが俺の考え。
別におかしくないだろ? お盆の時期には霊が帰ってくるんだし。成仏できない魂が多くあるエリアに、賑やかな飲食店が建ったらさ。そりゃあ寄り付きたくもなるよ。行き場のない人間だって、そうだろ。不良少年や少女が、深夜のファミレスでダベってるのと同じだよ、同じ。
そうは言っても、普通の人間は霊と仲良くできないよな。結局、そのファミレスも閉店。建物も取り壊されちゃったよ。以来、その跡地に飲食店が建つことはなかったね。でね、まだ話は終わってないんだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
暗闇の記憶~90年代実録恐怖短編集~
MITT
ホラー
実話を元に再構成したホラー小説短編シリーズです。
90年代、仲間達と当時有名だった心霊スポット「相模外科」で体験した奇妙な出来事。
暗闇の恐怖……それを垣間見た記憶。
当時を懐かしく思いながら、書いた作品です。
今より、闇が多かった時代、1990年代の頃の実話ベースの作品集です。
なろう連載版では三編に分かれていたのを統合のうえで、アルファにて逐次投稿する予定です。
短期集中連載予定です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
鏡の世界で逢いましょう(プチホラー)
菜乃ひめ可
ホラー
世の中にぼんやりと漂う噂の数々。
その真実を世間や依頼者の代わりに追求し、確認する。そんな調査屋という仕事をしている強靭な精神力を持つ真嶋ミナホと、気が小さく怖がりでそのくせ噂話には目を輝かせ喜んで飛びつく助手、石井シンジ。そんな二人はある日、同業者からの依頼で最近ネットでも話題になっている『噂の洋館』に調査へ行くこととなる。そこにまつわる童話のような話と、実際に屋敷内をまわり検証調査をした二人の身に起こった、恐怖の出来事とは――!?
最終死発電車
真霜ナオ
ホラー
バイト帰りの大学生・清瀬蒼真は、いつものように終電へと乗り込む。
直後、車体に大きな衝撃が走り、車内の様子は一変していた。
外に出ようとした乗客の一人は身体が溶け出し、おぞましい化け物まで現れる。
生き残るためには、先頭車両を目指すしかないと知る。
「第6回ホラー・ミステリー小説大賞」奨励賞をいただきました!
天国と地獄
西順
ホラー
ブラック企業で働いている俺は、いつものように日付けが変わってからの帰宅だった。駅のホームに出た俺は、階段を上る。上る。上る。終わらない階段。
この作品はPixiv、小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる