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ぶっ飛ばせ!

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いやあ、当たる当たる!

攻撃しようと急降下してきたガーゴイルに狙いを定め、ジョットさんが全身のばねを使って飛び上がる。その最高点に達する瞬間に合わせて、ジョットさんの腕が精一杯伸ばされて、あたしのパンチをこれ以上ないくらいアシストしてくれた。

渾身の力で繰り出されたパンチ。

その先には鉄の堅いトゲがついたナックルがあるんだもの。

鈍い音と衝撃の後、ガーゴイルの体が空中で弾かれ、力なく墜落していく。その威力は、あたしが想像していた以上だった。





あれだけたくさんいたガーゴイル達を短時間で何体も仕留め、半数以上のガーゴイル達が動かなくなった時、奴らは慌てたように撤退していった。

数に物を言わせ、空中からの攻撃で攪乱してこちらを屠ろうと思っていたんだろうけど、こっちだってそう簡単にやられるわけにはいかないんだから!


「スゲーな、スラ吉!」


コーチがぐりぐりと撫でてくれる。

さっきまで剣を握った手で撫でるのやめてくれない? かなり汗臭いんですけど。

嬉しいけれど嬉しくない状況に若干身をよじったら、コーチに「反抗期か!」と怒られてしまった。


「あれ? スラちゃん、ちょっとおいで」


その声は!!!

アルマさんではないですか!!!

行きます! 行きますとも!


ギュルギュルっと回転をかけて嬉しさを表しながら、跳ね寄る。


「うわ!? 何今の、なんか新しい技、開発したの!?」


喜びすぎて、驚かせてしまったらしい……。反省だ。


「えーと、まあいいや。ちょっとチビちゃん達、外に出て貰ってもいいかい?」


お安い御用ですよ。

チビちゃん達も自分たちの事を言われているとわかったのか、ピョン、ピョン、ピョン、とリズムよく飛び出してあたしの前に整列する。

アルマさんは、メガネをくいっとあげて、あたし達をじっくりと観察した。


「やっぱり」

「なんだ?」

「いや、なんかおかしいなと思ってたんだけど……チビちゃん達も、強くなってる」

「はあ!?」


コーチが驚くのも無理はない。あたしだって驚いた。驚きすぎてつい飛び上がっちゃったくらいには驚いた。

何それ!?

え、まさか、あたしが戦った影響が、チビちゃん達にも出てるってこと!?


「スラちゃん程の顕著な能力の上がり方じゃないけど、もはや一般のスライムよりは確実に強い個体になってるよ」


感嘆したような、面白い、とでも言いたげなアルマさん。


「ほー。強くなるならいいじゃねえか。いつまでも弱っちいと連れて歩くのも難儀だからなあ」


そうですけど。

そうですけど。

なんか、微妙な気持ちになるんだけど!

戦ったのはあたしなのにー!!!
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