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クリスティーナはマリオンと二人で、オリバーの家に向かう最中、彼からボタンを託された時に聞いた話を思い出していた。
実は、オリバーは今の両親の実子ではなく、彼が幼いころ川岸で意識が無くなっていたところを拾われ、養子になったのだという。
彼は川岸に打ち上げられた際、気を失っているにも関わらず、一つのボタンを大切そうに握りしめていたらしい。
それを見た彼の養父は、これはきっと身元に繋がるものかもしれないと、取って置いたそうだ。
意識を取り戻した彼は、その殆どの記憶を失っていたが、自分に姉がいたという事と、自らがオリーと呼ばれていた事だけは朧げに覚えていたのだと言う。
それで、義両親は彼をオリバーと呼ぶ事にしたらしい。
しばらくして、義両親はオリバーの身元を明らかにしようと、彼の記憶とボタンの紋章を元にそれを調べようとしてくれたが、彼の『姉が居る』という発言と、実状が一致せず、曖昧なまま保留になってしまったそうだ。
実際、ボタンに刻まれている紋章はクラーク家のもので間違いはなさそうだったが、そもそも、その家に女児が居るなどという話が一切無かったからだった。
結局、ボタンはどこかで拾ったものか何かで、姉というのは彼の想像か記憶違いだろうと言う事で、話は流れてしまったらしい。
そして、実の息子のように扱ってくれる両親に特に何の不満もなかったので、その後は彼自身も自分の出自についてそれ以上調べることもなかったのだという。
けれど、クリスティーナがクラーク家に嫁ぐと聞いたとき、彼は急に自分が持っていたボタンの存在を思い出した。
そして、姉が居たという自分の記憶は偽りでは無いという確信があった彼は、先日偶々クリスティーナに会えた事を幸いと、彼女に全てを託したのだった。
オリバーは、自分が本当はクラークの人間かもしれないと思っているようだったけれども、彼が言う『姉』に当たりそうな女性はあの家には見当たらない。
やはり、オリバーの記憶違いなのだろうか・・・。
けれど、マリオンのあの驚きようからすると、姉の事はともかく、オリバーは本当にクラークの家と何か関係があるのかもしれない・・・。
クリスティーナがそんな事を色々と考えている間に、オリバーの家が見えてきたのだった。
*************************
< お知らせ >
最後まで書きあがりましたので、今週中に完結となります。
もうしばらくお付き合いいただけましたら、幸いです。
実は、オリバーは今の両親の実子ではなく、彼が幼いころ川岸で意識が無くなっていたところを拾われ、養子になったのだという。
彼は川岸に打ち上げられた際、気を失っているにも関わらず、一つのボタンを大切そうに握りしめていたらしい。
それを見た彼の養父は、これはきっと身元に繋がるものかもしれないと、取って置いたそうだ。
意識を取り戻した彼は、その殆どの記憶を失っていたが、自分に姉がいたという事と、自らがオリーと呼ばれていた事だけは朧げに覚えていたのだと言う。
それで、義両親は彼をオリバーと呼ぶ事にしたらしい。
しばらくして、義両親はオリバーの身元を明らかにしようと、彼の記憶とボタンの紋章を元にそれを調べようとしてくれたが、彼の『姉が居る』という発言と、実状が一致せず、曖昧なまま保留になってしまったそうだ。
実際、ボタンに刻まれている紋章はクラーク家のもので間違いはなさそうだったが、そもそも、その家に女児が居るなどという話が一切無かったからだった。
結局、ボタンはどこかで拾ったものか何かで、姉というのは彼の想像か記憶違いだろうと言う事で、話は流れてしまったらしい。
そして、実の息子のように扱ってくれる両親に特に何の不満もなかったので、その後は彼自身も自分の出自についてそれ以上調べることもなかったのだという。
けれど、クリスティーナがクラーク家に嫁ぐと聞いたとき、彼は急に自分が持っていたボタンの存在を思い出した。
そして、姉が居たという自分の記憶は偽りでは無いという確信があった彼は、先日偶々クリスティーナに会えた事を幸いと、彼女に全てを託したのだった。
オリバーは、自分が本当はクラークの人間かもしれないと思っているようだったけれども、彼が言う『姉』に当たりそうな女性はあの家には見当たらない。
やはり、オリバーの記憶違いなのだろうか・・・。
けれど、マリオンのあの驚きようからすると、姉の事はともかく、オリバーは本当にクラークの家と何か関係があるのかもしれない・・・。
クリスティーナがそんな事を色々と考えている間に、オリバーの家が見えてきたのだった。
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もうしばらくお付き合いいただけましたら、幸いです。
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