正義の戦い

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前編、というかプロローグ

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 俺は戦い続けている。おそらくは人という生物が発生した時から。人間社会というものが生まれ、そこで争いが起こった時から。あるいは旧約聖書に記載された、カインとアベルの物語の頃から。カインによるアベル殺し、人類最古の殺人事件。俺はそういった、殺人という悪をさばく存在であり概念がいねんだ。

 人格を持っているから、精霊という事になるだろう。俺を悪魔と呼ぶ者も居るかもしれないが、勘弁してほしい。俺は三つの願いを人間に持ち掛けもしないし、その代償に魂をかすめ取る事もしない。むしろ、そういった悪辣あくらつな存在と俺は対極の位置にあると信じている。

 先に言った通り、俺は概念そのものである。なので実体化して人間社会に溶け込むような、そんな器用な真似はできない。一口に精霊と言っても、色々と居るのだ。

 俺は人間社会に直接は干渉しない。ただし間接的にはかかわっている。俺は常に戦っていて、その相手は俺と同じ、人格を持った『概念』である。そして概念同士が戦う時、人間社会では大きな争いが多く起こる。戦争、と言えば分かりやすいだろう。



 概念同士が、ぶつかり合うフィールド。無限に広がる荒野の上に俺は立っている。俺の敵は、形状が俺と同じで、自己増殖して体積を増やしていく。俺も同様に体積を増やし、武器を実体化させていく。まずはマシンガンでいいだろう。触手の先に発生させて、無数と言っていい銃を俺達は、互いの体へ一斉に発砲していく。さぁ、いつも通りの殺し合いだ。俺の名は『正義』。そして敵の名前も同様。俺達は互いの正義をぶつけ合って、自分の正しさを証明するために殺し合う。
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