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やってやる!!!!
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リーナさんの叫びに、アルマさんの手元の炎が一瞬で搔き消える。
悔しそうな、焦燥感に満ちたアルマさんの顔が見えた途端、あたしの核がキュウっと震えた。
アルマさんが、アルマさんが、死んじゃいそうな顔してるじゃないの!
……あたしが、あんな顔させてるんだ。
みんなに心配かけてる場合じゃないでしょ、あたし。
やってやる!!!!
やってやるよ、こんちくしょー!!!
あたしの中で、いきなりかつてないほどの闘志が芽生える。核が、燃えるように熱かった。
海の魔物のデッカイお口がグングンと迫ってくるのに、不思議、もう怖くはない。凶暴そうな乱ぐい歯が、夜の森みたいに黒い喉の奥が間近に迫ってくるのを、あたしは不退転の決意で待ち受ける。
海の魔物がひときわ大きく口を開く。吸い込まれるような感覚に、あたしは身を任せた。
「スラちゃん!」
みんなの絶叫が聞こえる。
大丈夫、あたし、きっと生きて帰るから。
吸い込まれ、ついに乱ぐい歯を越して海の魔物の口内に入った瞬間。あたしは歯の一本に一生懸命巻き付いた。
これなら、足場ができる。
そう、あたしはそれを狙っていた。だって空じゃ踏ん張れない。足場にしっかり力点を置いて、あたしは思いっきり振りかぶる。
どおおおおぉおおぉぉりゃあああぁぁぁぁ!!!!! くらえ!!!!!
トゲトゲナックルを、全力で海の魔物の喉めがけて叩きつける。
深々と、ナックルのトゲが肉にめり込む。その感触がいやに生々しい。今あたしにできる最高のパンチが、その巨大な喉に突き刺さっていた。
一瞬動きがとまった巨体が、次の瞬間めちゃくちゃにのたうち始める。
や、やめて……!
体がぐるんぐるんに振り回されて、目が回る……! 一瞬でも気を抜くと、真っ暗な喉の奥に落っこちてしまいそう。
あたしは必死ででっかい歯にしがみつく。生臭い巨大なベロまでもが何度も体をかすめて、あたしはもう生きた心地がしなかった。
グオオオオオ…………! という地響きみたいな呻きが喉の奥から響いてきて、天地がまわるようなめちゃくちゃな動きがやっとおさまる。
ほっと息をついて辺りをみまわせば、明るい方に真っ青なお空が見えた。
今だ!
あたしは思いっきり振りかぶって、もう一回喉の奥に強烈なパンチをお見舞いしてからその反動をつかって魔物の口から飛び出す。
攻撃をくらった魔物が痛みに動きを止めるのは本当に一瞬だ。この瞬間を利用しない手はない。
あたしは魔物の硬い鱗を足場に、力の限りジャンプする。
少しでも早く、アルマさん達の元へ戻りたかった。
悔しそうな、焦燥感に満ちたアルマさんの顔が見えた途端、あたしの核がキュウっと震えた。
アルマさんが、アルマさんが、死んじゃいそうな顔してるじゃないの!
……あたしが、あんな顔させてるんだ。
みんなに心配かけてる場合じゃないでしょ、あたし。
やってやる!!!!
やってやるよ、こんちくしょー!!!
あたしの中で、いきなりかつてないほどの闘志が芽生える。核が、燃えるように熱かった。
海の魔物のデッカイお口がグングンと迫ってくるのに、不思議、もう怖くはない。凶暴そうな乱ぐい歯が、夜の森みたいに黒い喉の奥が間近に迫ってくるのを、あたしは不退転の決意で待ち受ける。
海の魔物がひときわ大きく口を開く。吸い込まれるような感覚に、あたしは身を任せた。
「スラちゃん!」
みんなの絶叫が聞こえる。
大丈夫、あたし、きっと生きて帰るから。
吸い込まれ、ついに乱ぐい歯を越して海の魔物の口内に入った瞬間。あたしは歯の一本に一生懸命巻き付いた。
これなら、足場ができる。
そう、あたしはそれを狙っていた。だって空じゃ踏ん張れない。足場にしっかり力点を置いて、あたしは思いっきり振りかぶる。
どおおおおぉおおぉぉりゃあああぁぁぁぁ!!!!! くらえ!!!!!
トゲトゲナックルを、全力で海の魔物の喉めがけて叩きつける。
深々と、ナックルのトゲが肉にめり込む。その感触がいやに生々しい。今あたしにできる最高のパンチが、その巨大な喉に突き刺さっていた。
一瞬動きがとまった巨体が、次の瞬間めちゃくちゃにのたうち始める。
や、やめて……!
体がぐるんぐるんに振り回されて、目が回る……! 一瞬でも気を抜くと、真っ暗な喉の奥に落っこちてしまいそう。
あたしは必死ででっかい歯にしがみつく。生臭い巨大なベロまでもが何度も体をかすめて、あたしはもう生きた心地がしなかった。
グオオオオオ…………! という地響きみたいな呻きが喉の奥から響いてきて、天地がまわるようなめちゃくちゃな動きがやっとおさまる。
ほっと息をついて辺りをみまわせば、明るい方に真っ青なお空が見えた。
今だ!
あたしは思いっきり振りかぶって、もう一回喉の奥に強烈なパンチをお見舞いしてからその反動をつかって魔物の口から飛び出す。
攻撃をくらった魔物が痛みに動きを止めるのは本当に一瞬だ。この瞬間を利用しない手はない。
あたしは魔物の硬い鱗を足場に、力の限りジャンプする。
少しでも早く、アルマさん達の元へ戻りたかった。
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